ワインに対して、難しいイメージを持っている人も少なくないのでは?いろいろな用語やルールがあり、種類も産地も多くて何が何だか分からない…と言った理由があるかと思います。
冷えた白ワインがおいしい季節がやってくる前に、ワインをもっと楽しむ方法を知りたい!ということで、ワインの楽しみ方を教えてもらいました。
今回お話を伺ったのは、中目黒から徒歩5分ほどの所にある『THE WINE STORE』のオーナー横川さん。自然派ワインに特化した品揃えで、フランスワインを中心に大体400種類揃えているとのこと。店内はワインに最適な温度(約14℃)に保たれていて、お店自体が大きなワインセラーのような感じです。
ちなみにお家にセラーが無い場合は、新聞紙などにくるんで野菜室で保存するのが◎。
まずは、ワインの基本をいくつか教えていただきました。
ワインの味わいは様々な要素のバランスで決まる
ワインをオーダーする時にどう頼んだらいいかが、もうすでに分らないんですよね。産地やブドウ種など、いろいろ見るポイントはありそうなんですが、知らないことが多すぎて、つい何となく「重い軽い」でオーダーしてしまいます。実はあまり意味も分かっていないで使ってしまって…。
「ワインの味わいで特に『重い軽い』に関わる要素は、アルコール度数、渋み、酸味です。その要素のどれかが飛びぬけるのではなく、ある程度バランスがとれているものを人間はおいしいと感じるのです。そのひとつひとつの要素が強いもの同士でバランスをとっているものに関して『重い』、弱いものでバランスが取れているものに関して『軽い』と表現しているんです。
アルコール度数と渋みの感じ方は他の要素に影響されにくいので、判断しやすい要素かもしれませんね。アルコール度数が高く、渋みも強い飲み応えのあるものを『重い』、アルコール度数が低く、渋みも少ないグイグイ飲めるようなものを『軽い』と言ったりします。」
ワインとの出会いは一期一会
とは言え、自分好みのワインをお店の人に伝えるのって難しいもの。どうやってオーダーしたら伝わるのか、いつも悩んでしまいます。
「みなさんよくそのようにおっしゃるんです。実は、私もワインの味わいを言葉で表現するのは得意ではありません。もちろん好みのヒントを伝えることは大切ですが、ワインの味わいはひとつの方向から説明することが難しいので、言葉で伝えられると思わない方がいいと思っています。
ワインの種類は星の数ほどあって、お店にあるワインはその中のほんの一部ですよね。そこに並んでいるワインはすでにお店の人が選んでいるワインなので、好みの1本を見つける!と意気込まない方がいいのではと思います。むしろお店を選ぶところからワイン選びははじまっているようなものですから。」
知らないお店に行ったときなどは、お料理に合わせて選んでもらうなど、お店の人に任せてしまうのはありとのこと。
「ワインとの出会いは一期一会だと思います。ワインは個体差や状態、自分の体調、一緒に飲む人、食べるものでも味わいは変わるので、タイミングやフィーリングなど人との出会いに似ているのではないかと。なので、好みの1本を見つけるというより、その時その時のワインとの出会いを楽しんでみてください。
どうしても好みの味と出会いたいのであれば、好みが似ている友だちが気に入っているお店のワイン、好きなお店の店員さんがおすすめするワインなど、気に入ったもののつながりをたどっていくのもいいですよね。」
確かに「好みのワイン」を見つけようとすると、どうしても言葉で説明しようとしてしまうもの。その時々のワインの出会いを楽しめるようになれば、ワインの楽しみは広がりますね。
「そして、もし『好みのワイン』と出会えたら、同じ作り手のものを飲んでみたり、作り手が影響受けたワインを探してみたりと、つながりで新しいワインを探していくのも楽しみ方のひとつ。」とのこと。
食事とワインの色合いを合わせると好相性
ちなみにお料理と合わせたワインというと一般的には、赤ワインとお肉、白ワインとお魚の組み合わせが暗黙のルールのようになっていますよね。
「これには一理あります。先ほど味の要素のバランスについてお話をしましたが、ここで重要になってくるのも料理とワインのバランスです。
脂がしっかりのったお肉料理には、色合いが深く渋みも多いいわゆる『重い』ワイン、淡白なお魚料理には『軽め』の白ワインが合います。赤ワインの中でも、生肉のタルタルなどは『軽い』赤を合わせるなど、お料理の味の強さによって『重い』『軽い』も併せてバランスを取るとよいでしょう。
お料理とワインの色合いを合わせると全体のバランスが取れるとよく言われています。なので、お魚料理でもマグロや鰹などの赤身には赤ワインが合うんですよ。」
色を合わせるというのは、発見でした。これならお店でワインを買うときも、選びやすいですね。
角打ちで楽しむワインとの出会い
せっかくなので角打ちスペースで赤ワインと白ワインを1杯ずついただきました。たどたどしいオーダーでも横川さんが分かりやすく聞いてくださるのでご安心を。この「a-yuzuki!」という日本語らしきネーミングは、インポーター(輸入業者)の娘さんの名前だそう。こんな情報を聞けるのも角打ちの醍醐味。すっかりはまりそうです。
「好みのワイン」ではなく、「ワインとの出会い」という楽しみ方を教えてもらった後だったこともあり、今まで飲んだことのない味わいに感動!こういう味が自分は好きだったのかと、改めて知ることになりました。
ちなみに角打ちとは酒屋で立ち飲みすること。由来は酒屋さんの店内で日本酒を四角い升の角に口をつけて飲むという所から来ているそう。こちらのお店では、購入したワインをプラス500円で抜栓してくれその場で飲むことができるんです。ワインを購入しなくても横川さんセレクトの試飲ワインを30ml、60mlで楽しむこともできます。
そしてこれからの季節におすすめの1本を横川さんに選んで頂きました。軽やかで旨味たっぷりの白のスパークリングです。ピクニックやアペロのお供にいかがですか?
ワイン選びに失敗はない
「失敗しないワイン選びとよく聞かれるんですが、信頼できるレストランや相性の良い酒屋を見つけることさえできれば、ワイン選びに失敗は存在しないのではないかと思うんです。『むしろこんな味のワインがあったのね!』という新しい出会いが楽しい。『こういうワインも好きだな』と思えるワインと出会えれば、好きなワインが増えるわけですから。」というお話がとても印象的でした。
確かに星の数ほどのワインが存在し、原料のぶどうの味だけでなく、保管状況、更には飲む日の自分のコンディションや飲む相手、食べ物、と言った多数の条件が重なり合いで味が変わってくるワイン。もしかしたら「好きなワイン」を説明する言葉より、気の合う友だちや家族と他愛ない会話をしながら飲むといった、ワインを飲むシチュエーションの方が大事なのかもしれませんね。
ルールや用語に縛られず、新しいワインと出会うワクワクを楽しんでみてください。
- ■お店情報
- THE WINE STORE
- 住所:東京都目黒区中目黒3-5-2(地図)
- 電話:03-6451-2218
- 営業時間:[平日]15時~21時、[土日祝]13時~19時
- 定休日:不定休
■一緒に読みたい記事