フランスにあるようなクラシックなブーランジェリーが人気を博す一方で、ここ数年コッペパンといった日本らしいパンも見直されています。今回ご紹介するのは、技術も店構えもフランス仕込みなのに、パンには日本のスピリットが息づいている代々木上原の『Boulangerie et Café Main Mano(ブーランジェリー カフェ マンマーノ)』。ユニークなパンにはどんなストーリーがあるのでしょうか?オーナーシェフの毛利将人さんにお話をうかがいました。
パリ16区の面影を感じる代々木上原
お店の前はパリの一角のよう
高級住宅地ながら庶民的に雰囲気もある代々木上原駅周辺。駅前の通りを少し入ると、外国に来たかのようなお店があります。そこが今回訪ねた『ブーランジェリー カフェ マンマーノ(以下、マンマーノ )』です。代々木八幡から代々木上原は、新旧の人気店が軒を連ねるパンの激戦区。2008年にオープンした『マンマーノ』は、なぜこの場所を選んだのでしょうか?そこには毛利さんのフランス時代の思い出が影響していました。
「フランスにいた頃に訪れたパリ16区の雰囲気に感動しました。ここ代々木上原はその16区に雰囲気が似ているんです。250軒も物件を見学したなかで、この場所がぴったりだと思いました」と毛利さん。
パリ16区といえばPARISmagでも以前ご紹介している街。ブローニュの森がある閑静な住宅街で、近くに代々木公園がある代々木上原と確かに似ているかも。
パリ仕込みのクロワッサンは人気No.1
毛利さんはパンの奥深さに開眼し、21歳で渡仏。パン作りの技術を磨き、名門ホテル『オテル・ド・クリヨン』で日本人初の製パンシェフに任命されます。これは同ホテル300年の歴史の中で初めてのこと。毛利さんの技術の高さがうかがえます。その後イタリア、ベルギーでも修行を重ね、帰国後はリーガロイヤルホテル東京で3年間シェフを務め、2008年にこのお店をオープンしたのです。
店内のカフェスペースでは、近所のご婦人がコーヒーとクロワッサンを召し上がっていて、そんな光景もまるでパリのようですね。
こだわりがつまった贅沢な1本『M・Mコルネ』
お店に入ると、本当にたくさんのパンが棚やショーケースに並んでいます。その数は1日に60〜70種類にもなるそう!しかも毎月新しい商品をリリースしているというから驚きです。
薄い生地の中に濃厚なクリームが入ったちょっと贅沢なクリームパン
かわいいハンバーグパンなどファミリーにうれしい商品も!
そして、このお店の特徴は、懐かしい雰囲気なのにおしゃれなパンが揃っていること。厚焼き卵サンドや、クリームパンと馴染み深いラインナップのなかで、PARISmagが注目したのが「M・Mコルネ」。子どもたちに大人気のチョココロネがアップデートした商品です。
店名『Main Mano』の頭文字をとった「M・Mコルネ」
生地はパン生地ではなく、バターの香りも楽しめるパイ生地。中には滑らかでさっぱりとした味わいのカスタードクリームが入っています。このクリーム、通常のクリームパンとは異なったクリームをわざわざ仕込んでいるのだそう。
「M・Mコルネ」は、時間が経ってもおいしいのでお土産にも◎
パイとクリームの組み合わせで気になるのがその食感。時間が経つとしなしなしてしまいそうな気がしますが、「M・Mコルネ」はそんな心配がありません。なぜならパイ生地の内側をホワイトチョコレートでコーティングしてあるので、パイにクリームの水分が移らず、パイ生地はサクサクとおいしい食感を保つことができるから!毛利さんのこだわりがぎっしりつまった「M・Mコルネ」は、そのままでももちろん、冷やしても、凍らせてアイスのようにしてもおいしくいただけるスイーツなんです。
甘いものがおいしく感じる秋には1日に100本、土日にはなんと200本も売れる人気商品! ぜひお試しください。
真っ黒なのに奥ゆかしい『竹炭バゲット』&『竹炭マンマーノブレッド』
藤のカゴにバゲットと竹炭バケットが仲良くイン!
『マンマーノ』はブーランジェリーですから、バゲットといった基本のパンももちろんおすすめ。定番のバゲットは北海道産とカナダ産の小麦をミックスさせ、多加水で低温長時間発酵することでもっちりとした食感に仕上げています。そして店頭で異彩をはなっているのが、黒いバゲット。イカ墨のパンかと思ったのですが、実は生地に竹炭が練りこまれたもの。こちらは代々木上原駅前にある、『E DESIGN』とのコラボ商品なのだとか。
どんな味か想像できませんが、ひと口かじってみてびっくり!インパクト大の見た目とは裏腹にクセはまったくなく、おいしいバゲットでした。
「竹炭はクセがないので味に変化はないのですが、遠赤外線の効果で食感がさらにもっちりするんですよ」と毛利さん。
確かに、普通のバゲットより固くなく、小さなお子さんでも食べやすそうなバゲットです。そのほかにも食パンは10種類!食パンにも竹炭入りがありました。印象的なカラーリングの竹炭入りのパンは、サンドウィッチやブルスケッタにしても、いつもとは違った演出ができるのでパーティにももってこいですね。
シンプルなマンマーノブレッド(中段右)と竹炭マンマーノブレッド(中段右から3番目)
「シンプルなパンこそ生地にこだわっています。パンの種類に合わせて小麦の配合を変え、塩は瀬戸内の藻塩、ハード系のパンには硬水のエビアンを使用しています」と毛利さん。国産小麦も優秀ですが、外国産の小麦はきめ細かいのでしっとりした口当たりのパンにするには欠かせない粉なんだそうです。バゲットや食パンは、使う材料が少ない分ごまかしがききません。だからこそ、食材と製法にはとことんこだわっているのです。
店名の『マンマーノ』はフランス語イタリア語それぞれで“手”という意味。自分たちの手から安心安全でおいしいパンを、お客様の手へつないでいく…。そんな思いが込められています。ブーランジェリーにはあまりない、コロネやクリームパンは、お客様からのリクエストにより商品化されたもの。そうやってお客様と手を取り合って進化しているのが『マンマーノ』のパンなんですね。これからどんなパンが登場するのか楽しみです!
- ■お店情報
- Main Mano(マンマーノ)|https://mainmano.jp/
- 住所:東京都渋谷区西原3丁目6−5 MH代々木上原1F
- 営業時間:8:00〜20:00
- 定休日:火曜日
※記事の内容は取材当時のものです。 最新の情報は、お店のHP、SNSなどをご確認ください。
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