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    アートに触れ、自分と向き合う時間。都内の美術館&ギャラリーガイド

    夕暮れ時のヒグラシの鳴き声に、秋の気配を感じる今日この頃。開放的な夏の気分からシフトチェンジをして、自分自身の内面を磨くのにちょうどよい季節なのではないでしょうか。

    芸術の都といえばパリですが、実は東京にも多くの美術館やギャラリーがあります。今回は、都内にある個性豊かで魅力的なアートスポットを紹介いたします。この秋、ゆっくりじっくり自分だけの思索の森に足を踏み入れてみませんか?

     

    静かにたたずむ『原美術館』

    お気に入りの美術館として『原美術館』を挙げる人は多いのではないでしょうか。にぎやかな品川駅前を抜けた住宅街の中にある小さな美術館です。もとは邸宅だったモダニズム建築を美術館として活用しており、邸宅だったころの静かな佇まいをそのままに残しています。

    建物を取り囲む庭には緑が茂り、館内から外を眺めればまるでどこかの別荘に来たような感覚に。「ここが品川?」と驚いてしまうはず。

    建物はもちろん、その空間を存分に活かした現代アートやインスタレーションを見ることができるのも『原美術館』ならでは。実際に体感できるインスタレーションも多く、普段アートに馴染みのない方も楽しめる展示が多いのも特徴です。

    ふらりと訪れれば、穏やかな時間の流れを感じられる別荘のような美術館です。

    • ■美術館情報︎
    • 原美術館 Hara Museum of ContemporaryArt
    • 住所:東京都品川区北品川4-7-25(地図
    • 電話:03-3445-0651
    • 開館時間:11:00〜17:00 (祝日を除く水曜は20:00まで。入館は閉館の30分前まで)
    • 休館日:休館日:月曜日(祝日の場合は翌平日)、展示替え期間、年末年始
    • 入館料:[一般]1,100円、[大高生]700円、[小中学生]500円 ※原美術館メンバーは無料

     

    • ■今後の開催予定
    • 「そこにある、時間−ドイツ銀行コレクションの現代写真」
    • 開催期間:2015年9月12日(木)〜2016年1月11日(月)

     

    由緒あるアール・デコ建築に触れる『東京都庭園美術館』。

    東京都庭園美術館 本館 正面外観

    美しい曲線と直線で構成された『東京都庭園美術館』。フランスのアール・デコ様式を日本で取り入れた建築としても価値があり、一度は訪ねてみたい美術館です。

    大食堂

    アール・デコ建築ならではの幾何学模様やアーチのしつらえ、細やかな装飾が随所に見られ、心地良いバランスを感じることができます。

    ベランダ

    探検するように歩き回りたくなる、奥行きのある魅力的な建物です。

    本館に隣接する新館は、アール・デコ建築の本館と打って変わって、ガラスを多用したモダンで開放的な建物。本館にはない新しいホワイト・キューブの展示室が備えられているのが特徴です。歴史的建造物と新しい空間の2つの展示空間の特徴を活かした展覧会や映像、パフォーミングアーツなど、さまざまな活動が行われています。

    東京都庭園美術館 新館 外観

    庭園美術館という名前だけあって、建物の周辺には緑が囲む芝庭の他、日本庭園も併設されています(現在整備工事中)。また、都内では珍しい鬱蒼とした木々が生い茂る自然教育園という施設も隣接しているので、こちらも一緒に楽しむのがおすすめ。
    美術作品だけでなく、過去と現代の建物も楽しめ、そして自然も楽しめる、ゆったりと秋の深まりを感じ取るのにぴったりなアートスポットです。

    • ■ 美術館情報︎
    • 東京都庭園美術館
    • 住所:東京都港区白金台5-21-9(地図
    • 電話:03-5777-8600(ハローダイヤル)
    • 開館時間:10:00〜18:00(入館は閉館の30分前まで)
    • ※9月23日までの毎週金曜日は10:00〜21:00(入館は閉館の30分前まで)
    • 休館日:第2、第4水曜日(10月14日、28日、11月11日、25日、12月9日、24日)、年末年始
    • 入館料:展覧会によって異なる

