大好きなパリへ行くことはもちろん、国内旅行でさえもままならない昨今。長引くコロナ鍋で旅ができないなら、せめておうちでフランス気分を味わいたいという方も多いのではないでしょうか?そこで今回は世田谷の豪徳寺にある『FUJII LABEL』代表の藤井綾さんに、普段のテーブルに気軽にフランスを取り入れるアイデアをうかがいました。
より身近なフランスを発信する『FUJII LABEL』
豪徳寺駅前の賑やかな通りから少し奥に入ったところにある『FUJII LABEL』。ここは、フランスの家庭料理教室であり、カジュアルで親しみやすい等身大のフレンチとワインが楽しめるbar à vin(ワインバー)でもあり、『FUJII LABEL』が輸入するフランスらしい個性ある食材を扱うÉpicerie(エピスリー=食料品店)でもあります。
『FUJII LABEL』代表の藤井綾さんは、10年に及ぶパリ生活を経て、日本に帰国後料理教室を始めました。「特別なフランス料理ではなく、日本のスーパーで手に入る身近な食材を使って作るフランスの家庭料理を伝えたい」。その思いは10年経った今も変わらないし、今なおとても大切にしていると藤井さんは言います。そんな日本とフランスの接点を伝える藤井さんのフランスらしさを手軽に取り入れるアイデアとは?
アイデア① 普段の調味料をフランスのものに置き換える
そんな藤井さんがこだわり抜いてセレクトした『FUJII LABEL』のフランス食材。普段食べ慣れない食材や使い慣れない調味料は、私たちがいつも使っている、似たような風味の食材と置き換えてみるのがコツなのだとか。今回は、おすすめの3アイテムと手軽な取り入れ方を教えてもらいました。
辛子の代わりにノルマンディー・マスタード
「マスタードはフランスの基本調味料のひとつで、日本で言うと醤油とか味噌みたいなもの。フランス人の家庭の冷蔵庫には必ず入っています。使い方は、和辛子感覚でおでんやとんかつのトッピングはもちろん、ハンバーグやミートボールなど挽肉料理の種に混ぜ込んで使うと味わいに深みがでておいしくなりますよ」。
辛子の代わりなら、和食にも簡単に取り入れやすそうです。
「私のおすすめはステーキ!お肉を焼いてマスタードを付けて食べる。これがシンプルでとてもおいしいんです。あと、ローストビーフにもよく合います。フランス人もこんな感じでマスタードを使っていますね。フランスのレストランに行くと、テーブルに塩、胡椒とマスタードが置いてあって自由に使うことができます。それくらいフランス人にとっては当たり前の調味料なんです」。
レモンの代わりにワイン・ビネガー(赤・白・ロゼ)
赤ワインビネガー “アンジュー ルージュ ヴィラージュ ブリサック AOC”
「レモンの代わりに揚げ物にかけるとさっぱりと食べられます。個人的にもからあげにビネガーをかけて食べるのが大好きです。あと、ポテトチップスや生牡蠣にかけてもおいしいですよ!」。
『FUJII LABEL』が取り扱うワイン・ビネガーは赤・白・ロゼと3種類ありますが、「お肉には赤、魚は白というように決める必要はない」と藤井さん。それぞれ風味は違うけれど、自分の気分で使い分けたらよいのだそうです。
一味や胡椒の代わりにエスプレット唐辛子
「エスプレット唐辛子はバスク地方の唐辛子で、パウダーとペーストの2種類を取り扱っています。パウダーは一味感覚でうどんや湯豆腐にぱらっとふりかけたり、卵料理やチャーハンの仕上げに胡椒の代わりにふりかけると、すごく香りが立つんですよ。」
「また、ペーストは柚子胡椒感覚で使ってもらえたらと思います。唐辛子にも塩は少し入っているのですが、柚子胡椒より塩分少なめで、そんなにしょっぱくありません。唐揚げや焼き鳥につけたり、ラー油のかわりに水餃子につけてもおいしいです」。
クスクスのアクセントにもおすすめ
