日本でもフランス産のバターやチーズが気軽に手に入るようになってきて、スーパーやデパートのチーズ売り場では、輸入品の品数もかなり増えましたね。今回はフランスでも有数のチーズとバターの産地ノルマンディーについてお話したいと思います。
パリから北西へ200kmほど、英仏海峡に面して広がる一帯がノルマンディー地方で、1年を通じて気候が温暖で、豊かな緑が広がり、牧草が豊富。また、起伏の多い地形が牛の生育に適していることから、濃厚で良質なミルクになると言われています。そのため乳製品がとても豊富なのです。
ノルマンディーを代表するチーズ!カマンベールチーズ
日本でも人気のチーズのひとつであるカマンベールチーズは、ノルマンディーを代表するチーズのひとつです。
しかし、世界的にも有名なチーズということで、世界中で似たものが作られており、サイズや製法もまちまち。
しかし、「カマンベール・ド・ノルマンディー(Camanbert de Normandie)」と書いてあるものは、「ひとつずつお玉で掬って作ったノルマンディー産のものだ」という証。箱のサイズや作り方には厳密な規則があるそうです。チーズ街道で手に入るカマンベールチーズは、そんな本場のカマンベールチーズということ!
手前にある茶色のチーズもカマンベールチーズ。ちょっと変わった色ですが、これはノルマンディー地方のもうひとつの名産品、カルバドスというりんごのお酒で洗って発酵させたスペシャルバージョン!味わいはより一層コクがあり、口にカルバドスの旨味が広がって最高です。
チーズ街道の代表的なチーズをチェック!
ノルマンディー地方には、チーズの名前の由来になっている村がいくつもあり、その地方ならではのチーズを購入できるお店や工場見学ができる場所が点在していることから、「チーズ街道(route des fromages)」と呼ばれるようになりました。カマンベールチーズのほかにもいろいろなチーズが楽しめます。代表的な3つのチーズを紹介しましょう。
まずは、写真左下に並んでいる丸い形のものが、「リヴァロ(Livarot)」。ウォッシュタイプのチーズで円筒形、長期間熟成させるため、型くずれしないように3本の帯を巻いて形を整えているのが特徴です。発酵が進むと、しっとりとしてきて、味も濃厚ですが、まろやかな風味が広がります。
もうひとつのウォッシュタイプは、四角い形が特徴的な「ポン・レヴェック(Pont-L’Evêque)」です。競馬場が有名な海辺の街ドーヴィル(Deauville)から南下したところにあるポン・レヴェック村の名前が由来。12世紀より作られていたという昔からこの地方で愛されてきたチーズです。ほんのりオレンジ色の表皮に白く粉のようなカビがあり、癖がなくマイルドな味わいです。
最後に、かわいいハート形のチーズを。「ヌシャテル(Neufchatel)』といい、白カビのチーズで、ノルマンディー北部ヌシャテル村で生産されているもの。煉瓦型、正方形など、他に形はいろいろありますが、ハート型が1番有名です。
独特なまろやかさが特徴のノルマンディーの発酵バター
ノルマンディーといえば、発酵バターも忘れてはいけませんね。
欲しい分量だけカットして売ってもらう量り売りのタイプのほか、個別包装しているバターも。無塩か有塩かあるので、用途によって選ぶと良いですね。ノルマンディーのチーズ屋さんで販売されているのは、たいてい生乳を使用した発酵バター。しかも木樽を使っているところが多いので、独特なまろやかさやコクが出ると言われています。
チーズ屋さんには、他にもクリームやヨーグルト、発酵させないフレッシュな状態のチーズなど、いろいろ並んでいます。加えて、ヤギや羊の乳を使ったチーズなども。種類が豊富なので迷ってしまいますね!
ノルマンディー地方には、他にもリンゴのお酒シードルやカルバドス、海の幸などなど、いろいろな名産品がありますので、また違う機会にご紹介したいと思います。
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