おうち時間が増えたことで、ガーデニングを始める人が増えている今日この頃。ガーデニングは「庭で楽しむもの」というイメージを持つ人も多いかもしれませんが、ベランダでも日当たりや風通しなどに気をつければ、季節の草花や常緑樹など、幅広く楽しむことができます。
植物の植え替えに適した温度は25度前後、球根の植え付けは15度前後。涼しくなってくる秋は、ガーデニングをスタートするのにぴったりのシーズンなんです!
今回は、都内最大規模のガーデンセンター「オザキフラワーパーク」で花苗部門を担当する今祥太朗さんに、ベランダガーデニングにオススメの植物や、栽培のポイントを伺いました。お気に入りの植物で、ベランダガーデニングを初めてみませんか?
東向きのベランダが最適!ベランダガーデニングは日当たりと風通しを意識して
約4000㎡という広大な売り場に、たくさんの植物が並ぶ「オザキフラワーパーク」
ベランダで植物を育てる場合、鉢やプランターで管理することになります。庭に地植えする方が、植物が根を伸ばしやすいという利点はありますが、鉢植えだと「移動のしやすさ」という点で管理しやすいと、今さんは話します。
「鉢などで管理するベランダガーデニングは、移動のしやすさがメリットです。植物には秋冬に適したもの、春夏に適したものがありますが、いずれも過度な寒さや暑さは苦手です。霜が張るほどの寒さが厳しい日は室内に、夏の強い日差しから植物を守るために鉢ごと日陰に移動すると、植物が受けるダメージを抑えられます。台風などの大雨時にも雨風が避けられる場所に避難させてくださいね」(今さん)
植物を置く場所は、風通しの良い「東向き」がおすすめ。日当たりが良すぎる南向きだと、水枯れを起こしやすく、コンクリートによる照り返しの熱も強いため植物が弱ってしまう原因になることも。梅雨時期の湿度も植物は苦手なので、鉢を台などで底上げし、風通しを良くしてあげることも長く楽しむためのポイントです。
園芸初心者でも育てやすい!秋冬にぴったりのハーブや草花
ハーブは丈夫で育てやすいので初心者向き!
ハーブ類は育てやすく、料理やハーブティーとしても楽しめ、園芸初心者におすすめの植物。ポピュラーなミントは、丈夫で強く、どんどん茎葉を伸ばします。冬場に地上部が落葉しますが、春になると再び芽吹くので長く楽しむことができるのも嬉しいポイント。ただとても繁殖力が強いので他のハーブとの寄せ植えには不向きです。寄せ植えをするなら、ローズマリーやタイム、オレガノなどが適しています。
また、10〜11月は秋冬にシーズンを迎える植物に入れ替わる「端境期(はざかいき)」ともいい、市場では寒さに強い草花が多く出回るようになります。秋冬におすすめの花は、パンジーやビオラ、カルーナなど。花が密集して咲く姿が美しいガーデンシクラメンもこれからのシーズンに適していますが、パンジーやビオラと比べると寒さに弱いため、冬は夜間だけ室内に移動させ、特に寒い日は不織布を被せてあげると良いそうです。
レモンのような常緑樹でも、深さがある大きめの鉢であればベランダで栽培可能
「最近では、『収穫を体験したい』と、レモンなどの常緑樹や、トマト、リーフレタスなどの野菜も人気です。ベビーリーフやレタスなどの柔らかい葉には虫がつきやすいため、風通しの良い場所で管理し、虫がついてしまったら野菜用の殺虫・殺菌剤などをスプレーで吹き付けてあげてください。秋と春は植物が成長する時期なので、それぞれの種類にあった肥料を追肥してあげると元気に育ちますよ」(今さん)
実は屋外でも育てやすい「多肉植物」と、春の開花を楽しみに待つ「秋植え球根」
室内用のイメージが強い多肉植物は、屋外でもよく育つそう
室内のインテリアとしても人気の多肉植物は、屋外でも育てやすく通年楽しめる植物です。秋に育てるなら、エケベリアやセダム、ペペロミア、センペルビウムなどの春と秋に成長する種類が適しているとのこと。ちなみに、サボテンも多肉植物の一種ですが、夏に成長する種類で水やりのタイミングなども異なるため、春・秋系の多肉植物との寄せ植えは控えましょう。
球根植物は咲いた時の花の色を想像しながら植え付けるのも楽しい!
