食のエンターテインメントタウン、恵比寿。賑やかな西側エリアを背に、山手線沿いを渋谷方面に進んだ比丘橋近くに、今回お邪魔する『GOOD LUCK CURRY(グッドラックカリー)』があります。
看板はこの2つだけ。お見逃しなく!
雑居ビルの2階へ上った先にある店舗は、一見カレー屋とは思えない佇まい。しかし店内に漂う芳醇でスパイシーな香りはまさにカレー屋さん!
フレンチシェフがなぜカレー屋さんに?
『グッドラックカリー』は代官山にあるビストロ『Ata』、クレープショップ『TAJIMAJI』の系列店。フレンチのお店がなぜカレー屋さんを始めたのでしょうか?その理由をオーナーの掛川さんにお伺いしました。
「もともとカレー屋はずっとやりたいと思っていたんです。カレーってたくさん種類があるのに、『カレー』という言葉で一括りにされがちなんですよね。だから自分たちが本当においしいと思えるカレーを提案していきたいと思い、このお店を始めることにしました。
カレーはフレンチと同じくダシがポイントになる料理なんですよ。うちのカレーは南インド系と呼ばれているルーを使わないカレーなので、ダシがすごく重要。また、『Ata』は特別な日に利用してくださるお客さんが多いのですが、デイリーに使えるお店もやりたかったんです。日常に近いものをと考えたら、やっぱりカレーだなと(笑)」。
10席だけの“秘密基地”的なお店は、スタッフだけでリノベーションしたのだそう!
2017年5月にオープンしたばかりなのに、毎週通ってくれる常連さんがいます。すでに街の風景にとけこんでいるようです。ところで『Ata』は魚介を中心としたビストロですが、『グッドラックカリー』のカレーも魚介エッセンスが入っているのでしょうか?
「魚介だけじゃなく肉のカレーも豆のカレーもあるんですけど、看板メニューにもなっている『エビカレー』はお客様からもご好評いただいています。このエビカレーにはオマール海老の頭からダシをとったビスクとブイヤベースを使っているんです。そういう意味で『エビカレー』はビストロのエッセンスが入っていますね」。
『グッドラックカリー』のカレーには掛川さんのフレンチシェフスピリットが息づいています。
「僕らが大切にしているのはフレンチの技法にとらわれず、料理をおいしくするためのテクニック。例えば、炒めるものはきちんと炒める、肉の火入れは適切に行うなど基本になることです。僕、奇をてらったものはあんまりやりたくないんです。昔から受け継がれてきたものには意味があると思うし、大切にしていきたい。先人たちの技術をリスペクトしています」。
色鮮やかなカレーはフォトジェニック! 器は京都の窯元で焼いてもらったら特注品です。
フレンチの技法を使いながら、独自のコンセプトを大事にしているという掛川さん。それは店内のインテリアからBGM、食器やメニューのラインナップにまで感じられます。
コトコト煮込まないカレー!?
『グッドラックカリー』のカレーには“煮込まない”という特徴があります。
「煮込まないというとお客さんから『生煮えなんじゃないの?』と言われることもあるんですけど(笑)。そうじゃないんです。煮込みすぎないことでスパイスの香りを最大限に活かしています。カレーは煮込めば煮込むほどおいしくなると思われがちですが、僕はそうじゃないと思っています」と掛川さん。
カレーによって調合を変えるスパイス。カルダモンもクローブもホールで使うのだとか!?
香りを楽しむため、ホールのまま使うスパイスもあるのだそう。「エビカレー」にはクミンがホールのまま入っており、食感が楽しめるだけでなく、噛むたびに爽やかな香りが口に広がります。
幻のカレーパン!?
そして『グッドラックカリー』には14時から販売が始まると、あっという間に売れ切れてしまうという、幻のカレーパンがあります。なぜカレーパンを作ろうと思ったのでしょうか?
