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英国領時代に育まれたワイン文化。ワインの名産地・ボルドーのワインを使ったソースにきのこを添えた「Steak à la sauce bordelaise」

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英国領時代に育まれたワイン文化。ワインの名産地・ボルドーのワインを使ったソースにきのこを添えた「Steak à la sauce bordelaise」

こんにちは。菓子・料理研究家の山本ゆりこです。前回のバスク地方から北上して、今回訪れるのは「アキテーヌ」。「アキテーヌって、どこかしら?」と思われる方も多いと思いますが、ワインで有名なボルドーならご存じではないでしょうか?今月はフランス2大ワイン産地のひとつボルドーを有するアキテーヌの旅へ。

 

言わずと知れたボルドーのワイン文化には英国の影響が!?

ずらりと並んだワインボトル。いかり肩のボトルはボルドーワインの特徴のひとつ

アキテーヌはフランス南西部、大西洋に接し、地理的には前回のバスク地方も含んだエリアです。2016年からは焼き菓子クラフティで有名なリムーザンや、エシレバターの故郷ポワトー=シャラントと合併し、ヌーヴェル・アキテーヌと呼ばれるようになりました。

アキテーヌは元々この地域を治めていた公国名で、中世にアキテーヌ公国の女公が、のちに英国王となる人物と結婚したため、約300年間英国領となりました。その間、英国がボルドーワインの最大の市場となり、より上質なワインを求める英国人のおかげで、すでにブルゴーニュワインと肩を並べていたボルドーワイン造りは大きく発展したといいます。


数種類のブドウをブレンドした複雑な味わいのボルドーワイン

ブルゴーニュワインは基本、単一品種のブドウで造られるのに対し、ボルドーワインは多種のブドウをブレンドして造られることが大きな違いの1つ。そして、ボルドーワインの80%以上が赤ワインで、使用される主なブドウは色が濃く渋みがあり、この渋みが熟成させることでやわらかく丸味のある味へと変化していくため、長期熟成タイプのワインが多いのも特徴です。それは、船で長い時間かけて輸送されることを考えて造られたボルドーワインの歴史そのものかもしれません。

「おいしいワインがあるなら、料理もきっとおいしいはず!」と期待度が高まりますよね。太平洋に接しているので、牡蠣をはじめとする海の幸も豊富ですし、鴨肉やフォワグラの産地としても有名です。9月頃からは、高級きのこのCèpe(セップ茸)が出回りはじめ、レストランのメニュウにものぼるようになります。

鴨のロースト、セップ茸のソース添え。奥のフライドポテトはがちょう(高級フォワグラはがちょうの肝臓)の脂で揚げたもの

セップ茸のボルドー風Cèpes à la bordelaise(セップ・ア・ラ・ボルドレーズ)は、セップ茸を強火で、バター、みじん切りにしたエシャロットとパセリで炒め、レモン汁をキュッと搾ったごくシンプルな料理です。

セップ茸が入荷したことを示すレストランの看板

 

ワインと並ぶアキテーヌの名産品「セップ茸」

ボルドーのマルシェで売られていたセップ茸

今月ご紹介するのは、この「セップ茸のボルドー風」と同じ副材料で作ることができる、赤ワインソースSauce bordelaise(ソース・ボルドレーズ|ボルドー風ソース)です。ステーキにかけると、香ばしく焼けたお肉が入ったブルゴーニュ地方の郷土料理ブッフ・ブルギニョン(牛肉の赤ワイン煮)のような味わいに。このソースは、コク出しに牛の骨髄の中身を使うのですが、比較的手に入りやすい牛脂で代用しました。ステーキも牛脂で焼くと旨味が加わり、さらにおいしくなるので、ぜひお試しください。

付け合わせは「セップ茸のボルドー風」を手に入るきのこを使って。少しずつ秋らしくなってくる10月、フルボディの赤ワインと一緒にお楽しみください。

日本でも人気の「カヌレ」はボルドーの銘菓。こちらはボルドー郊外のマルシェで見つけた、カヌレ形のリエット

 