「秋植え球根」とも呼ばれ、春に花を咲かせるチューリップやヒヤシンス、ムスカリ、クロッカスの球根は、10月〜11月が植え付けのタイミング。
「チューリップは、咲き終わったら球根を掘り起こし、おが屑に包んで保管しましょう。秋に再び植えつければ翌春も花を楽しむことができます。ヒヤシンス、ムスカリ、クロッカスの球根は、植えっぱなしで大丈夫。7〜8年は咲き続けてくれるでしょう」(今さん)
どの植物も、水枯れと水のやりすぎには注意。水やり前の鉢の重さを覚えておき、その重さを目安にして、土が乾き切る前に水をあげるようにすると、水枯れや根腐れの防止になります。
バランスの良いレイアウトのポイントは「奇数」で寄せ植えすること
今さんのアドバイスを基に、ハーブ、花、多肉植物の3種類で実際に寄せ植えをしてみました。ベランダガーデニングに必要なアイテムは、鉢、鉢底ネット、培養土、土入れ(もしくはスコップ)だけ!意外と手軽に始められますね。
「インターネットなどで得た情報を頼りに、さまざま土を混ぜ、アレンジしすぎて失敗してしまうという園芸初心者も多いです。ほとんどの植物が培養土で育つので、難しく考えすぎなくて大丈夫ですよ。水はけをよくしたいなら、赤玉土などを適量混ぜると良いでしょう」(今さん)
また、寄せ植えのレイアウトのコツは「3種類、5種類など、奇数単位で植物を選ぶとバランスよく仕上がる」とのこと。
鉢選びも植物によって植え付けの深さや広さが変わってくるため、迷った時はお店の人に選んでもらうのが良さそうです。
ハーブは、ローズマリー、タイム、オレガノ、多肉植物はエケベリア、セダム、ペペロミア、花はガーデンシクラメン、カルーナ、アイビー、そしてチューリップをセレクトしました。
ではさっそく寄せ植えをスタート!
①鉢底ネットを穴の大きさに合わせてカット
排水用の穴より少し大きめにカットし、穴の上にネットを置いたら軽く土を敷きます。
②苗を植える
苗をポットから出し、土の上に置いていきます。高さのあるものは奥に配置するとバランス良くまとまります
③球根を植える
花の鉢植えの手前中央には、チューリップの球根を植え付け。春が待ち遠しい!
④水を与える
寄せ植え後は鉢底穴から水が出るまでたっぷりとお水をあげて、半日陰で管理しましょう
「植え替え後、半年から数年経って鉢底の穴から根が出てきたり、土の吸水が悪くなってきたら再度植え替えましょう。その際も、春か秋の気温が穏やかな時期を選び、2回り程度大きな鉢に植え替えてあげてください。植え替えの時も、使用する土は培養土でOKです」(今さん)
料理やドリンクに活用できるハーブミックス
寄せ植えの手順もシンプルで、思っていたよりも簡単に出来上がり!ベランダの一角がパッと華やかな雰囲気になりました。まるで自分だけの小さな庭を持てたかのような充実感。仕事や家事の合間に、「元気に育っているかな?」と窓越しに様子を見るたびに、愛着が深まっていきそうです。
引き続き人気の多肉植物。インテリアにぴったり
ガーデニングを始めるのにぴったりのこの時期。ベランダガーデニングで暮らしに彩りを添えてみてはいかがでしょうか。
- ■お店情報
- オザキフラワーパーク
- 住所:東京都練馬区石神井台4-6-32
- 営業時間:9:00〜19:00
- 定休日:1/1〜1/2
- TEL:03-3929-0544
- HP:https://ozaki-flowerpark.co.jp/
- ※取材当時のものとなります。最新情報はお店のHPやSNSをご確認ください。
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