フランスにはもうすぐ夏のバカンスのシーズンが訪れます。フランス人のバカンスの過ごし方はさまざまですが、運河をボートで巡り、水上で暮らすように旅するスタイルがあるのをご存知ですか?
レンタルボートは水上のキャンピングカー
私も先日、南仏を訪れ、そんなフランス流バカンスの楽しみ方「水上ボート暮らし」を体験してきました。
フランスには個人が借りられるボートのサービスがあり、夏のバカンスシーズンは大人気なのだそう。狭い運河を渡る小ぶりなボートの中は、いわばキャンピングカーのようなもの。中にはきちんと小さなキッチン、ベッド、シャワー&トイレも完備されています。
ボートの中で料理をしたり、食べたり飲んだり、のんびり体を休めたり。もちろん車のように、自分たちで川の上を運転できます。1日中、水上で過ごす「ボートで暮らす」が気軽に手にはいるのです!
特別な免許も不要なので、初めての方でもすぐに運転できますよ。スタッフから当日説明があり、一緒に簡単な実地訓練をしてくれるのでご安心を。
運転をマスターしたら、自ら舵を取って水上ボートで暮らすような旅がスタートです。
南仏の世界遺産、ミディ運河の大自然を楽しむ
今回は、ナルボンヌという南仏の街を拠点にスタートし、運河を行き来する7日間の旅でした。毎日、日中は運河を走らせ、夜は川に設置された停泊地(ボートを留めるクイのある川の中のスペース)で停留します。下流の海へボートを走らせたり、中流のカナルミディを通ったり、貴重なボート暮らしを満喫しました。
カナルミディ(CANAL DU MIDI)は世界遺産にも認定されている有名な南仏の運河です。
全面世界遺産の景色の中、ゆったりとボートを走らせるなんて贅沢ですよね。
小鳥のさえずりを聞きながら、プラタナスの木立、ワイン畑を駆け抜ける
ほんのり南国の香りがするおしゃれな南仏の街並みを通り、古い石橋をくぐったり、大きなプラタナスの木立を駆け抜けて、鳥の声や木々の揺れる音に身をゆだねたり。ついには家すら見えない、一面ワイン畑の夕暮れに包まれて。
そよ風に吹かれながら、次第に変わる風景を楽しみました。毎日絶景に囲まれて暮らすって、本当に気持ちいいものです。
ボート暮らしはキャンプとほぼ同じなので、力仕事もあり若干身体的にハードな面もあります。でも、牧歌的な大自然や古い町並みを、風を切って走る心地良さは他ではなかなか体験できないもの!
レア食材が安くておいしい!マルシェでお買い物
毎日のごはんは、みんなで料理をしました。ボートには小さなキッチンの他に、屋上にBBQグリルもついているので、簡単なサラダを作ったりBBQを楽しむこともできちゃいます。
まずは大きなマルシェで食材の調達へ。アーティーチョークやフェンネルの根っこなど、東京では滅多にお目にかかれない野菜がたくさん。はじめて見る色のトマトや巨大なビーツも山盛りに売られていて、目移りしちゃいます。
お肉の種類も豊富で、うさぎや鶏が頭つきで売られているのにも驚きです。豪快にかたまり肉をオーダーするのも醍醐味!
南仏はシーフードがとっても安くておいしい。生牡蠣なんて1㎏7ユーロでした!
マルシェのお買い物は、野性味あふれる食材がお手ごろに手に入るので、とってもエキサイティング。食材をゲットしたら、早速ボートで料理です。
青空の下、屋上デッキで豪快にBBQパーティー
ボートの屋上デッキには、大きなテーブルとベンチ、イスが5~6脚あり、10人程度は座れるような食卓が用意できます。
フランスはパンとチーズ、オリーブ、パテ缶が絶品。難しい料理をしなくても、近くのスーパーで買って来たものを出して食べるだけでも十分ごちそうです。
まずは、お手軽にそのまま食べられるものをテーブルに出して、ワインで乾杯です。
そして、目玉は備え付けのBBQグリル。大きく立派なグリルで、購入したお肉や野菜を焼いてワイルドにいただきます。青空の下、ボートの屋上でそよ風に吹かれながらBBQをする。これこそボート暮らしの醍醐味ですね。
夕暮れ時はロマンチックに、水上ディナータイム
日が長い、南仏の5月。19時でもまだ真昼間のように明るく、いつも以上にゆっくりゆったりディナータイムを過ごすことができます。夕暮れ時の21時ごろ、川沿いの街灯がぽつぽつと明かりを灯すのがとてもロマンチック。
とっぷりと暮れるのは22時。星空と街灯の明かりの下、ワイン片手についついおしゃべりに夢中になるものです。
メルヘンな村を訪れたり、ちょっとした観光も楽しめる
ボート暮らしの楽しさは、川の上だけではありません。運河の途中に点在する停泊地の中には、大自然がいっぱいな場所はもちろん、小さなかわいい村もあるんです。
ガチョウやカモが我が物顔で通りを闊歩する姿に思わず癒されるような、のどかでメルヘンチックな村を訪れるチャンスも。川沿いにある歴史あるシャトーでワインを購入したり、
少し足を伸ばしてオリーブオイル農家を訪れたり。ボート暮らしをしながら、ちょっとした観光も楽しむことができます。
運河の上を風を切って走らせる、フランス流バカンス
これから夏に向けて、フランスでは本格的にバカンスシーズンを迎えます。毎年運河で暮らすのを楽しみにしている方の中には、自分用のボートを所有している方も少なくないとか。
ホテルやビーチとも、テントやオートキャンプともまた一味違う、水上ボートでのバカンス。南仏を訪れる機会があるなら、ぜひ試してみては?
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