パリと聞くとどんな香りを想像しますか?
甘いスイーツの香り、ラグジュアリーなパフュームの香り、朝のパン屋さんの香り…。私はバターの香りを想像します。とは言っても、実際にパリへ行った時にバターの香りがしていたわけではありません。記憶の中のパリではいつでもバターの香りが漂っているのです。
その理由はきっと『巴里の空の下オムレツのにおいは流れる』(石井好子著)に出会ってしまったからだと。
バター香るパリを感じるおいしいエッセイ
この本はシャンソン歌手の石井好子さんが、パリやいろいろな国で出会った料理や下宿先のマダムが作ってくれた料理、家族やお友達との食事のひとときなどを綴ったエッセイです。
“そとがわは、こげ目のつかない程度に焼けていて、中はやわらかくまだ湯気のたっているオムレツ。「おいしいな」。私はしみじみとオムレツが好きだとおもい、オムレツって何ておいしいものだろうとおもった。”
(『巴里の空の下オムレツのにおいは流れる』石井好子)
文章の端々からおいしい香りが漂ってきて、おなかが減ってしまう何とも罪深いエッセイです。そんな『巴里の空の下オムレツのにおいは流れる』に出てくるような、オムレツを自分で作りたいなと、かねてから思っていました。
そこで、今回は料理研究家の口尾麻美さんにプレーンオムレツ作り方を教えてもらいに行ってきました!
意外に簡単!?究極にシンプルなオムレツの作り方
- 【材料】(2人分)
- 卵:4個
- 牛乳:大さじ2
バター:10g - 塩:小さじ1/2
- こしょう:少々
- ※有塩バターの際は、味付けの塩を調整してください。
【作り方】
1.卵液を作ります。
ボウルに卵を割り入れ、牛乳、塩、こしょうを入れ、フォークなどでさっと混ぜます。この時、あまり混ぜすぎないのがポイントです。
2. フライパンをよく熱したらバターを入れます。
3.卵液をフライパンに流し入れます。
全体的に半熟になるまでかき混ぜましょう。フライパンの縁の方から固まってくるので、気をつけましょう。
4.半熟になってきたら、お皿に盛ります。
フランスではチーズを入れたオムレツ・オ・フロマージュもよく食べられています。粉チーズを卵に混ぜ合せておき、プレーンオムレツと同じ要領で焼けばOKです。その他、お好みでハーブを入れてもおいしいですよ。
おいしいオムレツの秘密
本書の中では、マダムが作ってくれたオムレツのコツを下記のように言っています。
- “1 卵をよくかきまぜること、しかし泡が立つほどかきまぜすぎないこと。
- 2 バタまたは油が熱したところに卵を入れること。
- 3 火かげんは強めにする。
- 4 卵を流し込んだら、そのままほっておかず、かきまぜること。
- 5 焼きたてを食べさせること。この五つをまもれば、だれにだってオムレツはおいしくできる。”
- (『巴里の空の下オムレツのにおいは流れる』石井好子)
丁寧にかき混ぜ火加減と卵の様子を見ながら、ちょっとした手間を惜しまなければ、中身のやわらかいバターと卵の味でじゅうぶんおいしいオムレツになるんだとか。
そして、焼きたてのあたたかいものを食べることも、おいしいオムレツの秘密のひとつ。卵はお皿に盛っても徐々に熱で固まってきてしまいますので、すぐ食べられるように食事の準備を整えておくのも重要です。
フランスと言えば美食の国のイメージが強いですが、その本当の意味は、心を込めて料理を作り、食事を心から楽しむことを知っているということなのかもしれませんね。