     

    • ■ 現在開催中
    • 「アール・デコの邸宅美術館 建築をみる2015 + ART DECO COLLECTORS」
    • 2015年7月18日(土)〜9月23日(水・祝)
    • ■今後の開催予定
    • 「オットー・クンツリ展 」
    • 開催期間:2015年10月10日(土)–12月27日(日)

     

    コンクリートジャングルの中で異彩を放つ『ワタリウム美術館』

    地下鉄外苑前の駅を上がり、キラー通りを原宿方面に向かって歩く道の途中、鋭い三角形の平面と横縞模様のファサード特徴的な外観の建物姿を表します。周りと明らかに違う空気を醸し出している、この建物が『ワタリウム美術館』です。

    国際的なコンテンポラリーアートを多く展示する『ワタリウム美術館』は、小さな建物いっぱいにアートのエネルギーが凝縮されています。建物内全体を使った展示が特徴で、展覧会のたびにガラリと雰囲気が変わります。そのため今回、内観写真の掲載はありませんが、ぜひご自身でその空間体験を確かめていただけたらと思います。

    ここに来れば、きっと感性をピンポイントに刺激してくれるような新しいアートとの出会いがあるはず。既成概念を飛び越えた先にある新たな感性を切り開くことのできる美術館です。

    • ■ 美術館情報
    • ワタリウム美術館
    • 住所:東京都渋谷区神宮前3-7-6(地図
    • 電話:03-3402-3001
    • 開館時間:11:00〜19:00(水曜日は21:00まで)
    • 休館日:月曜日
    • 入館料:[大人]1000円、[学生(25 歳以下)]800円、[小中学生]500円、[70歳以上]700円、[ペア券:大人(2人)]1600円、[学生(2人)]1200円

     

    • ■ 今後の開催予定:
    • 「Don’t Follow the Wind Non-Visitor Center 展 −みにいくことができない展覧会のためのサテライト展−」
    • 開催期間:2015年9月19日(土)〜10月18日(日)

     

    地域の日常と共にある『世田谷美術館』

    緑豊かな砧公園の一角にある『世田谷美術館』は、周りの自然環境に調和するように佇んでいます。

    館内には、世田谷ゆかりの作家作品や、アンリ・ルソー、北大路魯山人などの作品が、約15,000点収蔵されています。

    都内では有数の広さを持つ砧公園の中にあることもあり、開放感のある大きな施設です。展覧会だけでなく、レストランやライブラリーなど、地域の人たちも日常的に訪れることのできる施設も併設されています。また、休日には併設レストランで結婚式が開催されていることも。

    公園ののんびりした空気と地域に密着した日常を感じ、1日かけてゆっくり滞在できる美術館です。

    • ■美術館情報
    • 世田谷美術館
    • 住所:世田谷区砧公園1-2(地図
    • 電話:03-3415-6011開館時間:10:00〜18:00(展覧会入場は閉館の30分前まで)
    • 休館日:月曜日(ただし月曜日が祝休日の場合は開館、翌平日休館)、年末年始
    • 収蔵品展観覧料:[一般]200円、[65歳以上]100円、[大高生]150円、[小中生]100円
    • ※企画展観覧料は、内容により異なる。

     

    • ■今後の開催予定
    • 「生誕100年 写真家・濱谷浩 −もし写真に言葉があるとしたら」
    • 開催期間:2015年9月19日(土)〜11月15日(日)

     

    真っ白な空間で出会う現代アート。『小山登美夫ギャラリー』

    小山登美夫ギャラリー[北参道]photo by Kenji Takahashi ©James Castle Collection and Archive LP, Courtesy of Tomio Koyama Gallery

