パリを縦横無尽に走るメトロ。全て定額料金でわかりやすく、パリっ子の毎日の足になっています。自動ドアがついている車両が増えたり、ホームに安全柵が設けられる駅が増えたりと、3年後のオリンピックを見据えていることもあり、どんどん新しく変化していっているイメージ。ところがこの秋、『Carnet(カルネ)』と呼ばれている紙の回数券の販売が中止になることが発表されました。今回はその回数券についてご紹介したいと思います。
2022年3月には全ての駅で販売中止
来年3月で、完全に販売がなくなってしまうパリのメトロの紙の回数券
こちらの回数券、観光でパリを訪れた際使ったことがある方も多いのではないでしょうか? 10月14日、まずは小規模の駅(106駅)での販売が中止されました。そして2022年には中規模クラスの駅(176駅=パリのほとんどの駅ということ)や街中のタバコ屋さんなどで売られていたものも廃止。3月には窓口と自動販売機含め全ての販売が中止されるのだそう。
2003年のデザインはこの紫のもの。思い出に残してある回数券はほとんど印刷の文字が消えていました
旅の思い出に残している方もいらっしゃるかと思いますが、今後はそれができなくなってしまいます…。ちょっぴりさみしくなりますね。
回数券もチャージ式に!
切符や回数券を買うのに四苦八苦している観光客を見かけることも多いパリの自動販売機
紙の回数券がなくなってからは、『Navigo Easy(ナヴィゴ・イージー)』というカードを購入し、そこに回数券をチャージ。自動改札機に「ピコン!」とかざすシステムになります。
改札にも「紙の回数券はなくなります」というステッカーが貼られ、利用者にお知らせしていました
『Navigo Easy』のサービスは始まっているのですが、まだまだ存在自体も知らない人が多い印象。浸透するのは紙の回数券が本格的に手に入らなくなってから、という感じかもしれません。カードにチャージする方が、紙よりも値段が割安になっているのですが、今までのように複数人で回数券を分けて使うなどができなくなるので観光客にはちょっと不便になってしまう一面も。紙の回数券はデザインも可愛くて旅の思い出に残しておいてノートに貼ったり、なんていうこともできなくなるのでちょっと残念です…。
記念に残してあった、渡仏当時の定期券
今ではカードにチャージする方法になっているメトロの定期券も、私が渡仏した2003年はこの紙のシステム。自分のカードと同じ番号が定期券である半券に書かれていなかったら罰金。書き忘れて罰金になる人が続出してました。
どんどん新しくなっていくパリのメトロ
手動で開けるパリのメトロ。この車両もどんどん減っていて、自動ドアが増えています
紙の1回券は今後も継続されるそうですが、回数券廃止のことを含め、手動式のドアが減ったり、紙の広告が減りデジタルの画面の広告が増えたり、古いものが多いパリも近代的になってきています。
安全柵が設置されるホームも増えており、「こんな昔から変わらぬメトロの風景も見れなくなるのかも?」とちょっとセンチメンタルに眺めています。
システムや仕様が大きく変わっていくのは便利で綺麗なメトロに生まれ変わっていくことは喜ばしいことでありながら、昔ながらのパリのメトロの姿が少しずつ減っているような気がして、少し寂しい気もしています。ちなみに、過去に販売された回数券は2025年まで使えるそうなので、次回使おうと手元に残してある方は、あと数年は心配しなくてもよさそうです。
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