人気スタイリストの伊藤まさこさんに、夕方5時からのお酒とごはん(アペロ)の楽しみを伺った前回のインタビュー。今回は、好きで何度も訪れているというパリについてのお話を伺ってきました。
伊藤まさこ(いとう まさこ)
1970年、神奈川県横浜市生まれ。文化服装学院でデザインと服作りを学ぶ。料理や雑貨、テーブルまわりのスタイリストとして、数々の女性誌や料理本で活躍。なにげない日常にたのしみを見つけ出すセンスと、地に足のついたていねいな暮らしぶりが人気を集めている。お酒は家で飲むのも、外で飲むのも大好きで、暮らしの彩りのひとつとして上手に取り入れている。最近、お酒に合う料理の腕がますます上がったと評判。家族と、友人と、仲間と、折々に集まってのお酒の時間を楽しんでいる。おもな著書に『おべんと帖』(マガジンハウス)、『あした、金沢へ行く』(宝島社)、『伊藤まさこの台所道具』『伊藤まさこの食材えらび』(いずれもPHPエディターズ・グループ)など多数がある。
はじめて行った海外がパリ
—パリはよく行かれると伺ったことがあります。
伊藤さん:よく行きますね。昨年の5月に行ったときは3年ぶりだったんですが、18歳のときはじめて行った外国がフランスでした。はじめて行った外国ってすごく印象が強くないですか?それもあって、パリがすごく好きで。それから何度も何度も行っています。20代の頃は1ヶ月くらい滞在したりもしていましたね。
—パリでどんな風に過ごされるのですか?
伊藤さん:だいたい小さな美術館に行ったり。今年から、大学生になる娘がいるんですが、彼女が小さかった頃は無理をしてレストランに行ってもお互いに疲れてしまうので、キッチンを借りて料理したりしていましたね。
これまで何回行ったんだろう…。わからないくらい行っているかもしれないですね。
いろいろな国で買ったというグラス
—パリでお気に入りのスポットはありますか?
伊藤さん:どこを歩いてもきれいというか。あ、意外と汚いところも多いけど、そういうところも含めてパリに来た!という感じがしますよね。東京に帰ってくると無菌室のような感じがして、フランスは人間っぽくていいなと思います。
人もそれぞれ個性がありますよね。スーパーとかでも、そのお客さんに対して接するというか、マニュアルっぽくないですし。私はそっちの方がいいなと思います。
—パリでもアペロを楽しまれるんですか?
伊藤さん:もちろん。というか、もう昼から飲んでますね。アペロと言えば思い出すことがあって、23〜24歳の頃に小さいホテルの部屋を1ヶ月くらい借りたことがあって。その部屋が4階くらいだったんですけど、隣のアパートの下の階の部屋が少し見える部屋だったんです。30歳くらいのカップルが住んでいて。夕方からスナックをおつまみに飲んでいる様子とかが見えていたんです。その部屋に何人か集まってお酒を飲んでいて、そのまま解散のこともあれば、一緒に出かけることもあって。で、「あ、ここで集まってから出かけるんだ!」と気づいて、すごく良い習慣だな〜と思ったのを覚えています。これなら人を気軽に呼べるのでいいな〜と思っていたら、最近アペロという言葉が流行り始めてきましたので、「あ、あれがそうだったんだ〜」と思いました。
おもてなししすぎない、おもてなし
—このアトリエにもお友達がよくいらっしゃるんですか?
伊藤さん:そうですね。よく来ますね。近所にも友人が住んでいて、うちで食前酒を飲んで、人が揃って来たら友人のところでごはんを食べて、またこっちでデザートを食べるというようなことをしたりします。みんなも気分が変わっておもしろいと喜んでいますね。
—本の中では、お皿をまとめて置いてビュッフェスタイルにするなど、ちょっとしたおもてなしのアイデアも紹介されていますよね。
伊藤さん:あまり待たせたり、気を使わせたりしたくないんですよ。つまめるものやお皿、カトラリーを用意しておいて、ワインは冷やしておけば、あとは自由にどうぞという感じですね。あまりおもてなしをしないことがおもてなしというか。私自身気を使ったり使わせたりしたくないし、そういう友人が多いので。
—お友達がいらっしゃるときも、この本にあるようなお料理をお出ししているのですか?
伊藤さん:そうですね。品数は多くなりますけど、だいたい普段から作っている料理をお出しします。初めて作って失敗するのも嫌ですし。
昨日、夕方から打ち合わせがあったんですけど、そのあと飲みましょうとなっていて、結局5時から7時間くらい飲んでいましたね。そういう仕事仲間や友人が多いですね。
—お酒は何が一番好きなんですか?
伊藤さん:シャンパンとかシュワシュワしたものが好きなんですけど、料理に合わせて本当に何でも飲みます。日本酒も焼酎も飲みますし、紹興酒も飲みます。だいたいビールから日本酒に行ったり、シュワっとしたものからはじまることが多いです。
娘が今年大学生になるんですけど、20歳になったら早く一緒に飲みたいって言っていますね。私がいつも楽しそうに飲んでいるからなのかな(笑)。
生まれてきたからには楽しくいたい
—伊藤さんの本を読んだり、お話を伺っていると、日々の楽しみを見つけるのが本当に上手だな〜と憧れていました。そういったものを見つける秘訣や、日々を楽しむために意識していることはあるのでしょうか?
伊藤さん:みんなそうだと思うんですけど、生まれてきたからには楽しくいたいと思っているんですよね。結構自分の気分がよければ、周りも気分よくいてくれるので、いつも楽しくいたいと思っています。
あとやっぱりきれいだったり、かわいかったり、おいしいものが好きで、それを伝える仕事をしているので、今までたくさん見てきた分、アンテナが効くというか見つけるのは早いかもしれないですね。
—今回お話しを伺って『夕方 5時から お酒とごはん』って素敵な過ごし方だな〜と改めて実感しました。
伊藤さん:5時からじゃなくてもいいんだけど、何時と決めて、1日のザワザワしたことをリセットするのがいいんじゃないかなと私は思います。家でなくても、お店でご飯を食べるのでもいいですしね。
今回の本はレシピだけじゃなくて、一緒に、食器や旅のエピソードも紹介しているので、そちらも楽しんでもらえるとうれしいですね。
—最後に今後の活動について教えてください。
伊藤さん:雑誌の連載を本にまとめたりするのが控えています。今年の目標は少しペースをゆっくりにしたいなと思っています。
もうすぐやってくるアペロが楽しい季節を前に、日頃からアペロのようなひとときを楽しんでいる伊藤さんの真似をしたくなるアイデアや日々の楽しみを伺うことができました。
伊藤さん、素敵なお話をありがとうございました!
- ■書籍情報
- 夕方 5時から お酒とごはん
- 著者:伊藤まさこ
- 出版社:PHPエディターズ・グループ
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