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    悩めるって贅沢なこと。蔵前『自由丁』で、1年後の自分へ贈る手紙

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    革製品や染物の工房、陶器や生活雑貨のお店が数多くあり、ものづくりの町として知られる蔵前。古くから続くお店や新たに登場したお店など、さまざまな文化の融合を楽しめるエリアでもあります。

    今回ご紹介するのは、蔵前を散歩しているときに偶然見かけた『自由丁(じゆうちょう)』というお店。なんでも、1年後の自分へ手紙を送れる場所なのだとか。

    蔵前駅から歩くこと数分、入り口の灯りが印象的なこちらが、今回の目的地『自由丁(じゆうちょう)』です。

    お話を伺ったのは、小山将平さん。『自由丁』のこと、そしてどんな場所なのか、じっくりお話を聞いてきました。

     

    未来を明るく照らす「TOMOSHIBI LETTER」

    2019年8月に蔵前にオープンした『自由丁』。入り口の看板に「未来へ手紙を書く、本を読む、勉強をする、仕事する、少し休む、悩む、考える」とあるように、『自由丁』で過ごす時間は、本当に自由。基本的に2時間自由に過ごすことができます。

    もともと小山さんが、「人が素直な気持ちを考えたり、表現したりする機会を増やしたい」と、1年後の自分にメールが送れるというWEBサービスを始めたのだそうです。

    「WEBのサービスのときから、1年後の自分に手紙が送れるレターセット『TOMOSHIBI LETTER』の販売もしていました。商品を作っていくうちに、そうした機会を提供するなら、やっぱり場所を持ちたい、場所を持つことで初めて自分がやりたいことを形にできるのかなと思ったんです」。

    “未来を照らそう”というコンセプトで始めた「TOMOSHIBI LETTER」

    そもそも1年後の自分に手紙を送ろうというのも、ちょっと先の未来をポジティブに考えるきっかけを作りたいと思ったからなのだとか。

    「レターセットも手紙も、“未来を照らそう”というコンセプトで始めました。いいときはいいときで、悪いときは悪いときで大変だけど、どんな悩みも1年後には解決していることが多いと思っていて。『1年後には解決した自分がいるはずだから』と思うと、少しポジティブになれるんじゃないかなと思うんです」と小山さん。

    お店の文房具は自由に使うことができます。すぐ近くの『ink stand』で作ったオリジナルインクで手紙を書くお客さんも多いのだとか

    1年後の自分へ手紙を書く「TOMOSHIBI LETTER」。書いた手紙はお店で保管し、1年後に指定した住所へ届けてくれます。

    ちょっと変わった使い方として、結婚式で来場者に手紙を書いてもらい、それをアルバムにまとめて1年後の新郎新婦へ届けるということも。結婚式当日ではなく、1年経って読むと違った楽しみがありそうです。また、「実は今日、誕生日なんです!」と1年後の自分へのプレゼントに手紙を書くなど、特別な日に訪れる方も少なくないのだそう。

     

    悩めるのは贅沢なこと。答えを見つけるのではなく、自分と向き合う時間

    『自由丁』では、まず1枚の紙「自由帳」を渡されます。この紙には何を書いても(描いても)OK。

    「お友達と2人で来て、最初は和気あいあいとしていたのに、座った途端2時間ひと言も喋らず、気づいたら1人1人が黙々と書いていて、とても驚きました」と小山さん。

    2時間の間、手紙を書いている人、読書を楽しむ人、びっしりと絵を描く人…など、さまざま。これほど集中する時間、取ろうと思ってもなかなか取れないものです。

    お客さんの中には、オリジナル文房具が作れる『カキモリ』でノートを作る待ち時間に来る方も

    『自由丁』には、転職や受験など、人生における転機に訪れる人も多いそうです。

    「僕自身、すごく悩むというか、じっくり考え事をするタイプの人間なんです(笑)。世の中では、なるべく早く、いい答えをというのがよしとされているところがあって、悩んでいると、『そんなに悩まなくても!』とか、『こうしたら?』なんて、解決策を提示されちゃう。でも、悩むことって人間の特権だなあって思うんです。その時間は、とても贅沢な時間なんじゃないでしょうか」。

    手紙を書いたり、絵を描いたり。「自由帳」には何を書いてもOK

    また、小山さんが場所を蔵前に決めた理由の1つに、ものづくりの町というのがありました。職人さんがモノと向き合って、自分とも向き合って、そういう人やものがたくさんある場所が『自由丁』にも合っていると感じたと言います。

    「『自分と向き合ったり、悩んだりするって大事なことだよね』ということを発信していきたいですし、文化として築いていきたいと思っています。『自由丁』では、悩んでいると『いいじゃん!』『いいね!』という文化があります(笑)」と小山さん。

    イベントでの手紙は展示されているので、足を運んだ際はぜひ読んでみて

    定期的にイベントも開催していて、「20歳の自分へ」「これから恋をする自分へ」など、そのときどきのテーマで手紙を書くこともあるそう。自分にとって過去の悩みでも、それが今悩んでいる誰かの役に立つことがきっとあるはず。

     

    次に読む人へのお手紙も。新しい、本との出会い方

    『自由丁』には、ちょっと不思議な本棚があります。その名も「繋がる本棚」。並んでいる本には、1冊1冊その本をおすすめした人からのお手紙が添えられているんです。

    「本を読んで、その人がどう感じたのかも、読書の価値の1つだと思っていて、なるべく次に読む方へ向けて、お手紙(推薦文)を書いてもらうようにしています。おすすめの本はもちろん、『自分では読み終えられなかったけど、この本に合う人はきっといるはず』なんて、本を持ってきてくれる方もいます(笑)」。

    持ち帰りたい本を見つけたら、自分の持ってきた本と交換するか、おすすめの本を紹介することで、「繋がる本棚」へ参加することができます。誰しもが手にとることができるので、交換はしないけれど読書をしたいという人も。思い思いのお手紙が添えられているので、ぜひ手にとって読んでみてくださいね。

    個性あふれるお手紙、いろいろと手にとっては読みこんでしまいます

    『自由丁』では、手紙を書いたり、読書をしたり、勉強したり、悩んだり。そしてコワーキングスペースとしての利用もでき、軽食や飲み物などの飲食の持ち込みもOKです。

    「蔵前にはコーヒー屋さんもたくさんあるので、ぜひお気に入りのコーヒーを買って、じっくり悩みに来てください」と小山さん。

    忙しない日々に流され、ついつい“正解”ばかりを求めていませんか?『自由丁』には、答えを見つけるのではなく、考えたり悩んだりして自分と向き合う、そしてそれを「いいね!」と言いあえる空間があります。

    常に歩き続けなくてもいい。時には立ち止まって休んで、じっくり考えて。そんな時間を大切にしたいとき、訪れてみてはいかがでしょうか?

     

    • ■お店情報
    • 自由丁(じゆうちょう)
    • 住所:東京都台東区蔵前4-11-2
    • 営業時間:[水〜金]12:00〜19:00、[土・日・祝]11:00〜20:00
    • 定休日:月・火曜日(祝日は営業)
    • https://jiyucho.tokyo/

     

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