看護師として働きながら、イラストレーターや漫画家としても活動するIkeiさん。フランス人夫のダビドさんと5人の子どもたちとの日常を描いた漫画が、Instagramで大人気。
2021年5月に漫画を発信し始めてから、現在はInstagramのフォロワーが7万人を超えるまでに。
Ikeiさんのパートナーは、神奈川県・平塚にある地域密着型のブルーパブ『Yggdrasil Brewing ~イグドラジル・ブルーイング~』を営む、フランス人ブリュワーのダビド・ガーダオさん。
今回は、そんなIkeiさんにフランス人夫との暮らしを聞きました。
Ikeiさん
看護師として働きながら、イラストレーターや漫画家としても活動。フランス人夫のダビドさんと5人の子どもたちとの日常を描いた漫画がInstagramで大人気。
Instagram:https://www.instagram.com/ikei0630
X:https://twitter.com/Ikei0630
初回のデートでプロポーズ!?お二人の出会いとは?
―まずは、お二人の出会いのきっかけについて教えてください。
Ikeiさん:出会いは日本だったんですけど、真夏の暑い日に具合悪そうに歩いているフランス人がいたんですよ。看護師をしていたこともあって、「大丈夫ですか?」と声をかけたんです。
それで駅の方向まで二人で歩きながら、いろいろな話をしていたら、共通点が多くて盛り上がったんですよね。お互いにヘビーメタルが好きだとか。そこで連絡先を交換しました。
連絡を取り合っている間にもすでに彼の火がついちゃって。漫画にも描いたんですけど、初めてのデートでプロポーズされましたね(笑)。
ダビドさん:運命だったんだよ。僕は運命を信じているからね。
―ダビドさんの熱を感じて、どう思ったんですか?
Ikeiさん:デートする度に「幸せにします!」という言葉をたくさん言われて、「私も信じてあげなきゃ」と思いました。もう勢いに押されちゃいましたね(笑)。
―フランス人って恋愛に対して熱を持った方が多いイメージはありますよね。
Ikeiさん:そうですよね。フォロワーさんからも、「フランス人から猛アタックされていて、どうすればいいですか?」という相談のメッセージが届くんですよ。なので、フランス人はそういう傾向なんじゃないかなって思いますね。
日々の暮らしのおもしろエピソードを誰かに教えたい。漫画を発信し始めたきっかけ
―そもそもIkeiさんが漫画を描き始めたきっかけは何だったんですか?
Ikeiさん:もともと小さい頃から漫画が大好きで、パロディ漫画などをよく描いていました。看護師になる前は、フリーランスでイラストの仕事をしていましたね。ただ看護師になってからは、仕事と子育てで忙しいこともあったので、描いていない時期もありました。
でもダビドと出会ってからは、日々の暮らしのなかでおもしろエピソードがたくさん起こるので、「誰かに教えないと!」と思ってまた描き始めました。これが私の宿命かもしれないので(笑)。
―ダビドさんは自分のことを漫画で描かれることに対して、どう思っていますか?
ダビドさん:現実の僕よりも漫画キャラの僕の方が有名になっているから、ちょっとずるいなって(笑)。
Ikeiさん:ダビドが市役所に行くと、声をかけられたりするんですよ。「あの漫画に登場するフランス人の方ですよね?」って。この漫画がきっかけで、フランス大使館主催のイベントにオファーが来たこともありました。
ダビドさん:新幹線や大阪の街でも声をかけられたことがあったよ。知らない人に手を振られるなんてこともあるよね。
―漫画に対して、いつも多くのコメントが届いていますよね。フォロワーさんからは、どんなメッセージが届くんですか?
Ikeiさん:「おもしろい」という声はもちろんいただくんですけど、国際恋愛している日本の方からの恋愛相談がとても多いですね。日本人は「付き合ってください」と告白して、お互いの意思を確認してからお付き合いが始まると思うんですけど、海外の方はそれがなく始まるので、「これってどうなんですか?付き合っているんですかね?」と相談されます。
あとは私の漫画を見て「フランス人と付き合いたい」という相談も届くんですけど、正直「フランス人と付き合うのは大変だぞ」と思うこともあり…(笑)。
―フランス人とお付き合いをされている方には、具体的にどんなアドバイスをするんですか?