現地のバスク地方では、パプリカを使った料理や鶏肉の煮込み、挽肉料理に唐辛子パウダーを調味料として使うのだとか。また、エスプレット唐辛子はスペインでも定番の調味料。「スペイン料理を作ろうとすると、レシピにこれが絶対でてくるんだよね」と言って買いに来られるお客様も多いそうです。
フランスの定番調味料をストックしておきさえすれば、手軽にフランスをテーブルに取り入れることができます。『FUJII LABEL』のHPでは、フランスの調味料を使ったレシピもたくさん掲載されているので、気になった方はぜひチェックしてみてください。
アイデア② 食卓に1皿だけ古い器を入れてみる
食材で楽しんだあとは、テーブルコーディネートにもこだわりたいところ。
「1つだけでもいいので、古い器を取り入れるとグッと雰囲気が出ます。アンティークというとすごく高価なイメージがあるかもしれませんが、高価なものでなくてもいいんです。
例えば、手軽に買えるIKEAのお皿たちの中に古い器が1つある。それだけでテーブルがしまります。むしろ、全部がアンティークの器だと私は少し息苦しさを感じますね」。
アンティークの器1つでよければ、気負わず毎日の食卓に取り入れられそうです。
「全部アンティークで揃えないのと同様、器を全て同じ素材で揃えないのもポイントです。ガラス製や木製のお皿など、フランスのアンティークと北欧系のモダンな器が同じテーブルに置いてみたり。ひとつのカテゴリーでまとめてしまうと、単調な食卓になってしまい、豊かじゃないなと感じます。どんな器を買ったらよいかわからないという声もありますが、器選びは経験なので、まずは1つ買ってみるといいですよ」。
アイデア③ 1日の区切りにアペリティフを
フランス習慣を取り入れるのに欠かせないのがアペリティフ。日本に帰国されてからも毎日続けているそうです。たしかに、フランス人は夕方からカフェやレストランのテラス席でグラスを片手におしゃべりしているというイメージがありますが、藤井さん曰くアペリティフはもっと気軽なものなのだそう。
「フランスでは子どもも一緒にアペリティフを楽しみます。お酒を飲まなければならないというルールはないので、子どもはトマトジュースを飲んだりしていますよ。アペロって日本の雑誌でもよく取り上げられていますが、あんな華やかなものではなくて、普段はとても地味なものです。ポテトチップスとビールだけでも立派なアペロです。フランスではサラミとかよく食べていました。フォークやナイフがなくてもよい、手でつまめるものが主流ですね」。
市販のポテトチップスにビネガーをひとかけ
「食事の準備を終えてお皿をテーブルに並べる前に、まずは1杯。私にとってはそれがとてもリラックスできる瞬間です。アペリティフは今日も1日終わったと、仕事モードからリラックスする時間への区切りじゃないかなと思います」。
藤井さんがアペリティフを含めて食事にかける時間はだいたい19時半頃から21時くらいだそう。
「家族と今日はどんな1日だったかを話します。この時間が大好きなんですよ。日本では、なかなかこんなに時間を取ることは難しいかもしれませんが、5分でも10分でもアペリティフの時間があると気持ちの切り替えができると思いますよ」。
***
フランスに長く暮らし、フランスをよく知る藤井さんが普段の生活に取り入れるフランスは、どれも特別なものではありません。ワインが大好きなフランス人が案外ワインのことを詳しく知らないように、私たちも気負わず、ラフに、身近なところから取り入れてみてはいかがでしょうか。
- ■お店情報
- 『FUJII LABEL』
- 住所:東京都世田谷区豪徳寺1-23-23 Cloche豪徳寺101
- 電話:080-7531-8236
- HP:https://www.fujii-label.com/
- Instagram:@fujii_label
- ※記事の内容は取材当時のものです。 最新の情報は、お店のHP、SNSなどをご確認ください。
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