セーヌ川にかかるいくつもの美しい橋。この中に「愛の南京錠の橋」として有名な橋があります。
本当の名前は「Pont des Arts(ポンデザール=芸術橋)」という橋で、パリ左岸からルーブル美術館へ渡っていけるようにと、ナポレオンの命によってかけられた美しい橋。
歩行者専用の橋なので、橋の上に座り込んでおしゃべりを楽しむカップルがいたり、ギターを弾くミュージシャンがいたり、パンとチーズとワインを持ち寄ってピクニックを楽しむ学生たちがいたりと地元パリっ子にも愛されている橋。私もいちばん好きな橋のひとつで、今まで何度も何度もコラムやブログなどの記事でこの橋のことを書いてきました。だけど…。
悲しい姿になってしまった美しい橋
「愛の南京錠の橋」とも呼ばれているように、恋人たちがお互いの名前を書いた南京錠を欄干に取り付けて、鍵をセーヌ川に投げ捨て永遠の愛を誓うというブームがここ数年であっという間に広がりました。ついに南京錠の重みに耐えられずフェンスの一部が2014年6月に倒壊。応急処置で木製パネルがはめこまれてしまい、パリっ子憩いの散歩道だった美しい橋は悲しい姿になっています。
愛の南京錠の重みで、ついに橋の一部が倒壊!
昔から、ぽつりぽつりと南京錠はつけられていたけれど、ここまで一気についてしまったのはほんとここ2~3年。写真を見返してみるとその変化は一目瞭然。
2010年には南京錠は数えるほどで美しい姿のままの「ポンデザール」。この頃は私もしょっちゅうこの橋の上でピクニックを楽しんだりしていました。
2013年の2月、友人の子どもとお散歩に行った時は、かなり鍵が増えているもののまだまだ向こう側の景色が見える隙間はあります。
それが2013年秋になると向こう側の景色が見えないほどびっしりと。
そして2014年に重さに耐えられなくなった一部が倒壊。2015年現在、橋のあちこちが木製パネルに変えられてしまい、すっかり醜い姿に…。
昔ながらの美しい姿と歴史を残すというフランスの姿勢はいつも徹底的。何もかもが新しく生まれ変わって未来都市のようになっていく日本からみると羨ましい文化だと思っていました。だけど、この「ポンデザール」の姿には悲しい思いばかり。元の姿に戻る日はやってくるのかなあ…。
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