パセリやバジル、ピンクペッパーやディルなどフランス料理には様々なスパイスやハーブが使われていますよね。フランス料理だけでなく、イタリアンやエスニック料理、中華や韓国料理などあらゆる料理に欠かすことのできないスパイス。最近ではスーパーマーケットでもいろいろな種類のスパイスは並ぶようになりましたが、何をどう使ったらいいのかよくわからず、手を出しづらいのも正直なところ。
「自宅でもスパイスを上手に使ったお料理に挑戦したい!」ということで、今回は自由が丘のスパイス専門店『香辛堂(こうしんどう)』に伺い、スパイスの種類や使い方を教えてもらいました!
オーダーを受けて調合してくれるスパイス専門店
1歩入ると一気に異国の香りが漂う店内には、スパイスの入った瓶がずらり。ここではオーダーを受けてから調合してくれるミックススパイスが楽しめます。
店長の勝又さんが世界中で吟味し集めてきたスパイスが、単品のスパイスと調合スパイス合わせて170種類ほど並んでいます。
10代の頃、チャイに出会ったことがきっかけでスパイスにハマったという勝又さん。
「最初はチャイからスパイスに目覚めましたが、その後カレー、お肉の漬け込みなどいろいろやりました。スパイスって料理がおいしくなるし、毒消し効果もあり、漢方的な側面もあって体にもいい。とにかく、すごく奥が深いんですよね。これはおもしろいなと思いスパイス専門のお店をはじめたんです」。7年前にオープンしたお店は常連さんも多く、日本各地からお客さんが訪れる人気店に。
種類が多いのでどんな料理に合うのかとかわからなくて…と相談してみると、「東南アジアやインドでは、スパイスがどの家庭にもあって、それぞれの家にお袋の味と言えるような調合があるんです。日本人が味噌汁を作るときに味噌を目分量で入れるような感覚で、目分量でスパイスを使っています。そんな感じで適当に使ってもおいしくできちゃうものなのに、皆さん難しく考えすぎちゃってるんですよね」と勝又さん。
『香辛堂』では、そんなスパイス初心者でも手に取りやすいように、スパイス単体だけでなく、「スパイスをどう使うか」というところまでイメージしやすい形で販売しています。
考えすぎず好きな香りのスパイスを
お店の中に並んだスパイスを見ていると「ローストビーフスパイス」や「ピクルススパイス」、「サーモンミックス」など、ネーミングを見て「このお料理に合うんだ!」と分かるものも多く、またレシピが添えてあるものもあるので使い方がすぐにイメージできます。
料理用のスパイスだけでなく、サングリアやチャイなどのドリンク用のスパイスやトースト用のスパイスも。すべて勝又さんがご自分で試して調合したオリジナルミックスです。
「『ハーブチキン』という名前だからといってチキンにしか使えないということではなくて、サーモンやオムレツに使ってもいいんです。スパイスって好みの香りと味だったら、何にでも使ちゃっていいんですよ。もちろん料理方法や素材などによってスパイスの適正はあるけど、それを知っても難しくなっちゃうだけだから、そんなに気にしなくてOK。まずはあまり考えすぎず、好きな香りのものを見つけて、いろいろと試すことが大切です」。
フランス料理にぴったりのスパイスは?
