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今週末は自家製なつめやし酵母のパンを求めて山手『オンザディッシュ』へ

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今週末は自家製なつめやし酵母のパンを求めて山手『オンザディッシュ』へ

横浜駅からJR根岸線に乗って数分の山手駅にある、パン屋『ON THE DISH(オンザディッシュ)』に行ってきました。

山手にあるパン屋『オンザディッシュ』の看板

携帯のナビではうまくたどり着けないこともあるということで、お店のホームページに書いてある行き方を読みながら歩くこと約7分。まず1つ目の看板を発見。

山手のパン屋『オンザディッシュ』の入り口

さらに進むと、2つ目の看板も。小さな小さな看板なので、うっかり通り過ぎてしまわぬように。まるで小さな冒険をしているような気分になりながら店内に入ると、緑が生い茂る庭が一望できるガラス張りの空間が!

山手のパン屋『オンザディッシュ』の店内

今回は、このお店の店主である佐藤彩香さんにお話を伺いました。

 

「私もこんなパンが作ってみたい」。独学ではじめたパン作り

『オンザディッシュ』の食パン

実は幼い頃からずっとパンが苦手だったという彩香さん。しかしある日、山の中で手づくりのハーブ入りのパンを食べたときにそのあまりのおいしさに驚愕し、すぐに「私もこんなパンが作ってみたい」とパン教室に通い始めたそう。

当時、働いていたアパレル関係のお仕事は決まった休みを取ることが難しく、パン教室にもなかなか通えませんでした。そんな生活の中で、もっとパンを知りたいという思いが次第に強くなっていったそう。「パンを作りたいので」という理由で退社し、独学でパン作りをスタート。

『オンザディッシュ』の黒糖胡桃カンパーニュ黒糖胡桃カンパーニュ

「独学でパンを作ってきたので、私が作るパンは技術も知識も欠けています。しかし、頭で考えるのではなく、体で感じて作っているので、そこが当店のパンの個性になっているんじゃないかとプラスに考えています。

パン作りをはじめた頃から思っていたのは、バターや牛乳、卵や砂糖を使ったリッチなパンではなく、酵母・粉・水・塩のみで作るシンプルな自家製天然酵母のパン作りをしようということ。老若男女問わずにおいしいと思ってもらえるような自家製酵母パンを生み出すために、日々試行錯誤しました。食感にはとてもこだわっています」と彩香さん。

彩香さんの作るパンは自家製のなつめやし酵母を使っています。なつめやし(別名:デーツ)はとても栄養分が多く、糖分が高いことから発酵力も高いのが特徴です。この酵母を起こし始めてから、なんと10年以上ずっとかけ継ぎをして育て続けているのだそう。

「自家製天然酵母だからこその味や香り、粉の香りを楽しみ、その季節やその日の体調や気分によって、食べ方を楽しんで頂けたらうれしいです。そうやって、買っていただいたお客様の暮らしに寄り添えるようなパンが作れたらと願っております」と話してくださいました。

 

山手という場所、名前に込められた想い

山手『オンザディッシュ』の庭、山々店内からは竹林など緑豊かな景色が望めます

山手という場所は、彩香さんのご主人が生まれ育った場所であることから暮らし始めたのだそうです。また、大きな公園があり緑があふれ、住宅街と学校がある静かな街であることから暮らすほどにこの街が好きになったのだとか。

山手『オンザディッシュ』の看板

2010年4月に開業し、今年で7年目迎えるという『ON THE DISH』。パンを一番の軸としながらも、「暮らし全体を豊かにする食や日々の過ごし方もご提案していきたい」と、お店ではパンの販売以外にも日常が楽しくなるいろいろなイベントや物販もされているので、気になる方はお店のサイトをチェックしてみてくださいね。

山手『オンザディッシュ』のパン

『ON THE DISH』は日本語に訳すと「お皿の上」という意味。

「パンは食べてしまえば形は残りませんが、食べていただくお客さまがそれぞれの心の中に、お皿の上でどこで誰とどのように食べたのかという『お皿の上の景色』が刻まれればいいなという願いを込めて付けました」と彩香さん。

