ローズマリーやタイムが効いたビストロの1皿、ミントを使った爽やかなデザート、レモンバームをたっぷり入れたハーブティー、パクチーやレモングラスを使ったエスニック料理…。料理に少し加えるだけで、風味や味の奥行きがグッと深まるハーブ。最近はスーパーなどでもさまざまな種類のハーブを購入することができますが、初心者でも育てやすいハーブは家庭菜園にもおすすめです。自宅で育てれば、フレッシュなハーブをいつでも食べることができちゃいます。
今回は、高知県でハーブ専門農家を営む「まるふく農園」の楠瀬健太さんにアドバイスをいただきながら、自宅でハーブを栽培し、おいしくいただく方法をご紹介いたします。
高知でハーブを栽培する「まるふく農園」
無農薬で育てられたで「まるふく農園」のハーブはとっても元気で、香りも◎
高知県高知市で、自然の力に委ねた方法でハーブを栽培し続けている「まるふく農園」。料理にすぐ使えるフレッシュハーブ、見て触れて食べて楽しめる苗、四季折々のお花と香りを楽しめるハーブブーケ、ハーブを使った加工品など、暮らしに取り入れやすいハーブを作り、その楽しみ方を提案しています。
今回は、まるふく農園で人気の苗の「キッチンハーブセット」をオーダーし、育ててみることにしました。この「キッチンハーブセット」は、食べられるハーブを希望金額に合わせて選んで送ってくれるというもの。季節やタイミングによって届くハーブが変わるので、何が届くかワクワクする楽しみも。
「ハーブや植物は1種類だけ育てるより、多品種で育てた方が育てやすいというメリットもあるので、数種類を組み合わせたセットにしています。
セットの内容は基本的におまかせなので、知らないハーブが入っていることもあるかと思いますが、そこからそのハーブの特徴や活用法について知るきっかけになればうれしいです」と楠瀬さん。
ハーブは単体で使うより組み合わせることで食べやすく、おいしくなるとも言われているので、複数種類を育てることで料理にも使いやすくなります。
今回は、ロケット、マスタードグリーン、イタリアンパセリ、ローズマリー、タイム、セージ、スペアミント、レモンバーム、レモングラスの9種類が届きました。
「春はハーブを植えるのに一番適した季節です。早めの時期は、イタリアンパセリやコリアンダー、ディルなどセリ科の植物、ロケットやマスタードグリーンなどサラダ用のハーブがおすすめ。4月後半になるとバジルなどが出荷開始になります」(楠瀬さん)。
ハーブを元気に育てる3つのポイント
比較的育てやすいとされているハーブ。元気に育てるために大切なポイントは、日当たり、水はけ、風通しの3つです。
「多くのハーブが元気に育つための条件として、日当たり、水はけ、風通しがいい環境が重要になってきます。あとは、水やりを適度にできれば順調に育ちます。水やりは鉢の土の状態をみて、表面が乾いたらあげるようにしてください。毎日と決めずに、あくまで土の状態に合わせてあげるのがポイントです」(楠瀬さん)。
土の様子を見ながら水やりをし、ハーブの成長をチェックしている間にもふんわりといい香りが漂います。
日頃からハーブに携わる楠瀬さんも「毎日、ハーブのブーケを束ねたり、苗を出荷したり、手入れしたりと毎日ハーブを触っていますが、いつもいい香り!と思っています。いろいろなハーブの香りが混ざっている香りはその季節ごとに異なり、1年を通して変化する香りを楽しめるのもハーブ栽培の楽しみなのではないでしょうか」と言います。
料理する楽しみも広がるハーブを使った料理
ハーブが元気いっぱいに育ったところで収穫し、実際に食べてみました。
ロケット、マスタードグリーン、イタリアンパセリは、採れたてをちぎって、ドレッシングで和えて、旬のいちごを加えたフルーツサラダに。サッと食べられて、栄養も摂れるので、朝食にもぴったりです。料理の付け合せやちょっと1品足りないときにも◎。
ローズマリーやタイム、セージなどは、お肉や魚、野菜と一緒に過熱して使うのがおすすめです。使う量は少量でOK。鍋やフライパンに1〜2本入れるだけで、風味豊かになります。
今回はサーモンのソテーにローズマリーとセージ、アスパラのグリルにローズマリーとタイムを使ってみました。ハーブを使うと香り豊かになるので、シンプルな味付けでもおいしくなるといううれしいメリットも。
採れたてのハーブはドリンクに使っても、フレッシュでおいしいです。紅茶にハーブを入れて風味をプラスするのももちろん、ポットにハーブとお湯を注いでフレッシュハーブティーにしても◎。暑い季節にはハーブを入れたアイスティーやフルーツシロップにソーダをプラスしたり、ミントたっぷりのモヒートなんていうのもいいですね。
ご存知の通り、フランスの家庭料理でもハーブはおなじみの存在。ポトフなどの煮込み料理には、タイム、ローズマリー、パセリなどを束ねたブーケガルニが欠かせませんし、ハーブお肉やお魚を加熱調理する前にハーブと一緒にマリネしたり、じゃがいもやパスタを茹でるお湯に入れて香り付けに使うことも。
鶏肉にローズマリーをあわせてみようかな?ポテトサラダに合うハーブはどれかな?と、食材とハーブの組み合わせをいろいろと考えてみると、毎日の料理も楽しく、バリエーション豊かになっていきますよ。
「ハーブというとなんとなく西洋の草というイメージもあり、身構えてしまう方も少なくないかと思いますが、日本にはわさびやシソ、山椒など薬味としてハーブをたくさん使っている文化があります。現在の和洋ミックスされた食文化の中でもハーブをうまく使うことにより食文化や生活がもっと豊かになるものだと思います」と楠瀬さん。
育てて、料理して、食べて楽しいハーブ。この春は、ハーブを育ててみてはいかがですか?フレッシュな香りが、暮らしを、食卓を爽やかに彩ってくれますよ。
- ■協力
- まるふく農園
- 高知県で炭素循環農法の考え方を基に、農薬も肥料も使わず、健康で元気なハーブを育てているハーブ専門農家。生花、西洋野菜、アジア野菜など、幅広い種類のハーブや植物を栽培し、苗やフレッシュハーブ、ハーブブーケ、ハーブを使ったパンやコーディアルなどの加工品を販売。高知県内のホームセンターや産直、日曜市などで販売するほか、現在はオンラインショップとメールでの問い合わせで地方発送も行っています。
- ホームページ:https://www.matokaherbs.com/
- Instagram:@ marufukufarm
- オンラインショップ:https://matokaherbs.thebase.in/
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