PARISmagということで、フランスっぽいスパイスを教えてもらいました。
素材に使うのか、ソースに使うのかなど何を作るかによるとのことですが、「フレンチソルト」や「エルドプロバンス」などは使いやすいとのこと。「エルドプロバンス」はフランス料理店ならそれぞれ独自の調合があるスパイス。オイルやビネガーに入れて香りを移すか、チキンソテー、ポークソテーのときに周りに散らすとおいしいそうです。
続いて教えてくれたのはこの「ラセラノ」というスパイス。
「北アフリカからヨーロッパでよく使われている『ラセラノ』は、名前がフランス語であるようにフランスでは定番のスパイス。チキンに揉み込んで皮をカリカリに焼けばめちゃめちゃおいしいチキンソテーになるし、ソースや煮込み、炒めものにしてもおいしいです。
塩味だけつければ、簡単においしい1品ができちゃうのでお手軽ですよ」。ちなみにいろいろなスパイスを試し、自宅にもたくさんのスパイスがあるという勝又さんがいまだにずっと使っているのが、この「ラセラノ」なのだそうです。
ちなみに『香辛堂』では、カスタマイズやオリジナル調合もできるので、「◯◯をベースにガーリック少なめで」とか「◯◯にもっと辛味をプラスしたい」のように、自分好みのスパイスにカスタマイズすることもできますよ。
赤と緑が鮮やかなオムレツミックス
勝又さんのアドバイスを元にいろいろなスパイスの香りを確認しながら、お気に入りのスパイスを選んでみました。
今回、選んでみたのは「オムレツミックス」。マジョラム、タラゴン、パセリ、パプリカ、オニオンが入った、緑と赤のきれいな色合いのスパイスです。
スパイスというと、強い香りのイメージがありましたが、こちらはあまり刺激的な香りではなく、優しい香り。
「溶き卵に入れるだけで、オニオン、パプリカ、パセリなど野菜の風味や香りが付いて、簡単においしいオムレツが作れちゃいます。チキンソテーにも使ってもおいしいですよ」という勝又さんの言葉通り、いつものオムレツやチキンソテーがグッと本格的な味わいになりました。同じスパイスでも食材によって印象が異なり、料理の楽しみが広がりそう!
せっかくお気に入りのスパイスを見つけたので、おいしさをキープする保存方法も教えてもらいました。
「ジャムなどの瓶に入れて常温で、直射日光と湿気を避けて保存しましょう。冷凍冷蔵はしないでくださいね。時間が経つに連れてスパイスに含まれている精油成分が酸化してきちゃうので、早めに食べるのがおすすめ。スパイスには新鮮さが重要なんです」とのことでした。
ふりかけスパイスにワインスパイス?
『香辛堂』には、他にも食事が楽しくなるスパイス商品が揃っています。
こちらの「FURIKAKE」はその名の通り、ごはんにかけるスパイス。「燻製こしょう風味」、「カレー風味」、「ホット+サワー風味」の3種類で展開しています。
「ホット+サワー風味」は酸味のあるスパイスと塩をブレンドしたもの。ふりかけの定番「ゆかり」のような酸味ですが、梅などを一切使用しておらず、スパイスによる酸味というから驚きです。
燻製したこしょうと塩を合わせた「燻製こしょう風味」は何にでも使える万能アイテム。燻製の風味でうまみを強く引き出すので、かけるお料理を選びません。カツオなどのお刺身にかけてもおいしいのだそう。「朝の目玉焼きから夜のおつまみにも使えるので人気の商品です」とのことでした。
こちらはワインを注ぐだけでサングリアが作れる「自由が丘サングリア」。
赤ワイン用には、ザクロ、アップルキューブ(オーガニックのりんごをカットして乾燥させたもの)、レモンピール、シナモン、オールスパイスが、白ワイン用にはミント、ドライストロベリー、カルダモン、メース(ナツメグの周りの革)が入っています。
ワインを注いぐだけで、スパイスの風味たっぷりの本格サングリアが作れるということで大人気の商品。赤ワインは特に人気で、この日も「前回、購入してすっかりハマってしまって、友人にもすすめている」という常連さんが訪れていました。
赤ワインはそのまま置いておいてもいいですが、白ワインはミントの苦味が出てくるので、気になる方は一晩くらいで飲むのがベストとのことでした。
『香辛堂』でスパイスの香りに包まれながら、勝又さんのお話を聞いているとすっかりスパイスに夢中になってしまうはず。
「とにかく、好きなものや気になるものからトライして、好きな香りを見つけてみてくださいね。料理もあまり難しく考えず適当でOK。スパイスを使うと適当に作ってもおいしくなっちゃいますから」。
お気に入りのスパイスがあれば毎日のお料理や食事はもっともっと楽しくなりそうですね。難しく考えず気軽な気持ちで普段のお料理にスパイスを取り入れてみませんか?
- ■お店情報
- ミックススパイス専門店「香辛堂」
- 住所:東京都目黒区自由が丘1-25-20(地図)
- Tel : 03-3725-5454
- 営業時間:11:00〜19:00
- 定休日:水曜日、第4木曜日(不定休あり)
※記事の内容は取材当時のものです。 最新の情報は、お店のHP、SNSなどをご確認ください。
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