フランスには、カヌレやマドレーヌをはじめ、マカロンにフィナンシェ、ダックワーズなどさまざまな種類の焼き菓子があります。その中でも今回紹介するのは、フロランタン(florentins)。クッキー生地にキャラメリゼしたナッツをのせて焼き上げるお菓子です。「florentins=フィレンツェの」という意味で、イタリアのお姫様がフランス王のもとへ嫁ぐ際に伝えられたとも言われている伝統ある焼き菓子です。
そのフロランタンの専門店があると聞きつけやってきたのは、お散歩エリアとして人気の谷中銀座商店街。和の趣がありながらスタイリッシュな印象のお店が『atelier de florentina(アトリエ ド フロレンティーナ)』です。お店の前に立つと、甘く良い香りがふわっと鼻をくすぐります。オーナーの梶原さんにお話をお聞きしました。
谷中に誕生したフロランタンの専門店
そもそも梶原さんが谷中に訪れたのは、10年前。特にゆかりがあったわけではなく、たまたま来て、たまたま入った不動産屋で見つけた物件が気に入り住み始めたのがきっかけだったのだそう。
「なんか、いいなと思ったんです。そのときはまだ谷中銀座のことも知りませんでした。散歩がてら、ぶらぶらしているときに谷中銀座商店街というのを知ったんです。この谷根千エリアは、ちょっと路地裏とか細い道とかに、おもしろいお店や場所が点在していますよね」。
そして、8年前に梶原さんの奥様・美穂子さんが谷中の「へび道*」でフロランタンの店を始め、その後、現在の場所に『アトリエ ド フロレンティーナ』をオープンさせました。それが5年前なのだそう。
*へび道…谷中銀座を左に曲がり、よみせ通りと繋がっているクネクネと曲がっている路地の通称。
お店の家紋は梶原さんと奥様の家紋を組み合わせたもの
「フロランタンの専門店というのが他にはなかったので、おもしろいんじゃないかなと思ったんです。和と洋の融合をコンセプトのひとつにしています。販売しているフロランタンにも、そばの実や黒ごまといった食材を加えて和のテイストをプラスしているんです。
お店の雰囲気もシンプルにフロランタンにスポットを当てたかったので、極力余計なものを置きたくないなと考えました。そうしたところ和風な作りがマッチしたんです。入り口の暖簾にも家紋と筆記体を合わせて、和と洋を融合させています」と梶原さん。
ユニークなフロランタンがずらり
『アトリエ ド フロレンティーナ』のフロランタンは常時8種類。定番のフレーバー7種類と、季節で変わるフレーバー1種類があります。フロランタンにこれほど味のバリエーションがあるのは、めずらしいこと。
「上のナッツと下のクッキー生地の組み合わせを変えていくと、味の楽しみがもっと広がるのでは?」と思考錯誤して開発したのだそう。ココアを練り込んだチョコレート生地や、黒糖、アールグレイの茶葉を練り込んだ生地も!
訪れた5月は、「オレンジ&レモン」が季節のフレーバーでした。夏は、フランスのゲランドソルトを使った塩気が効いたもの、秋はかぼちゃ、冬はクリスマススパイスと言ってシナモンやジンジャーを使ったものなど、どれも気になります。
“サクッ”と軽い食感のフロランタン
左から「プレーン」、「そばの実&黒ごま」
おすすめフレーバーの1つ「そばの実&黒ごま」。下のクッキー部分は黒糖を練り込んだ生地で、上にも黒糖を使ったカラメルでキャラメリゼしたアーモンド・そばの実・黒ごまのがのっています。香ばしくプチプチとした食感でクセになる味わい。リピートするお客様も多いのだとか!
また、『アトリエ ド フロレンティーナ』のフロランタンは、2センチ角の小さなサイズ。
「普通、フロランタンを食べるとボロボロ崩れてしまうので、ひと口で食べられる大きさにしたんです。お店で焼き上がったフロランタンを、熱々のうちにカットするのがけっこう難しい作業なんですけどね」と教えてくれました。
ひと口食べると、軽くてサクサクとした食感!一般的なガリッと堅いフロランタンを想像して食べると、その軽い食感にきっと驚いてしまうはず。
使う食材はなるべく国産のものを使おうと、四つ葉バター、小麦は北海道のものを使用。「フレッシュな感じを出したい」という想いから、保存料なども加えていないのだそうです。
子どもからお年寄りまで、老若男女に親しまれている『アトリエ ド フロレンティーナ』のフロランタン。コーヒーや紅茶はもちろん、お酒との相性も良いのだとか!いろいろなシーンで楽しめるのがうれしいですね。
プレゼントにも、お土産にもぴったり
桐箱は、近くにある桐箱の専門店のものを
ギフトとしても人気とのことで、おしゃれな紙箱と桐箱も。お土産として買っていく観光客の方はもちろん、ウェディングのプチギフトなどの内祝いを始め、ファッションブランドのプレス向け発表会でのプレゼントなど、さまざまなシーンでの注文が入るそう。
8種類あるフレーバーから、どれにしようかな?と選ぶのもまた楽しいひと時。フランスの伝統的な焼き菓子でありながら、これまでにない新しい驚きを教えてくれる『アトリエ ド フロレンティーナ』のフロランタン。本当は秘密にしておきたいけれど、こっそり誰かに教えたくなる、そんなお店の1つです。ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか?
- ■お店情報
- atelier de florentina(アトリエ ド フロレンティーナ)
- 住所:東京都台東区谷中3-12-2 谷中銀座商店街内
- TEL:03−5834−8981
- 営業時間: 11:00〜17:00 ※売り切れの場合早めに閉店する場合がございます
- 定休日:不定休
※記事の内容は取材当時のものです。 最新の情報は、お店のHP、SNSなどをご確認ください。
■一緒に読みたい記事
谷根千散歩で立ち寄りたい。谷中キッテ通り沿いのベイクショップ『サクセション』