今回パンを求めて訪れたのは、西武池袋線・保谷駅。2018年7月に、新しくパン屋さんがオープンしたと聞きつけやってきました。落ち着いた雰囲気の住宅街を進むと目的地に到着。
お花屋さんと美容室の並びに面してオープンした『Pittoresque(ピトレスク)』。おいしそうなパンがずらりと並んでいることが、ガラス越しにも伺えます。
『ピトレスク』の店内に入ると、パンのほかにケーキも並んでいます。一体どんなお店なのか、どんなパン作りをされているのか、オーナーシェフの馬場康博さんにお話を聞いてきました。
わざわざ行きたいお店
馬場さんが『ピトレスク』をオープンしたのは2018年7月。奥さんの実家の近くということもあり、この地に決めたのだとか。
「あまり人通りも多くない場所なんですけど、本当に地元のお客さんがいらしてくれて、みなさんが口コミで広めてくれています。1日に3回も来てくれる方もいて、うれしい限りですね!」と馬場さん。
もともとパティシエの経歴を持つ馬場さん。ショーケースには、パンはもちろん馬場さんが創り出す美しいケーキが並びます。
現在は約30種類ほどのパンが並び、カンパーニュなどの金土限定のパンや、土曜日限定のケーキ、その日の気まぐれで登場するメニューも!オープンして半年を迎え、お客さんの反応を見つつ手探りでいろいろ試作しているそうです。気になる方は、お店のInstagramやfacobookからぜひチェックしてみてくださいね。
複雑で、味に奥行きのあるパン
パンを勉強したくてパティシエを辞め、『メゾン・イチ』へ入った馬場さん。『ピトレスク』で馬場さんが作るパンには、『ルヴァン』の歴史が受け継がれています。
「僕のパン作りの基本のスタイルになっていますね。『メゾン・イチ』の元オーナーである市毛さんが2006年に1号店の『ブーランジェリーイチ(現在のメゾン・イチ)』を西馬込にオープンして以来継ぎ足してきた酵母があるんです。ルヴァンリキッドという液体天然酵母で、僕が自分のお店を出すとき、それを分けていただいて。毎日水と粉を継ぎ足してパンを作っているのですが、僕の店ではさらにそれをルヴァンと、ミルキーな味わいが出るルヴァンオレの2種類に分けて使っています。『メゾン・イチ』とスタイルは似ているかもしれませんが、使う粉も変えているので、また違った味わいを楽しんでいただけると思います」と馬場さんが教えてくれました。
継ぎ足す粉や水によって、どんどんと変わっていく天然酵母。今『メゾン・イチ』で使っているルヴァンと『ピトレスク』のルヴァンでは、また別のものに進化しています。長年継ぎ足されてきた酵母は、より複雑で奥行きのある味わいになるのだそう。
甘みの出るパンドミやクロワッサンにはルヴァンオレを、酸味を効かせたいバゲットやカンパーニュ、チャバタにはルヴァンなど、使い分けています。現在は、パンはパンドミとバゲットの2種類の生地をベースに、入れる具材を変えて種類を増やしているのだそうです。市毛さんから学んだ合理的スタイルを取り入れているのです。
酵母・ルヴァンオレを使用する人気のパン
人気のパンは『メゾン・イチ』でも人気のあった「クルミと山ブドウ」です。ルヴァンオレを使用したパンドミ生地をベースに作るパンで、パンドミの甘みがしっかりと感じられます。
「山ブドウは酸っぱいのかな?」と想像していたのですが、食べてみると甘みがあり、香ばしいクルミとの相性も抜群。馬場さんのおっしゃっていた、パンのミルキーな味わいもたしかに納得です。
パンドミ ハーフサイズの販売も可
パンドミを使った「クロックムッシュ」も人気メニューの1つ。8枚切りのパンドミ2枚で、ベシャメルソース・トマト・ベーコンをサンド。さらにベシャメルソースを重ね、玉ねぎとシュレットチーズをのせてこんがり焼き上げた大満足の1品。
保谷で知らない人はいない!?「コク旨プリン」
さまざまなケーキ、そしてパンが並ぶなかなんといちばん人気はプリン!その名も「コク旨プリン」。
「ヴェルジョワーズ(vergeoise)という甜菜糖を使ったプリンです。卵や牛乳は、味が特に強いものを使っているわけではないんですが、この甜菜糖の味わいというかコクがものすごく強いんです」と馬場さん。
クリーム無し コク旨プリンも登場
生クリームがのって完成するこちらの「コク旨プリン」ですが、クリーム無しも登場。よりコクを感じられるのだとか。でも、「やっぱりおすすめは、生クリームと一緒に食べること」とのこと。
深さ2cmはあるであろう生クリーム。その先を超えてプリンと一緒にひと口。とてもなめらかでとろけるようなプリン!
この上品な見た目とは裏腹に、しっかりとした強いコクと旨みが、がつんと伝わってくる「コク旨プリン」。ほどよい甘さのクリームはやさしく包み込んでくれます。
「コク旨プリン」のアパレイユに漬け込んだフレンチトーストも。こちらのフレンチトーストに、生クリーム添えをすることも現在検討中なのだとか!
店名『ピトレスク』に込められた想い
お店の名前『ピトレスク』は、奥様である保代さんが名付けました。保代さんのお母様はヨーロッパや海外で活躍する画家で、フランスでよく個展しているそう。そこで、「画につながるような名前がいいな」というのと、「最初の文字に“ピ”をつけたい」というので、響もかわいいからとフランス語の『pittoresque』に決まったのだそうです。
「『pittoresque』は、フランス語で“絵のように美しい”という意味を持つ形容動詞です。少しこじつけかもしれませんが、パンや商品、お客様も入れてお店全体が絵に描きたくなるような、そしてもう1つ“人目をひく”という意味もあるそうなので、目を向けずにはいられないようなお店にしたいと思っています」と馬場さん。
オープンして半年を迎え、たしかに地元の人たちの心を掴んでいる『ピトレスク』のパンとケーキ。これからもお客さんの声や反応を見つつ、新たなメニューが登場することでしょう。
わざわざ足を運びたくなるパンを、ぜひ実際に体験してみてはいかがでしょうか?
- ■お店情報
- Pittoresque(ピトレスク)
- 住所:東京都西東京市東町2-16-24 ハイツマキシム1F
- TEL:042-439-6947
- 営業時間:[平日]10:00~19:00、[土曜日]9:00〜19:00 ※2月からは土曜日も9:00〜19:00
- 定休日: 日・月曜日
- ※記事の内容は取材当時のものです。 最新の情報は、お店のHP、SNSなどをご確認ください。
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