とっても柔らかい生地で優しく包む繊細な作業
「正直、今まで満足するカレーパンに出会ったことがありませんでした。だったら自分で作ってしまおうと思ったのがカレーパンを作ったきっかけです。パンの生地は手作りで、中に入れるカレーもその日お店で提供しているカレーを使います。
生地もカレーも水分が多めなので作り置きできません。なので、オーダーが入ってから、生地にカレーを包み揚げています。手間とコストを考えると完全に赤字なんですけど、でもおいしいカレーパン食べてもらいたいなと思って!」。
最後に、パン粉をまぶして揚げて完成です。
細長い形状は「女性でも食べやすいように」という心遣いから
カレーパンはできたてのアツアツをいただきました。
半分に割ってみると中からとろ〜りとしたカレーが!この日のカレーパンの中身は『イカカレー』。大きなイカがゴロッと入っているのが見えます。さっそくひと口いただくと、薄い生地と細かいパン粉のコンビネーションで、外側はカリッとしながらも、とろけるような不思議な食感。その食感と深い味わいは今まで食べてきたカレーパンの常識を覆すほど。
揚げたてにキビ砂糖とスパイスの粉末をふっています。ふんわりと軽く甘い味わいも感じられます。
アツアツのカレーパンを頬張る時間って、なぜこんなにも幸せなのでしょう。オーダーごとに揚げてくれるので、少々待つ時間もありますがそれもまたおいしさのスパイスになっています。
あのおつまみが旨みのアクセントに!
付け合せは左からサラダ、サンボル、アチャール、マッシュポテト
この日にいただいたカレーはほうれん草ベースの『サグカレー』 と看板メニューの『エビカレー』のWカレー。
ひと口、口に含めると芳醇なダシの香りと、パンチのあるスパイスの刺激がダイレクトに広がります。ただ辛いのではなく、それぞれのスパイスの個性がひとつひとつ感じられ、またその食感も楽しめます。ルーを使っていないため、サラッとした口当たりでとても爽やかなカレーは、夏バテの体を整えてくれるよう。もはや薬膳と言ってもいいかもしれません。
スパイスのほかに、ディルやバジルなどの西洋ハーブ、そして隠し味としてスルメ・アサリ・煮干しが入っているという「サグカレー」。じっくりと味わうとほのかに和風出汁の旨みを感じます。
「エビカレー」はエビのおいしいところが凝縮されたカレー。エビからとるダシならではの香りと旨みのほか、煮込み過ぎないからこそ引き出せるエビのプリプリとした食感が楽しめます。
そして、ちょっと珍しい付け合せがどれもおいしい!ココナッツとライムを合わせた「サンボル」は箸休めとして口の中をリセットしてくれますし、インドの漬物「アチャール」はカレーと一緒に食べると味に変化を加えることができます。マッシュポテトは欧風で、スパイスの刺激を受けたお口を優しく落ち着かせてくれます。
写真は「カレーパン」と、「Wカレー」のそれぞれ単品。
店内では、カレーにカレーパンをのせた「カレーパンプレート」をいただくこともできます。女性のお客さんでも案外ペロリと完食されるのだとか。カレーパンは14時からテイクアウトも可能だそうですが、ぜひできたてアツアツを味わって欲しいです。
「カレーを食べた瞬間に『わあ〜!』と、こぼれるお客さんの笑顔を見ると、このお店を始めて良かったと思うんですよね」と話す掛川さん。仕上がったカレーとカレーパンを見て「うまそ~!」と、カレーを食べているお客さんと同じくらい顔がほころんでいたのが印象的でした。
これからもカレーのラインナップは、新作を開発していくそうです!カレー好きが作り出す、絶品カレーに会いに『グッドラックカリー』を訪れてみてはいかがでしょうか?
- ■お店情報
- GOOD LUCK CURRY(グッドラックカリー)
- 住所:東京都渋谷区東3-21-1 アティモント恵比寿ビル2F
- TEL:03-3407-9630
- 営業時間:11:30〜20:00
- ※カレーパンは14:00から販売開始
- 定休日:日曜日
- ※記事の内容は取材当時のものです。 最新の情報は、お店のHP、SNSなどをご確認ください。
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