Steak à la sauce bordelaise<ステック・ア・ラ・ボルドレーズ|ステーキ、ボルドー風ソース添え>の作り方

ボルドー風ソースは、別名「Sauce marchand de vin(ソース・マルシャン・ド ・ヴァン|ワイン商人のソース)」といいます。ステーキ用の牛肉は、脂身の多い霜降り肉ではなく赤身の多いものを選んでください。豚肉ならコクのあるイベリコ豚もよく合います。

 

【材料】(2人分)

・牛肉(ステーキ用):2枚

・塩:適量

・こしょう:適量

・牛脂:ひとかたまり ※植物油大さじ1で代用してもOK

 

<ボルドー風ソース>

・エシャロット:1個(40g)※なければ、赤玉ねぎで代用OK

・タイム(あれば生):2本 ※なければ、ドライ小さじ1/4 で代用OK

・ローリエ:1/2枚

・パセリ(みじん切り/あればイタリアン):大さじ1

・赤ワイン:200ml

・バター:15g

・牛脂:20g

・はちみつ:5~10g

・塩:小さじ1/4+適量

・粗挽き黒こしょう :適量

 

<きのこのボルドー風>

・お好みのきのこ(マッシュルーム、しめじ、エリンギなど):200g

・エシャロット(みじん切り):40g

・バター:20g

・塩:適量

・粗挽き黒こしょう:適量

・パセリ(みじん切り/あればイタリアン):大さじ1

・レモン果汁:適量

 

【作り方】

1.ソースの材料をカットします。

・エシャロットは薄皮を除いてみじん切りにします。

・牛脂も細かいさいの目に切ります。

 

2.炒めて、煮込みます。

・小鍋にバターを入れ、弱火にかけます。

・バターが溶けたら、エシャロット、タイム、ローリエ、牛脂を入れ、バターが焦げ始める直前まで炒めます。

・ワインと塩小さじ1/4を加えて軽く混ぜ、ふたをしないで弱火でソースの量が半分になるまで煮込みます。

・半分になったら、はちみつ小さじ1を加えて軽く混ぜ、味をみて足りないようなら塩とはちみつを加えて整え、粗挽き黒こしょうをふります。

 

3.きのこを炒めます。

・きのこを食べやすい大きさに切ります。

・フライパンにバターを溶かし、エシャロットを約1分炒めます。

・きのこを加えたら、強火で手早く炒め、塩、粗挽き黒こしょう、パセリを加えて、火を止めます。

・最後にレモン汁を搾って、軽く混ぜます。

 

4.肉を焼きます。

・肉は30分~1時間前に冷蔵庫から出しておきます。

・肉の繊維を断ち切るイメージで、肉の繊維に対して垂直に軽く切り込みを入れます。

・塩、粗挽き黒こしょうをふります。

・フライパンを強火にかけ、熱々になったところに牛脂を入れます。

・牛脂が溶けたところに肉を入れ、いい焼き色になるまで両面を焼きます。

 

5.お皿にのせ、ソースをかけ、きのこを添えます。

自宅で作るちょっと贅沢なステーキ。たっぷりきのこと赤ワインソースのステーキで、秋の味覚を楽しみましょう!

 

★イベント情報

森田けいこ&山本ゆりこ

「月の港ボルドーの物語とおいしい話」

2022年10月12日(水)20:00-21:00 日本時間 無料

福岡市とボルドー市の姉妹都市締結40周年を記念したオンラインイベントが開催。その地形から月の港と称えられるボルドー。その魅力をパリから1時間たっぷりお話いたします。お申し込みは、どうぞお早めに!

詳細はこちら

主催:アンスティチュ・フランセ九州-沖縄

 

 

英国領時代に育まれたワイン文化。ワインの名産地・ボルドーのワインを使ったソースにきのこを添えた「Steak à la sauce bordelaise」

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