花とクレープというちょっと珍しい組み合わせ。そして絶対かわいいでしょう!というこの2つを楽しめるお店が代官山にあります。花とクレープのお店『TAJIMAJI(タジマジ)』です。
なぜ、花とクレープのお店にしたのか、そしてどんな花とクレープを楽しめるのかオーナーの掛川さんに伺ってきました。
花束とクレープをつなぐもの
「もともとクレープは大好きだったんです。小さい頃からよく食べていたんですけど、大人になって食べると量が多いし、生クリームが甘いしで、あまりおいしいと思えなくなっていたんです。じゃあ、自分たちでおいしいクレープを作れればいいよねということでクレープのお店にしました」と掛川さん。
クレープだけじゃおもしろくないなという想いと、一緒にやるならレストランでも使えるものがいいなという想い、そして掛川さん自身お花が好きだったことで、お花とクレープのお店にすることになりました。さらに調べていくうちに、花とクレープの意外な類似点があることに気づいたのだそう。
「昔、ブーケや花束は咲いている野花を集めてブーケを作って送り、もらった人は辞書で花言葉を調べその人の気持ちを知るという想いを伝えるための手段だったようです。
クレープに想いを込めて、それを包んでお客さんに食べてもらうという、僕たちがやろうとしていることも同じだと思ったんです。あと、クレープ自体もちょっと花束みたいなかたちをしていますよね。ありそうでない組み合わせですが、結構共通点はあると思うんです」。クレープも花束も手にしたときウキウキした気持ちになる、そんなところも似ているかもしれませんね。
職人たちが作り上げるこだわりのクレープとは
オーナーの掛川さんは、名だたるフレンチレストランで経験を積み、『TAJIMAJI』の上の階にある人気ビストロ『ata』のオーナーも務める料理のプロフェッショナルです。そんな掛川さんが「こだわってないところはないくらい、すべてにこだわっている」という『TAJIMAJI』のクレープはすべて職人たちによって手作りされています。
「僕らは職人なので、デザートを考えるのと同じ考え方で作っています。クレープといってもチョコレートバナナといったよくあるメニューではなく、お皿に盛ったデザートをクレープで包むイメージでちゃんとデザートとして作っているんです。クレープに入っているマカロンやギモーブももちろん職人たちが作っています。
マカロンが入ってるクレープもあるんですが、仕入れたマカロンじゃこの値段で提供できないし、小さいマカロンもそもそもないんですよ。すべて自分たちで作るから実現できるクレープを提供しています」。
店頭で販売されている焼き菓子ももちろん手作り
小さなお店ですが、奥にはお店の倍の広さの工房があり、クレープで使われるマカロンやアイスといった材料もすべてそこで作っているのだそう。スタッフもほとんどがパティシエというから驚き。「職人がちゃんとクレープを作ればきっといいものができる」という想いのもと、新しいクレープを提案しています。
花の名前が付いたクレープ
クレープにはすべてお花の名前が付けられています。見た目や食べたときの印象と花言葉を一緒に考えて作られているクレープはどれも見たことのない組み合わせばかり。
【Primula Pistachio(プリムラ ピスタチオ)】
プリムラの花言葉は「あなたなしでは生きられない、青春の恋」。ピスタチオやホワイトチョコマカロン、すみれの砂糖漬けなどが入った、からさわぎのような若い恋をイメージして作られたクレープは見た目も華やか。一口食べるごとに味に変化があり、まさに青春の恋のようにいろいろな味を楽しめます。
【White Rose Bud Milk(ホワイト ローズ バッド ミルク)】
まさにホワイトローズのように真っ白な「ホワイトローズ バッド ミルク」は、先に真っ白なイメージがあり、そこから花を選んで作られたクレープです。自家製の塩ミルクアイスは、こっくりとした甘さに絶妙な塩加減がくせになります。アイスのひんやりとした食感にメレンゲのサクッとした歯ごたえ、クリームの甘みなど、食感と味のバランスが楽しめます。ちなみに花言葉は「恋をするには早すぎる」。