    小山登美夫ギャラリー[北参道]photo by Kenji Takahashi ©James Castle Collection and Archive LP, Courtesy of Tomio Koyama Gallery

    村上隆や奈良美智など日本を代表する作家や海外のアーティストを紹介し続けてきた、小山登美夫のギャラリー。作品への意識を集中できる真っ白な空間に、現代アートの作品たちが並びます。

    小山登美夫ギャラリー[北参道]photo by Kenji Takahashi ©James Castle Collection and Archive LP, Courtesy of Tomio Koyama Gallery

    現代アートと聞くと、「ちょっと難しそう…」と構えてしまうという方も少なくないはず。しかし、常に生まれ、動き続け、進化していく、そうした生きたアートを心のままに感じることは、自分の内面を深めるきっかけとなるのではないでしょうか。

    8/ART GALLERY/ Tomio Koyama Gallery[渋谷ヒカリエ] photo by Kenji Takahashi ©Takuro Kuwata, Courtesy of Tomio Koyama Gallery

    都会にありながら静寂を感じる真っ白な空間に身を置き、真っ白な心でもってアートと向きあえば、きっと今まで知らなかったアートの楽しみに触れ合えるはずです。

    • ■ ギャラリー情報
    • 小山登美夫ギャラリー[北参道]
    • 住所:東京都渋谷区千駄ヶ谷3-10-11(地図
    • 電話:03-6434-7225
    • 開廊時間:11:00〜19:00
    • 休館日:日曜日、月曜日、祝日

     

    • ■ 今後の開催予定[北参道]
    • 福永大介「Documenting Senses -イヌではなくネコの視点によって-」
    • 開催期間:2015年9月12日(土)〜10月17日(土)

     

    • ■ ギャラリー情報
    • 8/ ART GALLERY/ Tomio Koyama Gallery[渋谷ヒカリエ]
    • 住所:東京都渋谷区渋谷2-21-1(地図
    • 電話:03-6434-1493
    • 開廊時間:11:00〜20:00
    • 休廊日:展示替え日

     

    • ■今後の開催予定[渋谷ヒカリエ]
    • 山本桂輔 展「むかしむかしむかし」
    • 開催期間:2015年9月9日(水)〜9月28日(月)

     

    懐かしさと新しさがミックスする場『根津美術館』

    エントランスホール©藤塚光政

    日本・東洋の古美術品コレクションを保存し、展示するためにつくられた『根津美術館』。コレクションの大部分は実業家である根津嘉一郎氏の旺盛な蒐集の成果で、そのジャンルは幅広いものとなっています。そうして集められたコレクションを、秘蔵にするのではなく、「衆とともに楽しむ」ことを目指し、この美術館は作られました。

    正門からのアプローチ ©藤塚光政

    その選び抜かれたコレクションもさることながら、和とモダンが融合した建築、正門から延びる竹のアプローチ、美術館を取り囲む日本式の庭園も一緒に楽しむことをお忘れなく。

    庭園内の茶室「弘仁亭」

    懐かしさと新鮮さに溢れた大人の遊び場のような美術館です。

    内観 NEZUCAFÉ

    • ■美術館情報
    • 根津美術館
    • 住所:東京都港区青山6-5-1(地図
    • 電話:03-3400-2536
    • 開館時間:10:00〜17:00(入館は閉館の30分前まで)
    • 休館日:月曜日、展示替期間、年末年始(ただし月曜日が祝日の場合、翌火曜日)
    • 入館料:特別展[一般]1200円、[学生(高校生以上)]1000円
    •     コレクション展[一般]1000円、[学生(高校生以上)]800円

     

    • ■ 今後の開催予定
    • 「根津青山の至宝 初代根津嘉一郎コレクションの軌跡」
    • 開催期間:2015年9月19日(土)~11月3日(火・祝)

     

