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リサとガスパールはどうやって創り出されている?作者ご夫妻に聞く、制作の秘密

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リサとガスパールはどうやって創り出されている?作者ご夫妻に聞く、制作の秘密

PARIS magでもおなじみのリサとガスパール。不思議な魅力でみんなを虜にするリサとガスパールは一体どんなところで創り出されているんだろう?ということで、作者であるアンさんゲオルグさん夫妻のパリのアトリエを訪ねてきました。

『リサとガスパール』の絵本が日本で出版されて今年で15年。おふたりがどのようにリサとガスパールを創り出しているのか、これからリサとガスパールにどんな冒険が待っているのかなどの制作秘話をご紹介いたします。

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おふたりのアトリエは、古い邸宅が残りつつもおしゃれなカフェやショップも並ぶパリの中心マレ地区。自分たちの手でDIYしたというインテリアは、優しい雰囲気でとても魅力的な空間。「こんな家に住みたい!」と思わずキョロキョロしてしまう気持ちを抑えつつ、お話を伺ってきました。(お部屋のインテリアは後日、紹介します!)

 

アンさんが物語をゲオルグさんが絵を描き、絵本『リサとガスパール』は生まれる

02左:アン・グットマンさん、右:ゲオルグ・ハレンスレーベンさん

―おふたりで『リサとガスパール』を創り出しているとのことですが、どのように制作されているんですが?

アン・グットマンさん(以下、アン):まず私とゲオルグと編集者でテーマを決め、そこから私がストーリーと構成を考えていきます。絵本が26ページなので、どうストーリーを配置していくか、どんなシーンにするか検討しながら。それをゲオルグに見せて、問題なければセリフなどの文章をまとめます。

ゲオルグ・ハレンスレーベンさん(以下、ゲオ):テキストができた時点でアンに「僕はなにを描けばいいの?」と聞くんです。ひとつのページ、ひとつのテキストに10バージョンくらいの絵を描くこともあります。

アン:その段階で「テキストをこっちのページにした方がサプライズかも?」と構成も調整して。構成がまとまるとゲオルグがアトリエで絵を描き始めます。

絵を描く時、テキストが入る場所をゲオルグは分かっていながら描くはずなんですが、「このキャラクターはこっちがいいな」など、描きながら構図を検討しているうちにテキストの場所をすっかり忘れてしまうことがあるんです。なので、定期的にチェックするようにしています。見に行くと、「描くべきキャラクターがいなかった!」など問題が出てくることもあったり。

でも、私もストーリーを書き上げてしまうと忘れてしまうので、確認しに行っても「これは何の絵だったっけ?」ということもあるんですが(笑)。

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ゲオ:絵を描いている時は、色彩のバランスを見ながら色を足していくんですが、それをアンが確認して「アパートにこんな色のものがあるわけがない」と指摘されることもあります(笑)。

アン:油絵なので、色が重なって行くうちにディテールが分かりにくくなってしまうことや形がぼんやりしてしまうことがあるんです。子ども向けの絵本なので、子ども達が絵を見て分かりにくいところは、修正するように言います。

実存感を大事にしているので、きちんと分かるようなもの、存在するものを描いてもらうようにしていますね。

ゲオ:アンはしっかりしているから、僕がぼんやりしているだけなんだけどね(笑)。でも、お互いに意見を言い合うのは大事だと思います。ポジティブなこともネガティブなことも。僕が描いたものを「全部素晴らしい!」とするのではなく、率直な意見を言い合うことでいい作品が生まれるのではないかな。

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―1枚描くのにどれくらいの時間がかかるんですか?

ゲオ:僕の場合は、1冊分の絵を並べて同時に描いていくので、1枚がどれくらいかは分らないです。最初はラフに構図だけ全部描いて、そこから細かく描いていきます。その方が全体の流れも見ることができるし、絵の具が乾く時間を考えてもやりやすいです。

 

リアリティを大切にして描いている

―アンさんはいつもどのようにストーリーを創っているんですか?

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アン:最初のイメージは、何かの経験をもとにというより自分がリサとガスパールの分身になりきって、そのシチュエーションに入り込んで流れを任せるところからはじまります。

そうやってイマジネーションを働かせて、ある程度流れが決まったら、プロットを整理していくんです。最終的にロジックであるかということがとても大事だと思うので、現実にありえるかどうかを検討して、難しい場合はそのアイデア自体を諦めちゃいます。

―『リサとガスパール』は舞台がパリなので、実際に存在しているかのように思えくるのも魅力的ですよね。

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アン:それは意図的にやっています。

ゲオ:絵本に描かれているものは、ゴミ箱ひとつにしても実際のパリにあるものを描いています。実際にその場所に行って描くこともありますが、動画を撮ってそれを見ながら描くことが多いです。写真だと描きたい構図とは違う場合もあるので、動画だと実際に行った感覚で好みの構図を見つけることができますから。

