2018年にオープンした東京ミッドタウン日比谷、その1階にまるでパリの食堂の様な空間があります。そこが今回訪れた『Buvette(ブヴェット)』。朝、昼、夜と「ALL DAY楽しめるお店」として人気のお店です。
その魅力を、各シーンにぴったりな料理と共にご紹介します。
いつ訪れても“おいしい”フレンチ食堂
アンティークの自転車が出迎えしてくれます
NYのウェストヴィレッジにある『Buvette』の本店は、朝から深夜まで活気あふれているそう。NY、パリに引き続き、世界で3店舗目となる日比谷店も、NY本店の雰囲気を再現しています。
その空間でいただけるのが、フランスの伝統的な家庭料理。まずは、それぞれのシーンにぴったりのメニューを見てみましょう。
【朝orブランチ】
『Buvette』の朝はスチームエッグから!「LES OEUFS VAPEURS(ル ウフ ヴァプール)」と呼ばれるスチームエッグは、エスプレッソマシーンのスチーマーで蒸した卵料理です。約3個分の卵に、塩を少々。たったそれだけなのにコクがあり、卵のうまみをダイレクトに感じます。油やバターを使用していないのに濃厚なのは、スチーム調理だからでしょうか?スクランブルエッグとはまた違うふんわりとした食感はここでしか味わえません。
「LES OEUFS VAPEURS」のラインナップは全3種類。
・JAMBON CRU(ジャンボンクリュ):プロシュート、グラナパダーノチーズ
・SAUMON FUMÉ(サーモンフュメ):スモークサーモン、クレームエペス、ケイパーベリー
・FINE HERBES & CHEVRE(シェーヴル):ゴートチーズ、フレッシュハーブ、セミドライトマト、バジルソース
添えられているのはどれもほどよく塩味のあるもので、スチームエッグと合わせるとちょうどよい塩加減になります。そのまま食べても、バゲットにのせても、お好みの食べ方でいただきましょう。
一緒にいただくのは、パリらしくカフェオレを。カフェオレボウルにたっぷりと注がれたカフェオレもパリらしさを醸し出してくれます。
【ティータイム】
『Buvette』のメニューの中でも人気上位なのが、「MOUSSE au CHOCOLAT(ムースオショコラ)」。セミスイートチョコレートをふんわりとしたムース状に仕上げていて、濃厚ながら軽い口当たり。ぺろりと完食できちゃう罪深いスイーツです。
またフレンチシックな「TARTE TATIN(タルトタタン)」もおすすめ。大ぶりにカットされたリンゴをキャラメリゼしてパイ生地で焼き上げています。アップルパイとはまた違ったタルトタタンならではの味わいが楽しめます。添えられているのは「クレームエペス」という発酵生クリーム。程よい酸味が、タルトタタンとマッチします。
スイーツとのペアリングはやはりコーヒー。『Buvette』では八雲や奥沢に店舗を持つ『ONIBUS COFFEE(オニバスコーヒー)』の豆を使用。アイスコーヒーはすっきりとしていて、濃厚なスイーツとの相性も抜群です。
そしてスイーツとの意外な組み合わせで人気なのが自家製のレモネード。レモンの果汁たっぷりで、夏らしい爽やかさです。
【アペロorバータイム】
アペロやバータイムにおすすめなのが「CHARCUTERIE(シャルキュトリー)」の数々。田舎風のテリーヌや鴨のリエットなど、フランスらしいお惣菜が揃っていますが、初めて方はぜひ盛り合わせを!プロシュートやサラミなども加わった一皿で、ワインとのペアリングにぴったりです。
『Buvette』はワインセラーがあるほど、ワインが豊富ですがコロナ禍の昨今アルコールの提供が難しい状況です。そこでぜひ味わっていただきたいのが、日本オリジナルで作られているノンアルコールカクテル。リンゴとジンジャーのコーディアルをスパークリングウォーターで割った「APPLE GINGER MULE(アップルジンジャーミュール)」は、リンゴの香りの中に、しっかりとジンジャーの刺激が感じられる大人な1杯です。
ご紹介したのはメニューのほんの一部。ディナータイムは豊富な野菜料理に、ブイヤベースやラム肉のタジンなどボリューム満点のメニューも揃っていますよ。
アメリカとヨーロッパのミックスカルチャー空間
フレンチ食堂ながらアメリカンな雰囲気が随所に
フランスの家庭料理を提供する『Buvette』ですが、実はアメリカ出身のジョディ・ウィリアムズさんによってローンチしたレストラン。ジョディさんの料理哲学について、『Buvette』のブランディングマネージャーを務める近藤真理子さんに伺いました。
「ジョディはサンフランシスコでキャリアをスタートし、その後、独学で調理スキルをマスター。その後ニューヨーク、イタリアで修行を積み、2010年にNYのウェストヴィレッジに『Buvette』をオープンしました。イタリアには6年ほど滞在していたそうですが、その時にフランスにもよく足を運びフランス料理について学んだそうです」(近藤さん)
ほどんどの料理の仕上げはカウンターで。そのライブ感も魅力のひとつ!
