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    旅を通して審美眼を養う|本当にすてきなパリのひと【『Souvenirs of』編集長・ソフィア】

    昨年パリに移住したライターの鈴木桃子さんが、街中で見つけたすてきなパリジェンヌをスナップする連載の第2回。

    華美ではないけれど、シンプルなスタイルの中にきらりと光るセンス――そんなすてきな人のエッセンスを探るべく、パリの街角で出会ったパリジェンヌたちにプチインタビューを敢行します!

     

    ファッションのマイルールは「自分に誠実であること」

    2017年にパリで創刊され、世界中に熱狂的なファンを生んだインディペンデントマガジン『The Skirt Chronicles(ザ・スカート・クロニクルズ)』。

    今回登場してくれたのは、そんな一世を風靡した雑誌を作っていた1人であるソフィアさん。ミニマルでシックなファッションで、夏のパリを涼しげに歩く姿をスナップ!

     

    ―今日のファッションのポイントは?

    着心地がいいけれどエレガントな服が好きなので、お気に入りの『Charvet(シャルベ)』のシャツワンピースを選びました。

    『Charvet(シャルベ)は1838年にパリで創業したシックなメゾン。暑い日でも爽やかな空気を纏えるので、夏にぴったりのアイテムです。

    バッグとサンダルは、『The Row(ザ・ロウ)』です。クリーンでクラシックなデザインで、スタイリングを引き締めてくれるので気に入っています。

     

    ―いつも身に付けているジュエリーはありますか?

    ジュエリーはシンプルに削ぎ落とすのがマイルール。

    30歳の誕生日プレゼントでもらった『Cartier(カルティエ)』の時計と、『Marie-Hélène de Taillac(マリーエレーヌ ドゥ タイヤック)にオーダーメイドで作ってもらった婚約指輪、『Ted Muehling (テッド・ミューリング)』のゴールドのイヤリングが定番。

    ニューヨークで活動するクリエイター『Ted Muehling (テッド・ミューリング)』のジュエリーは、自然物からインスピレーションを受けて作られたもので、有機的なフォルムがとても美しいのです。

     

    ―自分ならではのファッションルールを教えてください。

    私のファッションルールは、自分に誠実であること。そして、クラシックで上質なアイテムを見極めて投資すること。

    だから、アイテムを購入するとき、素材や生産地まで必ずチェックするようにしています。このマイルールを心がけていると、何年経ってもスタイルが揺らぐことのない、バランスの取れたワードローブを作ることができるんです。

     

    ―パリジェンヌの着こなしには、どんなルールがあると思いますか?

    私はニューヨーク出身で、15年前の18歳でパリに来て、いろんな身近な人から学んできました。パリジェンヌのシックなスタイルには、パリの建築の美しさや歴史への深い敬意が反映されていると思います。

     

    ―バッグの中にはどんなものを入れていますか?

    『Hermès(エルメス)』のルージュは、レフィルタイプなのでずっと使い続けているお気に入り。

    160年以上の歴史を持つイタリアのお菓子メーカー『Pastiglie Leone(パスティリエ・レオーネ)』のミントも欠かせないアイテム。

    サングラスは、フランス人デザイナーがロサンゼルスで少量生産している人気ブランド「『acques Marie Mage(ジャックマリーマージュ) 』のもの。あとは2冊のスケジュール帳やペン、鍵もマストアイテム。

     

    旅は美しいものを見せてくれる

    ―このカフェはよく訪れるのですか?

    『Café Verlet(カフェ・ヴェルレ)』は1880年から続く老舗カフェで、コーヒーもお茶もなんでもおいしい。

    こぢんまりとした店だけど、2階席で仕事をしたり、読書をしたり、ゆったりと過ごせるのがいいんですよね。

    今日はオリジナルのレモネードをオーダー。それに日本食が好きなので、このオペラ周辺はよく訪れますね。

     

    ―いま、どんな仕事をしているのですか?

    さまざまなファッションブランドで働いた後、8年前に夫とともにエージェンシーを立ち上げました。日本のファッションブランドやアパレル会社のコンサルタントをしています。

    夫とは13年ほど一緒にいるのですが、私たちが初めて一緒に旅行したのが日本でした。そんな親しみ深い日本とフランスの間で文化の架け橋を築いていくことが、私たちが当初目指していたヴィジョン。

    そしていま、私たちは多くの日本のクライアントの展示会やイベントのプロデュースを行い、彼らの希望をパリで実現させるお手伝いをしています。改めて、日本とフランスの2つの文化を結びつける仕事ができていることがうれしいですね。

     

    ―『The Skirt Chronicles(ザ・スカート・クロニクルズ)』の編集長としても活躍していましたが、もう出版物は作らないのでしょうか?

    いま、私たちは新しいプロジェクト『Souvenirs of』を始めたところです。その土地ならではのデザインやクラフトを通して、さまざまな旅の形を提案していくプロジェクトです。

    2019年にオンラインでスタートさせたのですが、今秋には日本の旅に関する初のブックを出版する予定なんです。

    秋に出版予定の日本の旅に関するブック

    この本を手に取ってくれた人たちにとって、その土地のコミュニティや文化をより深く理解し、豊かで思い出深いひとときを体験するきっかけになったらと考えています。ローカルのアートや自然を知って触れるという、旅の醍醐味を共有していきたいと思っています。

     

    ―旅のプロジェクトを始めようと思ったのはなぜですか?

    仕事でもプライベートでも、私たちは多くの場所を旅してきました。旅への情熱は、たくさんの美しいものを見せてくれます。

    そして、その土地で出合った伝統やクラフトは、世界への理解を広げてくれました。そんな風に私たちが得てきた知識や見識、そして旅に対する個人的な視点を伝えていきたいと思ったのです。

     

    仕事に情熱を注ぎすぎてしまうからこそ、プライベートな旅も大切に

    ―仕事もプライベートも家族と一緒の日々で、どのようにバランスを取っていますか?

    私も夫も、自分の仕事にとても情熱を注いでしまうタイプ。そのため、日頃から生活のバランスを取る必要があることを認識しています。

    私たちは家で料理をするのが好きなので、一緒に夕食を取るときには、仕事から離れた会話やプライベートな雰囲気になるように心がけています。

    また、純粋に楽しめるようなプライベートの旅行を計画することも大事にしていますね。

     

    ―日々、幸せな自分であり続けるために取り組んでいる日課はありますか?

    ただ座って本を読む時間は、私のかけがえのないひととき!

    谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』が良かったので、いまは『猫と庄造と二人のをんな』を読んでいます。

     

    ***

     

    洗練された審美眼で、ファッションも仕事も暮らしも揺るぎないヴィジョンを持っているソフィア。

    自分の好きなものや本当に良いものを見極める力が、自分らしい人生を築いていく鍵になることを教えてくれます。

    彼女が提案するクラフトを通した旅の形も、私たちに新たな視点を与えてくれるのではないでしょうか。

     

     

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