西荻窪の線路高架沿いを少し歩くと、ガラス張りの店構えに「3&1」というグラフィックが飾ってあるお店があります。
3&1、3と1…そう、ここはサンドイッチのお店です。正式名称は数字をイタリア語読みした『3&1 SANDWICH(サンドイッチ・トレ エ ウーノ)』。
お店に入ろうと、ふと顔をあげると今度は「29」の文字。「3&1」でサンドイッチなら、「29」は…、もちろんお肉!夜は肉料理のイタリアン『trattoria29(トラットリア・ヴェンティノーヴェ)』としても営業しているのです。
夜はレストラン、昼はイタリア流パニーニのお店
『trattoria29』のオーナーシェフ・竹内さん(左)、『3&1 SANDWICH』店長・横内さん(右)
もともと『trattoria29』のオーナーシェフご夫妻とイタリアのレストランで一緒に働いていたことがある横内さんが、去年の夏より『3&1 SANDWICH』の名前でランチ営業をスタート。
店内の壁にはイタリアの写真がずらり
「2人とはイタリアや日本で一緒に働いていたことがあるのですが、『trattoria29』をはじめてからもずっと交流があり、いつか一緒に何かやりたいねと話していたんです。
どうせやるなら夜のレストランとはまったく違うことをやろうと思い、パニーニ屋さんをはじめることにしました。
でも、イタリアのパニーニだけを提供するということではなく、旬のものだったり、日本のおいしいものだったり、なんでも挟めるようにと幅を持たせて店名はサンドイッチにしたんです」と横内さん。
お肉たっぷりサンドイッチを堪能
『3&1 SANDWICH』の定番メニューは4種類。
その他、だいたい週ごとに「シェフの気まぐれサンド」が登場するとのこと。
今回は、「ローストポークのサンドイッチ」と「イタリアのモツサンド」をいただきました。
たっぷりのローストポークと鮮やかな紫キャベツが溢れんばかりに挟まっています。
一見ボリューミーなサンドイッチに最初は驚きましたが、マリネとマンゴーソースの酸味、ローストしたポークの相性が抜群でさっぱりといただけます。
パンの表面は歯ごたえがあり香ばしいのですが、内側は具材の爽やかな味わいにとてもよくなじんでいて、あまり存在を感じさせません。なんだかボリューム満点のサラダを食べているような感覚にも。
最初「食べきれるかな?」と心配になったものの、気付いたらペロリと完食してしまいました。なんでも女性がひとりで食べたとき、おいしく完食できる量をシェフの奥さんと横内さんで検証したのだそう。
「当初パンはもっと大きかったけど、最後食べられなくなってしまったので小さくしたり、野菜とのバランスを検討したりしました。なによりできたてを食べてもらいたいという思いがありますからね。あと、お肉も食べたいけどやっぱり野菜も食べたい、彩りもきれいなものがいいという女性の要望にも応えています」と女性にもうれしいボリューム感&鮮やかな色合い。
続いては「イタリアのモツサンド」。
日本ではあまり見かけることがないサンドイッチですが、イタリアの街角ではよく屋台で販売されているそう。ちなみに、サンドイッチ屋さんをやろうと決めた際、「モツサンドは絶対やりたい!」と最初に決まったメニューなのだとか。
イタリアの屋台同様のスタイルで。サルサベルデという酸味が効いたパセリのソースと辛いオイルでいただきます。
野菜のだしで煮込んだというモツはとても柔らかく、優しい味わい。その汁気がパンに染み込み旨味を堪能できます。さらに、そこへパセリのソースの酸味とレッドオニオンの辛味がいいアクセントに。
「イタリアのモツサンドには生のレッドオニオンを入れることはあまりないけど、試作をした際、何か食感があってもいいということで急遽入れることにしたんです。そしたら、それが相性よくて」というように、イタリアのパニーニにインスパイアされながらも、オリジナリティあるアレンジは『3&1 SANDWICH』ならでは。
ゴロゴロとカットされたお肉は豚ホホ、タン、ハツなど。とてもやわらかいのですが、歯ごたえや食感も楽しめます。それは「ちゃんとお肉を食べている感覚があるくらいの煮込み具合でいい」というシェフのモットーから。煮込めば煮込むほど、トロトロになって柔らかくなるけど、食べている感覚が残る時間で煮込んでいるそうです。
食事を引き立てるパーネ・トスカーノ
サンドイッチに使用しているパンも手作り。フォカッチャより、しっかりしていて噛みごたえがあり、だけど歯切れのいい「パーネ・トスカーノ」というパンを毎日作ってサンドイッチにしています。「パーネ・トスカーノ」は食事のソースに合うようにと、通常塩は入れないもの。『3&1 SANDWICH』のパンは、「パーネ・トスカーノ」に近いレシピでありながら、微量の塩を入れたオリジナルのパンに仕上げているそう。
「具に味がしっかりついているので、その味が際立つようなパンをシェフと一緒に考えました。パンは季節によって変化があるので、同じ分量で作っても毎日違います。なので、温度、湿度、焼き方により注意を払って毎日焼くようにしています」とのことでした。
またオーダー後にパンを温めなおす際、例えばモツサンドは具材に汁気が多いので、あまり霧を吹かなくていいなど具材やパンの状態に合わせて微調整しているのだそう。確かに、今回、2つのメニューをいただいたのですが、どちらも同じパンとは思えないほど、味わいや食感が違ったのが印象的でした。
食事を邪魔しない「パーネ・トスカーノ」ならではの、具材を楽しむサンドイッチができているのですね。
もう2つの定番メニュー「グリル野菜のマリネとチーズのサンドイッチ」はお野菜だけとは思えないほど食べごたえ十分のサンドイッチ、「アンガス牛のステーキサンド」はレアのお肉をパルミジャーノとバルサミコソースでいただくディナーの1品のような豪華サンドイッチです。
どれもお肉や具材を楽しむことができる贅沢なサンドイッチ。ぜひ、お試しあれ!
- ■お店情報
- 3&1 SANDWICH(トレエウーノ サンドイッチ)
- 住所:東京都杉並区西荻北2-2-17(地図)
- 営業時間:11:30〜14:00
- 定休日:月曜日(※月に2回不定期で火曜日休みあり)
※記事の内容は取材当時のものです。
■一緒に読みたい記事
サンドイッチとソーダの新しい名コンビ!渋谷『TOKYO KENKYO』のやみつきサンド