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    トマトの旬は夏じゃない!?八百屋さんに聞く、夏の野菜講座

    梅雨も終盤、お店にも夏の野菜が出そろってきました。せっかく食べるならよりおいしくいただきたいですよね。

    夏だけの味覚を存分に楽しむためのコツを、神楽坂にある八百屋さん『瑞花(すいか)』店主・矢嶋文子さんに教えていただきました。

     

    夏野菜は枝にぶらさがっている&種まで食べられるもの!

    夏野菜の代名詞ともいえるトマトですが、本当の旬は夏ではないらしい…?私たちの知らない夏野菜もありそうなので、改めて聞いてみました。

    水なす

    「『旬=1番おいしい時期』という意味で言うと、夏が旬の野菜はキュウリ、なす、ピーマン、パプリカ、ズッキーニ、おくら、モロヘイヤ、ゴーヤ、とうもろこし、枝豆、みょうがなどですね。『枝にぶらさがっている、種まで食べられるもの』と覚えるといいですよ。」

    角オクラ

    なるほど!確かにどれも「枝にぶらさがっている、種まで食べられるもの」ばかり。これなら覚えやすいですね。

    ちなみにトマトも夏の野菜ではあるそう。ただ高温多湿な気候に弱いので国産のものが一番おいしくなるのは春。「夏に食べるなら、梅雨がなくドライな気候の北海道産のものがおすすめです」とのこと。

     

    おいしさ長持ち、野菜がよろこぶ正しい保存方法

    せっかく買った野菜を使い切れずにダメにしてしまった経験、誰にでもあるはず。でも、買ってきてすぐのひと手間で、足のはやい葉もの野菜もぐんと長持ちします。意外と知らない野菜の保存法も教えてもらいました。

    ズッキーニ。緑の方が若干苦味があるが、極端な味の違いはないそう

    【野菜の保存法】

    ・夏野菜は寒さに弱いので、可能であれば冷暗所がベスト。マンションなどで熱い場合には、野菜室に保存。

    ・冷風が直接当たると傷みやすいので、新聞紙にくるんで保存

    ・生鮮食品なので、3日以内に食べきれる量を買う

    ・3日以上食べない場合は、干し野菜にしたり、塩麹漬けやピクルスにしておくと◎

    ・小松菜、ほうれん草などの葉ものは、一度ざっと水に通し、霧吹きなどで軽く湿らせた新聞紙で包み、さらにビニール袋に入れて冷蔵庫で保存

     

    産地よりお店をチェック!おいしい野菜の見分け方

    今はスーパーなどでも産地が細かく表示されていますよね。おいしい野菜選びはやはり産地が重要?と聞いてみると、矢嶋さんからは「あまり関係ないかも」と、意外な答えが。

    「同じ地域で穫れた野菜でも、育て方は農家さんによってさまざま。かと言って、育て方の違いや品質を、野菜の見た目だけで判断するのは一般の人には困難です。その野菜がどうやって育てられたかを把握していて、それをお客さんにきちんと伝えてくれる信頼できるお店を見つけるのが一番の近道だと思います。

    また、日本は縦長なので地域によって旬の野菜ができる時期にズレがあります。なので、意識するとしたら自分の近所でできたものを食べるのがいいかもしれませんね。旬のものは身体が求めている野菜でもあるので、なるべく住んでいる場所の近くでできた野菜を摂る方が身体にはいいと思います。」

    沖縄の夏野菜。関東産のものより一足早く店頭に並んでいました。

     

    おいしくて身体にやさしい夏野菜の食べ方&工夫あれこれ

    野菜をたくさん食べたい!と思った時、なんとなくサラダばかり作っていませんか?ですが、矢嶋さんいわく「野菜は絶対火を通した方がいい!」そう。

    「暑い日にたくさん汗をかいて、みずみずしいものが食べたい時などは生野菜もいいけれど、エアコンの効いた部屋にずっといて身体が冷えている時などはおすすめしません。生野菜は消化に負担がかかるし、特に夏野菜は水分が多いので余計に身体を冷やしてしまいます。火を通すことで消化しやすくなるし、水分が抜け、味が濃くなっておいしくなりますよ。なすなどは調理前に、切ったものを2時間ほど天日干しにすると水分が抜け、味が濃くなるのでおすすめです。」

    生野菜の方が身体によさそうと思っていたけれど、どうやら違うよう。さらに、矢嶋さんおすすめ調理法を教えてもらいました。

    「だし」作ってみました。ごはんや豆腐にかけてもおいしいので、夏の定番メニューになりそう!

    「一番手軽なのは山形の郷土料理の『だし』。刻んで、醤油で味つけするだけ!夏野菜は油と相性がいいので炒め物もいいですね。おいしいだけでなく、汗で失いがちなミネラルと塩分を効率的に摂れます。あとは揚げびたしもおすすめ。夏に揚げ物は少し大変だけど、めんつゆなどに浸けておけば2日くらい持ちますし、冷たくしてもおいしいのでたくさん作って常備菜にするといいですね。『だし』も、作ってから2日目くらいが味がなじんでおいしくなります。

    みんな一回限り、その日限りの料理ばかり作りがちだけど、それだと毎日続けるのが大変でしょ?日持ちのする1〜2品を常に冷蔵庫にストックしておくと、料理がとてもラクになりますよ。」

    「芽吹き野菜特有の苦みが春先の不調を和らげてくれるように、季節ごとに身体が欲するものは、ちょうどその時に旬を迎えるものから摂れるようになっているんです。だから『バランスよく食べなさい』とよく言うけれど、私としては『その時の旬のものばかり』でもいいと思っています。

    旬のものと言っても、ひとつの季節に旬の野菜はいくつもありますし、どの野菜も旬はだいたい1〜2カ月くらいで過ぎてしまうので、どれだけ追いかけたとしても『○○だけ』ということにはなりませんからね。『旬』を大切にすることで、だんだんと身体が整っていくのを感じられるはずですよ。」

    矢嶋さんのお話の中でとくに印象的だった言葉です。旬をいただくということはおいしさ以上に意味があることなのだと分かります。おいしいだけじゃなく、身体にも優しい旬の野菜をたくさん食べて、豊かな食卓を目指してみませんか。

     

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