 

全てがおすすめ!自家製なつめやし酵母で作るパン

パンの種類は、お店の軸である「cotton(食パン)」と「lunch(イングリッシュマフィン)」を中心に、金曜日には5種類、土曜日には遠方から来るお客様も多いため、色々な種類のパンをお楽しみいただけるようにと食事パンとお菓子パンを8種類用意しているのだそうです。

山手『オンザディッシュ』の食パン「cotton」cotton(食パン)

「cotton」は、北海道産キタノカオリ・榛名山天然湧水・自家製なつめやし酵母・ゲランドの塩・オーガニックメイプルシロップ・菜種油で作られた食パンです。トーストすると外側はカリっとして、中はもっちり。

こちらの食パン、はじめは名前がなかったそうですが、彩香さんのご友人の手織りカシミアの作家の方とイベントがきっかけで、「パンの名前も織の素材となるものにしよう」と考え、cotton(綿)のようなイメージから名づけたのだそうです。

山手『オンザディッシュ』のイングリッシュマフィン「lunch」lunch(イングリッシュマフィン)※販売用(テイクアウトのみ)

こちらは「cotton」と同じ材料で作られた「lunch」。イングリッシュマフィンは当初「lunch」と、それより一回り小さい「morning」(現在は販売しておりません)の2種類ありました。「lunch」はチーズや野菜を挟んでサンドイッチにもできて、お昼に食べるイメージで命名したのだとか。

011

袋やお店のホームページにはこの「lunch」のあたため方も記載されています。お好みでチーズやジャムと合わせても良いとのことで、後日、自宅でトーストして食べてみました。半分の高さのところをフォークで1周刺して、手で半分に割ります。その断面のボソッとした食感も楽しいパンです。

012marron

「marron」は、沖縄産黒糖入りの生地に、イタリア産のマロングラッセが入っています。黒糖入りの生地は、他のパンに比べてもっちりしっとりとしています。丸くコロンとした小ぶりなサイズもかわいらしいですよね。マロングラッセのほどよい甘さは、パン自体の味を邪魔せずマッチしています。

『ON THE DISH』のパンは、使われている粉、水、塩など材料がそれぞれに表記されています。自家製なつめやし酵母をはじめとし、メインで使われているのが、キタノカオリ(北海道産強力粉)・榛名山の天然湧き水(群馬県)・ゲランドの天日塩。「『食』は食べてくださる方のそのまま体になるものだから」と、どれもこだわり抜かれた素材、信頼する作り手から厳選した材料で作られています。だからこそ、おすすめを伺うと「全ておすすめなんです(笑)」と答えてくださいました。

 

季節を味わう、ランチセット

山手『オンザディッシュ』のランチメニュー

パンを購入したあと、季節によって変わるというランチメニューもいただきました。今回は8種のサラダと3種のパンがセットになった「サラダセット」を。ランチメニューには追加で南伊豆の『森守』さんの「野生のソーセージ(鹿と猪のハーフサイズずつ)」を付けることも可能です。

8種類のサラダは「キヌアのタブレ」、「なすのオイル漬け」、「数種のきのこのソテー」、「いんげんのマリネ」、「フレッシュ&セミドライトマトのサラダ」、「南瓜のサブジ」、「ピーマンのオーブン焼き」、「無花果とサニーレタス」と、野菜がたっぷり!ひとつひとつ野菜の味や、香りを味わいながら食べていくのがとても楽しいひと時でした。

また、パンと同様にメニューやレシピもすべて彩香さんが考えているというから驚き。南伊豆産の無農薬の新鮮な野菜をメインに、「食べて下さる方には、季節を感じていただけたら」と、パンに合うことはもちろん、旬の野菜や果物を食べてから考えて作っているのだそうです。サラダを目にしたとき、野菜がとてもキラキラと輝いていました。それも新鮮な野菜を使い、野菜本来の色を引き出しているのだからかもしれませんね。

