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    木村綾子さんに聞く!夏の旅先で読みたい7冊の本

    もう間もなく夏休みという方も多いのではないでしょうか?海に山に、海外旅行、里帰り…と、どこかへ出かけるという方も多いはず。

    どこかへ出かけ、観光地や名所を巡るのもいいけれど、フランスやヨーロッパのバカンスのように、何をするでもなくのんびりと過ごす旅行もいいものです。

    今回はそんな夏の旅行のお供にぴったりな本を、作家でもあり『本屋B&B』のスタッフでもある木村綾子さんに「旅と本」についてお話を伺いました。

     

    いつも鞄に本を忍ばせて

    「仕事先に行くにしても、誰かと遊びに行くにしても、ゆっくり旅行に行くにしても、本は必ず鞄の中に忍ばせていきますが、その本を必ずしも読むとは限りません。出先で突発的に買ってしまうことのほうが多いような気もします。『忍ばせて』という表現が、『旅と本』との関係を語るにはぴったりなんです。

    旅というのはトリップ感が強いので、予期せぬ事態や感情の芽生えが起きることは多々。それに応じて、寄り添ってくれる本のジャンルも変わります。なので、最近はそういった『裏切り』も楽しみのひとつだと思っています。旅先で読もうと思って持参した本がまったく見当違いで、荷物が重くなってしまった。そんな事態も痛快です」という木村さんに夏の旅行のシチュエーション別の読みたい本を教えてもらいました。参考になればと思います。

     

    • 木村綾子(きむら あやこ)
    • 1980年生まれ。作家、本屋B&Bスタッフ。「太宰治検定」企画運営。中央大学大学院にて太宰治を研究し、以降、文筆業をはじめとし、ブックディレクション、イベントプランニングなども幅広く行う。
    • Twitter:@kimura_ayako

     

    BOOK1:海辺やビーチリゾートで語り合うように読みたい本

    よしもとばなな『ゆめみるハワイ』

    ハワイで過ごしたばななさんの日常がエッセイと美しい写真で楽しめます。趣味であるフラダンスの話や、日本にいる時とはちょっと違って見える息子の姿や、友達との賑やかなレジャー、ふっとひとりに立ち返る時間…。

    海辺やビーチリゾートで、みんなでわいわい過ごすのもいいですが、ひとりで本を読む時間も素敵だと思います。そんな時にこの本を開けば、ばななさんと一緒に互いの思い出を語り合うような気分になれるはず。

    • ■ 書籍情報
    • 書籍名:ゆめみるハワイ
    • 著者:よしもとばなな
    • 出版社:世界文化社

     

     

    BOOK2:自然に囲まれた山で季節に思いを馳せて読みたい本

    大野雑草子『山の俳句歳時記』

    今、若い人たちの間で俳句がじわじわと注目を集めていますね。ピース又吉さんが『芸人と俳人』という本を出して話題になっていたり、必ず鞄に入れているのが『歳時記(※)』だと公言していたり…。私も歳時記を読むのが好きなんですが、季語を知ると、景色を見る目がぐっと変わり、生活が奥深いものになるんです。

    この本は、「山」にまつわる季語や有名な俳句を集めた歳時記です。ハイキングに携帯すれば、草花や空の雲に季節を感じられると思います。

    ※歳時記:俳句の季題を分類して、解説を加え、例句を載せた書物。

    • ■書籍情報
    • 書籍名:山の俳句歳時記
    • 著者:大野雑草子 (編)
    • 出版社:博友社

     

     

    BOOK3:町と町をつなぐ電車に揺られながら読みたい本

    東直子『いつか来た町』

    山形、松山、名古屋、下北沢、京都、大森、神保町、そしてパリまで25の町にまつわる随想集。

    東さんの五感を通して語られる町の風景は、訪ねたことのある場所でもまったく違うもののように思えたり、見知らぬ町も懐かしい場所のように感じさせてくれたりするんです。

    「町を好きになることは、恋をすることに似ている」と語られるように、この本を持って町と町とをつなぐ電車の旅に出かければ、恋愛に似た時間を過ごせると思います。

     

