古くから日本の暮らしに欠かせない「てぬぐい」。懐かしさも感じるてぬぐいですが、近頃ではかわいい柄や模様、カラーリングなどのバリエーションも増えており、改めてその存在が注目されています。
そこで今回は、日常に取り入れたくなるてぬぐいの使い方をご紹介。実際に「どんな風に使ったらいいの?」という方必見の使い方のアイデアもお伝えいたします。
代官山で30年以上!てぬぐいの専門店『かわまぬ』
今回、てぬぐいを求めて訪れたのは、てぬぐい専門店『かまわぬ』。本店である代官山店の秋葉さんに、てぬぐいの魅力や使い方についてお話を伺いました。
「『かまわぬ』は、32年前に始まりました。てぬぐいがタオルに代わられ始めた頃でした。てぬぐいの使いみちと言えばお祭りで使うくらいで、日常で使うことも、ましてや買うこともないといった状況で。それでも、日本の技術や良いものを伝えていきたいと想いから、ここ代官山の地でてぬぐい専門店をスタートしたんです」と秋葉さん。
代官山店限定のてぬぐい「注染道具」
『かまわぬ』では、注染(ちゅうせん)という、染料を注いで染めていく技法で手ぬぐいに模様を付けています。
「型紙を作り、染めたい部分以外を糊で塞ぎます。1枚1枚糊づけした手ぬぐいを重ねて、同時に20〜30枚ほどを1度に染めることができます。これが職人の技術ですね。染料は、両面から流し込んで染めているので、裏表がないというのも特徴の1つです」と秋葉さんが教えてくれました。
そのほかにも色を変える、「差し分け」という技法や、グラデーションのようになる「ぼかし染め」など、てぬぐい1枚1枚に職人技が光ります。
店内には250柄ものてぬぐいが並びます
オープン当初は、古くからの定番でもある江戸の古典文様やウサギ(飛躍する)のモチーフなどを中心に展開していたそう。「日用品として、てぬぐいを取り入れていただきたい」という想いから、普段使いしやすいようにカラーバリエーションや柄を増やし、現在では250種類ものてぬぐいを揃えています。
お店のロゴである「鎌(かま)輪(わ)ぬ」は、江戸の元禄時代頃に発祥した柄と言われていて、判じ絵・判じ物という、今で言う絵文字のようなもの。そんなに昔から絵文字が存在していたなんて不思議ですね。
遊び心あふれる柄がたくさん
季節を取り入れることができるのもてぬぐいの魅力の1つ。取材に訪れた8月には夏の柄に加え秋の柄も登場していました。
「スポーツてぬぐい」という、古典文様とスポーツが組み合わされた限定シリーズも!2020年のオリンピックにぴったりですね
青色:青海波の文様、赤色:七宝の文様
緑色のてぬぐいは、ゴルフがモチーフ。青海波(せいがいは)という昔からある文様をイメージ。黄色のてぬぐいはよく見るとテニスボールがモチーフ!七宝(しっぽう)という古典文様をアレンジしたてぬぐいです。
「七宝は、7つの輪が重なって大きな輪になっている、とても縁起のいいモチーフなんですよ。古くからある文様を、現代風にアレンジして使いやすくしています」と秋葉さんが教えてくれました。どれも発想がユニークで、くすっと笑みがこぼれてしまいます!
パンの柄も!「ぼかし染め」という技法で1つ1つ違う焼き色に
外国のお客さんから人気なのは青色のてぬぐい。青と言っても濃紺や薄い空色など、その色合いの違いに魅了されるそう。また、昔ながらの古典文様が描かれたてぬぐいも人気なのだそうです。
日常を彩る「てぬぐい」のある暮らし
秋葉さんにてぬぐいの魅力を伺うと「多目的で使えるところ」とのこと。
「普段使いとして、手を拭いたり、汗拭きに使ったりすることが多いてぬぐいですが、食卓周りに使ってもいいですし、肌寒いときはスカーフ代わりに巻いていただいたり、いかようにも使っていただけると思います」。
ということで、日常に取り入れやすいてぬぐいの使い方をご紹介します!