ジョディさんが学んだのは、高級フレンチの技法ではなく、オーセンティックな家庭料理。
「ジョディはアンティークなど伝統的なものが好きです。もちろん料理も同じで、代々受け継がれているような家庭の味を大切にしています。ですからジョディが作り出す料理は、どれも基本に忠実。トレンドの低温調理など、モダンなテクニックは使いません」。(近藤さん)
レシピは基本どれも本国と同じですが、食材は日本のローカルなものを使用しています。
「全国の生産者さんから直接食材を仕入れています。もちろん品質が素晴らしいからですが、『Buvette』がハブとなり、ある農家さんとある酪農家さんがコラボレーションする。そんな生産者さんたちのコミュニティが私たちを中心に広がっていくといいな、と思っています」。(近藤さん)
細部にまで“空気感”を大切にする
たっぷりと光が差し込むシャンデリアの下は特別な場所
『Buvette』を象徴する言葉に“ガストロテック”というものがあります。これはどういった意味なのでしょうか?
「これは“ガストロノミー”と“テック”を合わせた、ジョディ自身が作った造語です。朝から晩まで肩肘張らずに食事を楽しめる場所・環境を表現しています。私たちは料理はもちろんのこと、空間にもこだわっています」。(近藤さん)
店内のインテリアは、半分がNY本店と、もう半分がジョディさんがオーナーのイタリアンレストラン『Via carota』と同じ様な雰囲気にしています。お店のシンボルにもなっているシャンデリアは、NY本店の照明と同じデザイナーが日比谷店のために制作してくれました。
「ジョディはアンティークのコレクターでもあるので、NY本店はアンティークな雰囲気です。日比谷店も同じ雰囲気にするべくスタッフがアンティーク雑貨を収集しました。またNY本店と比べて3倍ほど広いため、イスなどは数が必要。そこで、アンティークのリモデル家具を購入し、使用しています。
教会で使用されるチャーチチェアのリモデル家具。背に聖書を入れるポケットがあります
「実は、トイレのデザインにもこだわっています(笑)。近代的なトイレにしてしまうと、現実に戻ってしまいますよね。トイレでも『Buvette』の雰囲気に浸ってほしいので、フランスらしいデザインにしています」。
写真では紹介できませんが、まるでパリのアパルトマンのようなクラシックなトイレ。洗浄機能も、温かい便座もありませんが、だからこそ渡仏した気分が味わえます。ぜひ、お店を訪れて体感してみてください。
トイレへのアプローチは、ワインセラー。田舎にあるワイナリーの倉庫のような秘密めいた雰囲気です
朝は街路樹の下で爽やかな空気を、昼は活気ある賑やかな食堂らしさを、バータイムはムーディーな雰囲気を楽しめる『Buvette』。いつ訪れても、それぞれの時間帯の魅力があります。現在は時短営業中、テイクアウトやデリバリーも実施しているのでご自宅でも『Buvette』を味わってみてくださいね。
- ■お店情報
- Buvette
- 住所:東京都千代田区有楽町1丁目1番2号 東京ミッドタウン日比谷1階
- 営業時間:11:00〜20:00(月〜金曜日)
- 9:00〜20:00(土・日曜日)
- HP
- ※取材当時のものとなります。最新情報はお店のHPやSNSをご確認ください。