     

    BOOK4:里帰りで日々の生活に感謝しながら読みたい本

    日野明子『台所用品を一生ものにする手入れ術』(実用書)

    漆器や竹かご、鉄のフライパン、包丁、焼き締めの器…。作家や職人の手仕事による台所道具を永く使い込むための、素材の特性に合わせた手入れのポイントを、人気の作り手25人に取材し、写真と文章で紹介しています。

    誰の実家にも、その家の暮らしを長い間支えてくれている台所用品があるはず。里帰りのゆったりとした時間、この本を頼りに、家族と一緒に台所用品のお手入れをしてみれば、食器を通していつもとは違った会話ができるかもしれません。

     

     

    BOOK5:日本の町並みがあるところで読みたい本

    後藤治、二村悟『食と建築土木』

    食べものの生産や加工のために用いられる建築土木。この本には、丸干し大根の櫓(やぐら)や、つるし柿、切り干し芋、わさび田、天草干し、砂防などなど、農山漁村の23の建築土木が、美しい写真と、なぜ現在の形になったのかという解説ともに紹介されています。

    都会に住む人にとっては、日本の町並みに残る建築土木は「なごやか」「懐かしい」ほどの感情しか抱かないかもしれませんが、この本を持ってその町並みを歩いてみれば、食べものをつくる建築土木(しかけ)から、日本の「食」と「文化」を学べると思います。

     

     

    BOOK6:海外旅行でシーンに合わせて読みたい本

    青山 南・編 長崎訓子・画『旅するアメリカ文学 名作216』

    メルヴィル『白鯨』、ミラー『北回帰線』、ケルアック『オン・ザ・ロード』、シェパード『モーテル・クロニクルズ』、チャトウィン『パタゴニア』など、18世紀から現代文学の最前線まで、「旅」というキーワードをもとに126作品を厳選し、編者の好きな一節とともに紹介しています。

    音楽で例えると「自分ベストアルバム」のような感じ!?旅行中、音楽を聞きながら過ごすのもいいですが、シーンに合わせて126作品の中から、ぴったりの作品をチョイスして読むのも素敵だと思います。

    • ■ 書籍情報
    • 書籍名:旅するアメリカ文学 名作126
    • 著者:青山 南
    • 出版社:アクセス・パブリッシング

     

     

    BOOK7:パリのおしゃれカフェの読みたい本

    茂田井武『トン・パリ』

    童画家である茂田井茂が、若い頃に一文無しで渡ったパリで描き遺した画集です。あたたかくてやさしい色調の水彩や色鉛筆でほのぼのと描かれた当時のパリの生活風景と、そっと添えられている日本語のメモは、まるで彼の日記のよう。パリの地でそっと開けば、時間を繋いでふたつのパリの景色をみせてくれるはず。

    • ■ 書籍情報
    • 書籍名:ton paris
    • 著者:茂田井武 (画)
    • 出版社:講談社

     

     

    「本を読むという行為は、自分の中にある感情の『確認作業』と『発見作業』だと思っています。誰にも言えなかった感情を共有することができたり、名もない感情に言葉を与えてくれたりする。

    また、素敵な人と出会って、その人ともっと深く知り合いたいと思った時にも、『本』という存在をありがたく感じます。相手の好きな作家や作品を、その人と会えない時間に読むことで、違う時間を過ごしていながら大切な感情を共有できているような喜びを感じられる。本を読むということと、人と出会うということは同一線上にある行為なのです」という木村さん。この言葉は旅にも通じるものがあるのではないでしょうか。旅と本はどこか親しい存在なのかもしれませんね。

    鞄に本を忍ばせて、旅に出てみてはいかがですか?本(物語)があなたの旅にそっと寄り添い、発見や気づきをくれるかもしれませんよ。

     

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