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    オーダーメイドで自分だけの花束を。富ヶ谷のドライフラワー専門店『EW.Pharmacy』

    富ヶ谷のドライフラワー専門ショップ『EW. Pharmacy(イー・ダブリュー・ファーマシー)』。バレンタインやホワイトデー、お別れシーズンなど冬から春にかけて大切な人に贈るプレゼントを探しに、多くのお客さんが足を運びます。「便利な時代だからこそ、ものを大切にしてほしい」。そんな想いが込められた『EW. Pharmacy』の魅力について、店長の篠崎恵美さんにお伺いしました。

     

    『EW. Pharmacy』はお花を捨てないプロジェクト

    賑やかな渋谷駅を少し離れ、富ヶ谷にひっそりと佇む『EW. Pharmacy』。少し重く大きな扉を開けると、さまざまな色のドライフラワーが目に飛び込んできます。

    「お花たちが一番きれいに見えるように、お店の内観外観ともに無機質なグレーや白、ガラス素材のみを使っています。スタッフもグレーのショップコートを羽織るようにしていて、お花以外はできるだけシンプルにしているんです」とオーナーの篠崎さん。花瓶ではなく、さまざまな大きさや形の薬品瓶が並び、薬局から着想を得たコンセプチュアルな空間が広がります。

    さまざまな形や大きさの薬品瓶がズラリ

    そんな『EW. Pharmacy』開業のきっかけをお伺いすると、篠崎さんのお花への強い愛情と敬意が伝わってきました。

    「ウィンドウや撮影のセットの装飾をするチーム『edenworks』と、生花屋さん『edenworks bedroom』をやってきましたが、どちらの仕事でも余ったお花たちは捨てられてしまう。お花屋さんは鮮度が大切なので、お花を捨てることが仕事なんだって思ったんです。

    商品であることはもちろんですが、それ以前にお花ってやっぱり生き物だから。もののように捨てざるを得ないことがすごく嫌だったんです。だから、余ってしまった分を急速にドライフラワーにして、『EW. Pharmacy』で販売するようになったというのが始まりです」。

     

    風邪をひいたことをきっかけに訪れた薬局をコンセプトに

    『EW. Pharmacy』という名前の通り、薬局から着想を得たというちょっと変わったお花屋さん。薬剤師さんが自分用に薬を作ってくれて、使用方法を丁寧に説明してくれる。そんな“自分や大切なあの人のためだけに、カスタマイズされたもの”が、ここ『EW. Pharmacy』でも手にすることができます。

    「私が風邪をひいたとき、症状を話したら先生が処方箋を書いてくれて、調剤薬局に持って行ったんですね。そしたら、カウンター越しから薬剤師さんがパッケージに入った粉薬をくれたんです。そのときに『あ、これは私のオリジナルの薬で、他の誰かに渡したりしちゃいけない薬だ』と思いました。このオリジナリティをお花屋さんで再現できないかなと思って、薬局をコンセプトにしたんです。」

    薬局のように店員さんとお話ししながら出来上がっていく花束。実際にPARISmag編集部がオーダーメイドの花束を作ってみました。

     

    自分の気持ちや大切なあの人を思いながら作るオーダーメイド花束

    お花の名前や花言葉がズラリと並んだメニュー表

    まずは、お花の名前や花言葉、金額が記載されたメニュー表を受け取ります。このメニュー表と実物を見ながら、全20種類のお花の中から希望の組み合わせを選んでいきます。この20種類は2ヶ月のシーズン毎で変わっていき、取材をした12月は冬らしいシルバーやふわふわとした素材のものが多く揃っていました。

    実際に机の上に出してもらい、色や素材の組み合わせを見ていきます。たった1種類変えるだけでも花束の印象は大きく変わるので、何を選ぶか迷ってしまう…。店員さんにアドバイスをいただきながら、何とか選定。そのお花たちを今度は店員さんが丁寧に切り揃え、花束に整えてくれます。

    ドライフラワーは割れやすくとても繊細。丁寧に、慎重に、花束は作られていきます。薬局と同様、最後に自分が選んだお花がわかるように処方箋を書いてくれました。

    選んだお花がわかる処方箋

    処方箋には選んだお花の名前だけでなく、花言葉やそのお花の豆知識が記されています。選んだお花にどんな意味やメッセージが込められているのか、お家に帰ったあとからでも確認できるのがうれしいポイント。いよいよ、完成です!