山手『オンザディッシュ』のパン3種のパンは手前から「2種のレーズン食パン」、「cotton(食パン)」、「黒糖胡桃カンパーニュ」

「cotton」は、半分はそのままトーストしてあり、天然酵母や粉の香りと味をじっくりと堪能することができます。表面はサクッとしているのに、中は柔らかい食感。もう半分はカマンベールチーズとともにトーストしてありました。天然酵母ということでちょっと酸味が感じられるのですが、それがまた噛みしめるほどにおいしく、また濃厚なチーズとの相性も抜群です。

「2種のレーズン食パン」は、特にもちもちしていて、しっとりとした食感に驚きました。「cotton」と同じ生地なのに、よりもっちりしっとりした食感のなのは、2種類のレーズンが生地に対して40%も入っているから。そのレーズンの糖分によって生地がよりもちっとした食感になっているのだそう。また、小さめサイズであることも相まってむっちり食感が増すとのことでした。

「黒糖くるみカンパーニュ」は沖縄産の黒糖入りのしっとりとした生地に、香ばしいオーガニックの胡桃が入っています。ふんわりとしたやさしい甘さなのでお子様にもおすすめです。

山手『オンザディッシュ』の自家製赤紫蘇ソーダ

取材に訪れた9月はサラダセットでしたが、10月からはスープセットになるとのこと。10月は「きのこのポタージュ」という、きのこ数種と生カシューナッツを使ったポタージュの上にスダチの香りを纏ったきのこのソテーがのったスープを提供するとのことです。秋の香りを楽しめるメニューということで、こちらもお楽しみに!

 

作り手の顔が見えるということ、本当に心から大好きなものを

ガラス作家peter ivyさんのガラス作品「soup bubble holder」

店内ではパン以外にも食器やガラス作品などが販売されています。玄関先に置かれているのはガラス作家であるpeter ivy(ピーター・アイビー)さんの「soup bubble holder(シャボン玉の保存容器)」という作品。彩香さんご夫婦はともにpeterさんの作品がとても好きなのだそう。

お店で販売している、peter ivy 「KOBO」シリーズpeter ivy 「KOBO」シリーズ

お店で販売しているpeterさんの作品は「KOBO」シリーズのみ。

その他に販売はしていませんが、「lunch」を置いていた大きなガラスの平皿や喫茶のアイスティ、アイスコーヒーなどのドリンクを入れるグラスにもpeterさんの作品が使用されています。どれも手作りのため1点もの(彩香さんの私物)ということで、店内で実際に使うのは少しドキドキするものの「よりおいしく感じていただけたら」という思いから、peterさんの作品でお客様に提供しているのだそうです。

山手『オンザディッシュ』の店内の様子

パン作りにおいてはもちろん、使う食器や店頭で販売するアイテムについても、本当に信頼する作り手の方のものを選び、本当に心から大好きで、大切な人に贈りたいと思うものだけを紹介しているそうです。

「素材や作品だけではなく、その作り手のことも大好きだということも、とても重要なんです。作り手の顔が見えることはパンの材料がわかるということと同じことなんですよ」と語ってくれました。

彩香さんが大好きなパンと大好きな空間や作品を楽しみに、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか?金曜日と土曜日のみの営業なので、パンや喫茶は当日できる予約をされてから行くのがおすすめです。

 

  • ■お店情報
  • ON THE DISH(オンザディッシュ)
  • 住所:神奈川県横浜市中区仲尾台40(地図
  • TEL:045-622-1107
  • 営業日:[金曜日]12:00〜15:00/[土曜日]12:00〜16:00
  • ※営業日時は必ずお店のサイトにて来店前にご確認ください。
  • ※パン屋を主体としておりますので、喫茶のみのご利用はお控えいただきますようにお願いたします。

※記事の内容は取材当時のものです。 最新の情報は、お店のHP、SNSなどをご確認ください。

 

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