    コンテンポラリーアートをより身近に『NADiff A/P/A/R/T』

    都内を中心に国内の美術館、文化施設にミュージアムショップを開設している『NADiff』の本店『NADiff A/P/A/R/T』。NADifffによるアートショップ&ギャラリーの他、2つのアートギャラリーと、バーが入居したアート・コンプレックスです。

    近藤恵介『12ヶ月のための絵画』のための本展 NADiff Gallery

    B1FにあるNADiff企画のギャラリーでは、コンテンポラリーアーティストによる展覧会が行われ、今日の表現のトレンドを体験できる場として、様々な企画が年に10回程入れ替わりで開催されています。

    高松次郎『言葉ともの』―純化とトートロジー展 NADiff Gallery

    1Fのショップでは、国内外のアートブック、写真集、展覧会カタログ、希少古書をはじめ、アーティストグッズやマルチプルなどが販売されています。コンテンポラリーアートをより身近に楽しむことができるスポットです。

    • ■ ギャラリー情報
    • NADiff A/P/A/R/T
    • 住所:東京都渋谷区恵比寿1-18-4(地図
    • 電話:03-3446-4977
    • 開店時間:12:00〜20:00
    • 定休日:月曜日(ただし月曜日が祝日の場合、翌火曜日)

     

     

    創造と想像のパワーが満ち溢れる『岡本太郎記念館』

    1996年、84歳で亡くなるまでの50年近く岡本太郎氏がアトリエ兼住居として生活していた建物を開放し作られた『岡本太郎記念館』。

    アトリエ

    「どんな思考や過程を経て作られたのだろう?」と、つい気になってしまう岡本太郎氏の作品の数々。絵を描き、原稿を書き、彫刻と格闘し、人と会い、太陽の塔をはじめ巨大なモニュメントや壁画など数々の独創的な作品の構想を練り、制作した場所がこの記念館です。

    サロン

    今なお、彼のエネルギーが満ちたこの場所で、その大きな想像力に思いを馳せれば、何か新しい閃きが舞い降りてくるかも?想像と創造のパワーが満ちてくる場所です。

    • ■ 美術館情報
    • 岡本太郎記念館
    • 住所:東京都港区南青山6-1-19(地図
    • 電話:03-3406-0801
    • 開館時間:10:00〜18:00(入館は閉館の30分前まで)
    • 休館日:火曜日(祝日の場合は開館)、年末年始(12/28〜1/4)
    • 観覧料:[一般]620円、[小学生]310円

     

    若きアーティストを見つけられるかも?『デザインフェスタギャラリー』

    「表現する全ての人のために開かれた場所を!」というコンセプトによって、運営されている裏原宿の『デザインフェスタギャラリー原宿』。個人の展覧会や友人同士でのグループ展、ワークショップなども行われるアートスペースです。EAST館、WEST館合わせて21+αのスペースに分かれ、トイレから階段まで空間すべてがキャンバスに。ここでは、毎日違うアーティストたちの作品やイベントに出会うことができます。

    世界にひとつしかないオリジナル作品や、国内外の個性的なアーティスト作品が集まるユニークな空間として、外国人観光客の方にも高い人気があります。

    EAST館、WEST館の間にはカフェも併設されており、裏原宿の隠れた休憩スポットとしても人気です。若きアーティストの作品を鑑賞し、その熱き志に触れると自分も何か表現したくなってしまうかも?鑑賞だけにとどまらず、自身の感性や創作意欲をも刺激されるアートスポットです。

     

    美術館を始め、ギャラリー、アートスペースなど、東京都内には大小様々に、個性に富んだアートスポットがあると気付かされます。

    美術だから、アートだからと構えすぎず、感性のままに作品に向き合えば、そこから何かを受け取り、自分自身の想像の源泉となるような体験に出会えるかもしれませんよ。ぜひ、リラックスした気持ちで、芸術の秋はじめてみませんか?

    ※記事の内容は取材当時のものです。

     

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