    お花の魅力ももちろんですが、こうやって今の自分の気持ちや大切な人の顔を思い浮かべながら、「ああでもない、こうでもない」と悩むのも贅沢。

    「もちろん手を動かすのはスタッフなのですが、お客さんと一緒に作っていくという感覚ですね。カウンセリングを通じて、お客さんひとりひとりにカスタマイズしていく。『昔の人はこのお花をこういう風に使っていたんですよ』といったお花にまつわるストーリーもスタッフが教えてくれます。

    プレゼントする場合も『この花にはこういう意味が込められているんだって』と会話のきっかけにもなりますよね。言葉で伝えられないメッセージもお花を通してなら伝えられたり。ネットやウェブショップの時代にわざわざ足を運んでもらうのも、意味を持って選んでもらいたいからです」。

     

    季節をお部屋に取り入れるドライフラワーならではの楽しみ方

    袋から出さず、このまま飾ってもかわいい

    そんなこだわりが詰まった『EW. Pharmacy』。どんなお客さんが来るのか伺うと、意外にも男性がとても多いとのこと。

    「花束を持ち歩くのが恥ずかしいと感じている男性が良く来てくれますね。生花だと結構大きくなってしまう花束も、ドライフラワーにするときゅっとコンパクトになります。ちょっと照れ屋さんな人は、花束持つのに少し勇気がいる。そんな方にちょうどいいのかもしれませんね」。

    オーダーメイド以外にも、店員さんのセレクトで作られた薬剤瓶も並んでいます。

    「お花のラインナップは2ヶ月毎に変わっていきます。2ヶ月という期間は、生花よりも遥かに長持ちするドライフラワーならでは。一度、薬剤瓶を買っていただければ、中身だけをその季節に合った色や質感を持つお花にリアレンジが可能です。お花を通じて新しい季節の到来を楽しんでもらえたら」。

     

    「生き物やものを大切にしてほしい」というメッセージを届け続けたい

    お花を捨てないプロジェクトとして始まった『EW. Pharmacy』も開店から約2年半。スタッフの意識改革も含め、反響はとても大きかったそうです。

    「若い人や子どもたちに、生き物やものを大切にしてほしい。その思いは、これからもプロジェクトを通して伝え続けていくと思います。今は便利な世の中すぎて、粗末にしてしまうものがあまりに多い。そんな世の中で生きていく次の世代の人たちに、昔ながらの知恵じゃないですけど、こうしたら長持ちするとか、こうしたらきれいに飾れるとか、古臭くない若者にも伝わる言葉やデザインで届けています。お店は華やかに見せていても、伝えたいことは結構アナログなんですよね(笑)」。

     

    『EW. Pharmacy』のおしゃれなショップカード

    そんな篠崎さんが新たにスタートさせたのが『PLANT』というお店。『EW.Pharmacy』から歩いて数分の『PLANT』では、余った生花がドライフラワーになっていく過程を見ることができるそうです。

    「『PLANT by edenworks』はお店というよりはアトリエというイメージですね。スタッフがどういう風に仕事をしているのか、どうやって生花をドライフラワーにしているのか、お客さんから見えるようにしています。お花はとても繊細なので、作っている過程で落ちた花びらをポプリにして販売したり。うちで買ったお花じゃなくても、持ち込んでいただければそれをドライフラワーにすることもできますよ。お花を捨てないプロジェクトを『PLANT by edenworks』を通じてより深く知っていただければ、と」。

    ウェブショップですぐにものが買えてしまう便利な時代。だからこそ、『EW.Pharmacy』が生き物やものを大切にするきっかけになってほしい。そんな篠崎さんの熱い想いが詰まった『EW.Pharmacy』で、自分や大切な人とじっくり向き合いながら花束を選んでみてはいかがでしょうか。

     

    ※記事の内容は取材当時のものです。 最新の情報は、お店のHP、SNSなどをご確認ください。

     

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