その他、りんごとキャラメル、フロランタンを使ったちょっとほろ苦い「Adonis carmel(アドニスキャラメル)」は、アドニスの花言葉である「悲しき思いで、苦い恋」をイメージして作られたのだそう。好きな花や花言葉、そのときの気分を花言葉に照らし合わせて選ぶのも楽しいですね。
季節のフルーツを使ったメニューも登場するのだそう。クローバー(Trefle)の花言葉「私を見て・幸運・復讐」からイメージして作られた「Trefle Blue berry(トレーフル ブルーベリー)」は、旬のブルーベリーとマスカルポーネ、ジャスミンティー、クローバーの蜂密の相性が抜群のクレープ。実はクローバーとジャスミンもちょうど今ぐらいの季節に花を咲かすのだそう。
花束が大きい花、小さい花、季節の花、葉っぱや蕾などさまざまな花で構成されるように、『TAJIMAJI』 のクレープも旬の食材やいろいろな具材の味、食感、香り、見た目といったさまざまな要素で構成されており、それらがきれいにおいしくまとまるように考え抜かれています。ここでしか食べられない、まさに花束のようなクレープたちなのです。
オーダーすると目の前で焼いてくれる生地。ふんわり甘いいい香りが漂います。
「生地ももちろんこだわっています。他にはない香りが味わえるはず」というように、歯ごたえ、歯ざわり、舌触り、香りの抜け方もすべて計算して、かなり細かい配合で作っているのだそう。もっちりともパリッとも違う、薄いけれど、しっかり味と食感、香りを楽しめるクレープ生地です。
クレープと一緒に花束を
お花もスタッフの方々で選んで、並べて、ドライフラワーにしたり、花束にしたりしているのだそう。
「僕たちは花の専門家ではないので、『今はこのお花の季節なんだ』と。そのときどきでいろいろと学びながらやっています。5月のカーネーションからあじさいに変わり、今はひまわりが出てきました」と教えてくれました(撮影時は5月末)。
せっかくなのでひまわりを花束にしてもらうことに。クレープに500円プラスするとお花とセットで購入できます。こんな風にクレープと同じ包みで包んでくれます。
「花束ってうれしいですけど、もらっても持ち歩きなどちょっと困らないですか?花束を困らないかたちで持ち歩く提案をできればと思い、手やバッグに下げられるようにしているんです。生花をファッション感覚で楽しんだり、もっとデイリーなものになればいいなと思っています。
ふと花束をあげられる男性っていいなと思うんです。大きな花束じゃなくていいから、気軽な花束を毎回毎回あげられたらかっこいいですよね。男性が彼女にクレープと花束を買ってあげる。そんな紳士的なことも気負わずできたらいいなと思って、このスタイルにしています」。
タジマジの語源はまぜこぜなもの!?
おいしいクレープと気軽な花束が楽しめる『TAJIMAJI』ですが、このお店の名前が気になる方も多いのでは?
「タジマジとは、ヴィクトリア朝の時代の花束の名前なんです。ウェディングブーケのもとになっている丸い花束で、当時の肖像画などで腰についている丸い花束がタジマジです。身につけて虫除けや魔除けとして使われてたみたいです」。
また、もともとの語源に『まぜこぜなもの』という意味があるということで、それもクレープに親しいものがあると思い、お店の名前にしたのだそう。
「本当においしいもの、いいものを自分たちの手でどうやって作っていくかということを真面目に考えているんです」という『TAJIMAJI』のクレープには、たっぷりのこだわりと想いが詰まっていました。
色とりどりの花に囲まれたお店で、職人が作るからこその美しく、おいしいクレープを味わってみては?
- ■お店情報
- TAJIMAJI(タジマジ)
- 住所:東京都渋谷区猿楽町2–5(地図)
- TEL:03-6712-7396
- 営業時間:13:00〜20:00
- 定休日:水曜日
※記事の内容は取材当時のものです
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