東京散歩を楽しむ多くの人が訪れる谷根千エリア。古き良き街並みに加え、新しいお店も続々と登場しています。
千駄木駅から歩いて7分ほどで到着する『ベーカリーミウラ』が今回の目的地です。
店主の飛田さん(左)、中村さん(右)
店主の飛田さんに、千駄木にお店を開いたきっかけやパン作りについてお話を聞いてきました。
いろいろなつながりがあって今の場所へ
千駄木へ来る以前は逗子でパンを焼いていた飛田さん。その頃東京には、千駄木・東池袋・神楽坂へパンの出張販売に来ていたのだそう。もともと東京の生まれなので、戻ってこようと考えたときに今の場所に辿り着いたのだとか。
「最初は普遍的なものがある場所がいいなと思って、そう考えた時に神社が思い浮かんだんですよね。お店からすぐに根津神社があるんですけど、この場所に辿りつくまで1年くらいかかりました。
出張販売をしていたときに千駄木の『平澤剛生花店』の店頭でお世話になっていたのですが、彼もちょうど物件を出なきゃいけないタイミングで、『それなら一緒にやる?』となったんです(笑)。そういうご縁もありこの場所でお店を出すことになりました。お店作りも大工さんを中心にみんなで意見を出しながら作ってきました」と飛田さん。
『平澤剛生花店』の平澤さん(中央)
『ベーカリーミウラ』の店内に入ると、パンが並ぶショウケース、そして奥にはお花が見えます。お花屋さんとパン屋さんが一体になったユニークなお店!
店頭に立つスタッフのメンバーもその日によってさまざま。この日店頭に立っていた中村さんは、実はデザイナー!さらに美容師さんなど、もともとお客さんだったのが友人になり、楽しみながらお店を手伝ってくれているのだそうです。
手間ひまは、おいしくなる近道
『ベーカリーミウラ』のパンは自家製の中種法を用いた3種類の天然酵母を使用しています。小麦の粉挽きから行う方法で、逗子でお店をやっていた頃から変わらないやり方だそうですが、小麦の粉挽きから行うなんて大変…!と思っていたら、飛田さん曰く「手間ひまは、おいしくなる近道」なのだとか。
「使う分だけ挽くので、新鮮で香りもあります。挽きたての粉はパンにしづらいという人もいるみたいですが、そういうリスクは腕と経験でカバーしています。味と香りを優先して作っています」と飛田さん。
また、パンを焼き上げるのはガスオーブン。高温・短時間で焼き上げることで、余計な水分を逃さないのだそう。
「お店のオーブンは2台あります。それぞれ3段ずつあるのですが、1台は3段とも同じ温度設定のもの、もう1台は3段それぞれ違う温度設定ができるものです。短時間で焼くと生焼けというリスクも背負うので、そこは温度管理を徹底しています。それぞれ特徴のあるオーブンと仲良くならないといけないので、人間みたいな感じですね(笑)」。
電気ではなくガスの火で、短時間で焼くことで、表面は香ばしく中はしっとりとした、外と中のコントラストが味わえるパン。なんとも不思議な食感との出会いがあります。
食卓が豊かになるパンを
甘いものが大好きという飛田さんですが、お店に並ぶパンは食事系のパンが多め。
「もともと食事系のパン、プレーンのパンをやりたかったんです。カンパーニュと食パンだけやれるお店ができればいいやって今でも思っています(笑)。その方が、パンの食べ方にしても無限大というか。やっぱりお客さんの食卓に並んだ方が、豊かなんじゃないかなって思うんです」。
人気は食パン。「食パンやコッペパンは、牛乳酵母を使っています。砂糖の甘みじゃなく、牛乳本来の甘みやコクが感じられると思います。当日はそのままでも、翌日以降ならトーストしてもらうのが一番おいしいんじゃないかな!」と飛田さん。
使用する牛乳は、『木次乳業』のもの。なんとこの牛乳、島根で酪農をやっている飛田さんの叔父さんが作っているのだそう。『ベーカリーミウラ』では、この牛乳を使用したラテをいただくこともできます。
大きく焼き上げる「カンパーニュ」や「バゲット」などのパンは、ご近所のレストランやカフェ、ビアパプなどにお店に卸していることも多いのだとか。以前PARIS magが訪れた『CIBI』のサンドイッチのパンも『ベーカリーミウラ』のカンパーニュです。
コッペパン
コッペパンで作る「たまごサンド」も。自家製マヨネーズに、ゆで卵、カレー粉に黒胡椒を和えたちょっと大人味の「たまごサンド」です。荒く潰した卵の食感と、ガスオーブンで焼き上げたもっちりとしたコッペパンで食べ応えも抜群!プレーンのコッペパンも販売しているので、「今度はこんな具材をサンドしてみようかな?」とお家でも楽しみが広がります。
こちらも必食!コーンパンに焼き菓子
こちらは人気かつ飛田さんが大好きだという「コーンチーズパン」。しかしこのパン、最初は全く売れなかったのだとか。
「僕がものすごくコーンが好きで(笑)。もともとコーンしか入っていないパンだったんですが、なかなか売れなくて…。でもコーン好きとしてこのパンをなくすことはできないので、少しずつ変えていったんです。まずは中にチーズを入れてみて、そうするとちょっと売れて。でも中に隠れていて見えないから、今度は『じゃあ上にもチーズをのせてみよう!』と。そうしたら、人気のパンになりました」と飛田さんが教えてくれました。
切ってみると、トウモロコシがたっぷり!中にはマリボチーズ、表面にはモッツァレラチーズをかけて焼き上げています。トウモロコシの甘みとチーズの塩味での甘じょっぱさがやみつきになる1品!大きさにも関わらず、パクパクと食べられちゃいました。
また、「特別なものより、日常に寄り添った普段使いしてもらえるパンやお菓子」を大切にしている飛田さん。砂糖不使用のクッキーも女性に人気なのだそうです。カレンズとオーガニックのココナッツが入ったクッキーです。妊婦さんの産前産後のおやつとして定期的に助産院に贈っているそう!これから焼き菓子のメニューは増やしていく予定とのこと。
今後も「シンプルなものをずっとやっていきたい」という飛田さん。特別な日ではなくても、毎日の食事で食べたくなるパンばかり。とても気さくな飛田さんに、お花屋さんの平澤さん、スタッフのみなさんのアットホームで気張らない雰囲気もあって、何度も足を運びたくなる『ベーカリーミウラ』。ぜひお散歩途中に立ち寄ってみてはいかがでしょうか?
- ■お店情報
- ベーカリーミウラ
- 住所:東京都文京区千駄木2-2-15 原野ビル 1F
- TEL:03-5834-8972
- 営業時間:8:00〜18:00
- 定休日:月・火・水曜日
※記事の内容は取材当時のものです。 最新の情報は、お店のHP、SNSなどをご確認ください。
■一緒に読みたい記事
千駄木『CIBI』の心地よい空間とおいしいブレックファーストで過ごす朝