―あと、『リサとガスパール』の物語は、どれも結末が「ここで終わるの?このあとどうなるの?」という、続きがありそうな終わり方ですね。

アン:それも意図的に続きを感じさせるような結末にしています。子ども達にとっては、絵本の結末が望んだ通りの終わりでないこともあるので、余韻の残した結末の方がいいと思って。多くの絵本や物語にはラストに教訓があるけれど、『リサとガスパール』にはないんです。リサもガスパールもいつもたくさん失敗をするけれど、そこから何も学んでいないという(笑)。

―子どもの頃の思い出ってそうですよね。失敗したことは覚えているけれど、その後のことを覚えてなかったり、また同じことをして怒られたり。余韻のある残し方だからこそ、自分の子どもの頃と共感できる部分ができるのかもしれませんね。

アン:それは確かにそうですね。だから、大人の方でも楽しんでもらえるのかもしれません。

 

楽しんで創り続けていたら15年も経っていた

―リサとガスパールが日本で発売されて15年ですが、感想はありますか?

ゲオ:長かった!

アン:最初にはじめた時は、こんなに長く続くと思っていなかったので正直驚いています。長女のサロメは今15歳。ちょうど同い年なんです。1人の人生と同じくらいだと考えるとそれは長いですよね。

07アンさんと長女のサロメちゃんと愛猫のイムス

―15年前と現在とで創作スタイルに変化はありましたか?

アン:15年前は私の頭の中にキャラクターのイメージがそこまではっきりしておらず、試行錯誤しました。でも今はキャラクターのイメージがはっきり想像できるので、ストーリーも創りやすいです。

キャラクターの性格も含めてよく分かっているので、頭の中ですぐに彼らの行動や言動がイメージできて、絵もすぐに想像できます。

今は「さあ、書こう!」と思ったら、映画のようにストーリーが流れていくのが見えるような感じです。ゲオルグとの付き合いも長いので、どんな絵を描いてくるかも想像できるのでやりやすくなりました。

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だけど、ゲオルグは私が思っているよりずっといい絵を持ってきてくれるので驚かされることも多いです。基本的に私とゲオルグの間で、「こんな絵のイメージで」という刷り合せをしますが、私の中で絵のイメージができていてもまだぼんやりしている状態。ゲオルグはいつも話を聞いているような、聞いていないような感じですが、実際に描きあげてくる絵は想像を超える素晴らしさです。15年経った今でも、毎回サプライズ。いい意味で裏切られています。

―15年もの間、愛されているのはなぜだと思いますか?

アン:ゲオルグの絵はソフトなタッチと素朴で誠実な印象があると思います。一時的にウケて終わりというような絵ではないので。また、リサとガスパールの素直で優しいキャラクターが愛されているんだと思います。

それに日本人はパリが好きですよね。でも、パリから遠い日本でも多くの人に愛され、2年前には日本に『リサとガスパールタウン』までできて…そんなことは、全く想像もしていませんでした。
自分たちは「これがやりたい」と思って、楽しんで絵本創りをしていますが、そういうのも伝わるのかもしれませんね。

ゲオ:最初はもちろんお金にならない時期もあったけど、自分たちのやっていることに自信を持ち、楽しんでやってきてよかったと思います。あと人との出会いも大切。自分たちのことを理解してくれる編集者と出会えたことで、ここまで来ることができたので。

 

リサとガスパールが再び日本へ行くかも!?

―最後に、今後の物語のイメージはありますか?

アン:もしかしたら、またリサとガスパールが日本に行くこともあるかもしれませんね。
私たち家族も2度ほど日本に行っており、2年前にも行きました。『リサとガスパールにほんへいく』では京都なども描いていますが、そこに描かれているエピソードは全部実体験です。

09『リサとガスパールにほんへいく』より。金閣寺を訪れたリサとガスパール

実は、最後に日本へ行ってからもう2年になりますが、長女のサロメと次女のコロンビーヌは毎日、日本のことを話しています。それくらい彼女たちにとって日本での経験は忘れ難いものになったようですよ。

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普段なかなか知ることのできない絵本制作の裏側を聞くことができました。

しっかりしていて優しい雰囲気のアンさんと、おちゃめなゲオルグさん。互いに尊敬し合い、楽しみながら制作している姿が印象的でした。『リサとガスパール』の魅力でもある実存感と素朴でほんわかした雰囲気の秘密を知れたような気がします。
これからもおふたりが描く『リサとガスパール』の冒険が楽しみです。

 

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