Ikeiさん:「ずっと恋愛モードでいてあげないとダメだよ」とは伝えますね。フランスでは結婚して子どもが産まれても、子を持つ母親という見方ではなくて、ずっと一人の女性として、恋愛対象としてみてくれるんです。ずっと同じベッドで寝る。夫婦別々で寝るとなったら、その時点で離婚という考え方らしいです。
ダビドさん:そうそう。逆に子どもの母親として、パートナーを見るということが理解できないというか…わからないね。
Ikeiさん:それこそ、この花束のエピソードはそういったフランス人の文化が垣間見えますよね。
『Yggdrasil Brewing』では、ダビドさんがキューピットな一面も?
―漫画を読んで、『Yggdrasil Brewing』に来る方も結構いらっしゃるんですか?
Ikeiさん:たくさんいらっしゃいますよ。北海道や長崎から来てくれた方もいましたし、一番驚いたのはアメリカから来てくれた方ですね。「この漫画に登場する人は本当にいるのか」と確かめに来てくれました。
私に相談メッセージを送ってくれたフォロワーさんから、「カップルになりました」という報告が届いて、お店に遊びに来てくれることも。
ダビドさん:外国の方も結構このお店に来てくれます。30カ国以上の外国人が来ているんじゃないかな。日本人とオランダ人のカップルはここがきっかけで付き合ったよね。あとは、うちのスタッフとお客さんが付き合って、先月はここで結婚パーティーを開催したり。
Ikeiさん:ダビドが「付き合っちゃえばいいじゃん!」って感じで、グイグイくっつけようとするんですよ(笑)。それで、「付き合いました」って報告が届くことがあるんです。全部がうまくいくわけじゃないですけどね。
暮らしのなかで感じる文化の違い。そして子育てと仕事、漫画家の両立
―暮らしのなかで、フランス文化と日本文化の違いに特に驚いたことはありますか?
Ikeiさん:食文化でいうと、日本ではトマトをそのまま食べるじゃないですか。ダビドは、「トマトはソースにして食べるものだから、生では食べないよ」といって、食べないんですよ。
白米も食べないです。私はもちろん白米を食べるので、代わりにバゲットやフランスパンを食べていますね。
あとは、フランス人って物をとても大事にするなと感じます。靴下や服に穴が空いても、どうにかして使おうとしたり、物が壊れたらテープでくっつけて使ったり。物をリサイクルして大切に使い続けるっていう文化が根付いているんだなと思いますね。
―フランスのアンティーク家具や雑貨、蚤の市なども、そういった文化からきているんでしょうね。
―看護師と漫画家、そして子育ての両立はどうしているんですか?
Ikeiさん:本当に忙しいです。ダビドがご飯を作ってくれたり、子どもたちの面倒を見てくれたり、とても手伝ってくれるので、両立できています。あとは、私が漫画を描くことに対して理解してくれているので、協力してくれていますね。
でも本当は、朝起きてご飯を食べて、自分の時間を持ちたいときもあります。ただ、そこはやっぱりフランス人で、二人の時間がないと怒るんです(笑)。日本人って朝起きてすぐ仕事に行くじゃないですか。フランス人は、遅刻ギリギリまで二人の時間を大事にするんです。
ダビドさん:だって、バッテリーチャージしないと仕事ができなくなる。
Ikeiさん:一番大事なのは、やっぱり愛らしいんです。
―大事なのは、愛。とても素敵な考え方ですよね。最後にファンや読者の方にメッセージをお願いします。
Ikeiさん:もちろん楽しいことばかりじゃなくて、辛いことや大変なこともたくさんあります。でも、せっかく私の漫画を読んでもらえるんだったら、みんなをポジティブにしてあげたいなと思っているので、私たちの日常でみんなが笑ってくれたら、もうそれが幸せですね。
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お話を伺いながらも、仲睦まじい様子を見せるお二人。漫画そのままの空気感で思わず、クスッとしてしまう場面が何度もありました。
お二人のちょっと変わった日常をもっと知りたい方は、Ikeiさんのインスタグラムで漫画を見ることができるので、ぜひ覗いてみてくださいね。
また、ダビドさんが店主を務める神奈川県・平塚『Yggdrasil Brewing』にも、ぜひ遊びに行ってみてください。