パリの街を歩いていたら、あちこちで見かけるのが「キオスク」と呼ばれる小さな売店。キオスクという言葉はもともとペルシャ語で「日陰をつくるもの」という意味だそうですが、日本でも駅の売店に「キオスク」と使われていますよね。
パリの「キオスク」では新聞や雑誌やライター、ちょっとした小さなお菓子などが売られています。通りに面した目立つところには、パリの地図やポストカードやマグネット、キーホルダー、エコバックなどちょっとしたお土産も並んでいます。
小さな売店ではあるものの、新聞や雑誌がずらりと並ぶ姿は外国っぽさ満点。さらに1857年に設計されたオスマン様式の旧型キオスクは、古き良き時代のパリの姿がそのまま残っていて、ついついカメラを向けて写真を撮りたくなるほどフォトジェニックです。「キオスク」は美しいパリを表す象徴のひとつでもあり、いつまでも守り続けてほしいものです。
とはいえ、古き良き時代のものがそのまま残るのは見ている側にとっては素敵なのですが、防寒対策や非効率的な作りなど、働く側の人間にとってはよくない面も多かったよう…。2018年以降パリ市がデザインを一新して機能的なキオスクに変えていくというプロジェクトをしており、昔のままの姿のものは少しずつ減ってしまっています。
こちらが新しいタイプのキオスク。最初パリ市が決めたものは古き良きパリの景観がなくなると反対署名運動が起こりこの色や形に落ち着きました。外観は前とあまり変わらないようにも見えますが、オスマン様式に比べるとシンプルでちょっと味気なく、店の中は整然として今までの雑多感がなくなっています。
他にも、環境に優しいLEDライトが使われていたり、防寒対策がなされていたり。今の時代に合うように変えられているようですが、昔と変わらぬ姿が減ってしまうのには少し残念な気持ちもします。
世界中を巻き込んでおさまる気配を見せてくれないコロナ騒動で、観光客がすっかり減ってしまっている(というかほとんどいない)パリ。キオスクの店の前に並べられているお土産雑貨たちも、寒い中ぶら下がって誰にも買ってもらえずなんだか寂しそうで…。前を通るたびにちょっぴり切ない気持ちになっています。
次回パリにきたら、変化するキオスクの建物にも注目してみてくださいね!
■一緒に読みたい記事
2回目のロックダウンが始まったフランス。現地の様子をレポート
日本人シェフMaeda Shin氏が作り出す本格フレンチ『Aux 2 Saveurs(オ・ドゥ・サヴール)』へ行ってきました!