【もらってうれしい!ボトルラッピング】
てぬぐいは、33cm×90cmというその形状から細長いアイテムを包むことに優れています。
今回は、ワインボトルのラッピング方法をご紹介します。選んだのはブドウがモチーフの手ぬぐい。
まずは、てぬぐいを斜め(45度くらい)に敷き、その上にワインボトルを自分と平行になるように置きます。
手前部分の生地をボトルにかぶせ、底を包み込むように折ります。
そのままぐるぐると巻いていき、ワインボトルが完全に見えなくなるよう包みます。
ボトルを立て、てぬぐいをクルクルとねじっていきます。
ねじった部分をボトルに巻きつけ、先を通してきゅっと結んだら完成です!
贈ったあとも使ってもらえるので、粋なプレゼントになりますね。
【食卓を華やかに。カトラリーレスト】
続いては、てぬぐいをカトラリーレストにアレンジする方法をお届けします。
まず手ぬぐいを半分に折っておきます(輪の部分が上になるように)。切りっぱなしの下の部分を好きな幅で1度折り、さらにもう1度折ります。
このとき、カトラリーの長さに合わせて折るようにするとよいでしょう。
両端を折りたためば…あっという間にカトラリーレストの完成!
てぬぐいは折り方次第で、ランチョンマットやテーブルライナー、ティーマットなどにもアレンジできます。てぬぐい1つで食卓が華やかになって◎。お料理やシーンに合わせて、柄やカラーを選んでもいいですね。折る場所によって出る柄が変わるてぬぐいなどもおすすめです。
【大きさに合わせて自由にアレンジ。ブックカバー】
最後はブックカバーのアレンジ。てぬぐいは、本の大きさに合わせて調整できるのでブックカバーにもぴったりなんです。
半分に折ったてぬぐいの上に本を置き、大きさに合わせて上下を折ります。
そのまま左右を折りたたむと本をすっぽりと覆うことができます。
表紙の大きさに合わせて両端を折りポケット状にし、そこへ表紙を差し込めば完成!アイロンをあてると、よりピシッと仕上がります。
今回ご紹介した以外にも、ふきんとして使ったり、お弁当包みとして使ったり、そのまま飾ったりと、使い方は本当にさまざま。ぜひ、てぬぐいの新しい使い方を見つけてみてくださいね。
自分だけの「てぬぐい」を育てる楽しみ
最後に、てぬぐいのお手入れについて教えていただきました。
「最初は、まず手洗いで水洗いすることをおすすめしております。最初のうちは特に余分な染料がたくさんついているので、洗うたびに少しずつ色が落ちていきます。最初4~5回は他の洗濯ものと分けて洗濯していただきたいですね。特に濃い色のてぬぐいは、淡い色のお洋服とは分けて洗ってください。すぐ乾くので毎日洗って清潔に保てるというのもてぬぐいの良さでもあります」と秋葉さん。
また、てぬぐいを使っていると糸がほつれてくることもありますよね。そんなとき、どうしたらよいのでしょう?
「切りっぱなしになっているので、使い始めはしばらくほつれていくんですが、フリンジの状態で5mm~1cmくらいまででほつれなくなります。もともと糸を撚って作った木綿のてぬぐいが、洗っていくうちに、糸が綿に戻ろうとするので、繊維同士がからまって糸が抜けにくくなるんです。生地の風合いも最初のうちは硬いと感じると思いますが、使い込むほどにふかふかになってくるので、ぜひ自分だけのてぬぐいを育ててみてください」。
ほつれもフリンジのような風合いとして、また使うたびに色合いや手触りなどの変化も楽しめるてぬぐい。使い方もさまざまなので、気軽に日常に彩りを添えてくれるはずです。皆さんも、てぬぐいのある暮らしを始めてみませんか?
- ■お店情報
- かまわぬ 代官山店|https://kamawanu.co.jp/shop/daikanyama.html
- 住所:東京都渋谷区猿楽町23-1
- 電話番号:03-3780-0182
- 営業時間:11:00〜19:00
- 定休日:年末年始
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