PARISmagではこれまで、パンのプロが作ったチョコレートのパンを何度かご紹介してきましたが、今回はチョコレートのプロが作ったチョコレートを堪能するトーストメニューをご紹介します。材料はバゲットと板チョコのみという、シンプルかつ究極の「トーストショコラ」です。
トーストショコラがいただけるのは、代々木公園駅からほど近くにある『CACAO STORE』。チョコレート愛好家なら知らない人はいないと言われているほどの名店です。日本を代表するショコラティエ・土屋公二さんが、カカオそのものの世界観を紹介するお店として2015年にオープンしたお店。そう、土屋シェフといえば手作りチョコレートの専門店『ミュゼ・ド・ショコラ テオブロマ』の創業者。一体どんなチョコレートのトーストがいただけるのでしょう?
世界中のBean to Barを紹介する『カカオストア』
近頃よく聞くBean to Bar(ビーン・トゥ・バー)という言葉。カカオ豆がチョコレートになるまでの工程を一貫して1つの工房で行う製造方法、もしくはその製法で作られた板チョコレートのことを指します。
土屋シェフは世界中のBean to Barが造り手の製法によって味わいが変わることを知り、自ら産地に足を運んでカカオ豆を厳選し、いち早くクーベルチュールやBean to Barを作り始めました。
『カカオストア』では、そんな土屋シェフオリジナルのBean to Barをはじめ、世界中から選りすぐった、信頼のおける生産者のBean to Barが100種以上も販売されています。
パッケージも個性的でアーティスティックなものが多く、見ているだけでも楽しくなります。そして、アイテムによっては試食もできるのでじっくり選べるのもうれしいですね。
オリジナルのBean to Barのパッケージは動物シリーズ。イラストレーターの樋上公実子さんによるデザイン。
パッケージの後ろには小さな窓が。どんなチョコレートかちらっと見ることができる遊び心のあるデザインも
パンにぬるだけではつまらない!
『カカオストア』には、チョコレートを使用したユニークなメニューがいくつかありますが、今回のお目当てはトーストショコラ。『カカオストア』オープン当初から話題になっていた人気のメニューです。
トーストショコラ
おそらくトーストショコラと聞けば、たいていの人は一般的な四角いトーストにスプレッドタイプ(ペースト状)のチョコレートがぬられているのを想像するのではないでしょうか?
でも、『カカオストア』のトーストショコラは違います。土屋シェフはパンにチョコレートをぬるだけではつまらない、おいしいチョコレートをよりおいしく食べてもらうためにはどうしたらよいかと試行錯誤した結果、見た目のインパクトが大きくて、且つ、シンプルなこの形に決めたそう。
しかし、形はシンプルでも、計算しつくされたレシピであることは食べればわかります。食パンではなく、より軽い食感のバゲットを使用していること、そのバゲットがチョコレートのおいしさを邪魔していないこと。バゲットの芳ばしく絶妙な焼き加減、のせている板チョコの大きさ、薄さ、甘さ。そして、ただ板チョコをバゲットにのせているだけでなく、最後においしくなるひと工夫がなされているのだとか(企業秘密です!)。
簡単そうに見えて、まねのできないトーストショコラ
テーブルに運ばれてきたトーストショコラを撮影していると、つやつやの板チョコが中央から少しずつ溶けてきました。ナイフを入れると、その溶けて柔らかくなったチョコレートがバゲットにしみこんでいきます。チョコレートのペーストをパンの表面にぬるだけでは決してこうはなりません。トーストショコラは、おいしいBean to Barを板チョコとは違う食感で、よりおいしく食べてもらうために考え尽くされた完成度の高い1皿。
尚、トーストショコラに使用されているチョコレートは、時期によって異なり、このときはヴェトナム産カカオを使用した『カカオストア』オリジナルのBean to Barで、甘味は控えめ。ドライフルーツのようなフレーバーが印象的でした。
カカオの魅力を再発見
トーストショコラと一緒にオーダーしたドリンクは「アイスミルクカカオティー」。カカオ豆を発酵、乾燥、ローストし主にその外皮をお茶にしたドリンクです。
アイスミルクカカオティー
紅茶より香りは控えめですが、こくがあってまろやか。ミルクとの相性がよく、ほのかに甘味があって、するすると喉を通ります。濃厚なチョコレートと一緒にいただくと口の中がさっぱりしました。
ホットチョコレート ジンジャー
また、これからの季節は「ホットチョコレート」もおすすめです。今回いただいたホットチョコレートはこの時期限定のジンジャー。数ヶ国の産地をブレンドしたビターチョコレートを使用しているそう。上品な甘さにピリリと生姜のアクセントが効いた、くせになる味わい。
そして、なんと『カカオストア』のカフェでは、焙煎後のカカオ豆を数種類試食することができます。
私もいくつか試食してみましたが、豆によって味は様々。カカオ豆の味がちがうのですから、できあがるチョコレートも味が違って当然です。
キッチンに設置されたカカオ豆の焙煎機
お店でカカオ豆をローストした後、皮と実に分別し、実を粉砕してチョコレートにしています。
豊富なBean to Barをはじめ、トーストショコラやチョコレートを使ったユニークなメニュー、チョコレートとお酒を楽しむ提案、そして店内に展示されているカカオ豆にまつわる写真や道具など、カカオの魅力満載の『カカオストア』。チョコレートがおいしいこの季節に、ぜひ1度足を運んでみてはいかがでしょうか?
- ■お店情報
- CACAO STORE(カカオストア)
- 住所:東京都渋谷区富ヶ谷1-6-8
- 電話:03-3460-1726
- 営業時間:[月~木・日・祝日]10:00~20:00(L.O.19:00)、[金・土・祝前日] 10:00~21:00(L.O.20:00)
※記事の内容は取材当時のものです。 最新の情報は、お店のHP、SNSなどをご確認ください。
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