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    麻生久美子さんの日々の暮らしと小さなしあわせ

    PARISmagが気になる方々へ会いに行き、「小さなしあわせ」のヒントを教えてもらうインタビュー企画。今回のゲストはドラマや映画、舞台などで活動され、2児の母でもある女優・麻生久美子さんです。

    2月10日(土)公開の映画『ぼくの名前はズッキーニ』の日本語吹替版で、主人公の友人・カミーユを演じた麻生さんに、映画の見どころや私生活での息抜き方法、子育てについてお話を伺ってきました。

    麻生 久美子(あそう くみこ)

    1978年生まれ。千葉県出身。1994年のデビュー後、1998年に映画『カンゾー先生』でヒロインを演じ、日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞、一躍注目を集める。以降、映画やドラマ、舞台など幅広く活動し、実力派女優として活躍中。主な出演作として、映画『インスタント沼』、『モテキ』、『おと・な・り』、ドラマ『時効警察』、『泣くな、はらちゃん』など。現在は2児の母として仕事と育児に奮闘する。

    映画『ぼくの名前はズッキーニ』でカミーユを演じて

    ―2月10日より公開の『ぼくの名前はズッキーニ』は、孤児院を舞台とした子どもたちの物語ですね。日本語吹替版でカミーユを演じてみて、いかがでしたか?

    麻生久美子さん(以下、敬称略):登場するのはみんな心に傷を持った子どもたち。役に入り込むために、カミーユの境遇や心境を想像してはみるものの、彼女が孤児院に来た経緯や家庭の事情が重すぎて…。複雑な境遇を持っているけれども、10歳の女の子というところで、子どもらしさを出せればいいなと思って演じました。できる限りカミーユの心に寄り添って演じるよう心がけました。

    カミーユ(左)とズッキーニ(右)

    ―孤児院という繊細な舞台設定ですが、作中に登場する「フォンテーヌ園」で暮らす子どもたちは生き生きと描かれていていましたね。

    麻生:そうなんです。そこが、この作品の見てほしいポイントのひとつでもあります。園内はきれいで清潔で、ひとりひとりのスペースもあって、子どもたちの笑い声が聞こえてくる…。これまでの孤児院というイメージを逆転させてくれる作品です。

    食事のシーンでお皿に乗っていたのは、なぜかポテトばかりでしたけど(笑)

    ―麻生さんの印象に残っているシーンはどこですか?

    麻生:明るく振舞ってきたカミーユが最後に見せた涙。私の大好きな場面です。彼女の人生や、これまでの感情がブワッと一気にこみ上げたような、見ている側の心に響くシーンでした。それから心優しいシモンも好きなキャラクターです。

    ―最初こそ、ボス気質で初めて孤児院にやってきたズッキーニをいじめたりしていましたが、心優しい男の子でしたね。

    麻生:そうそう。ラスト、孤児院の門のところでのシーンは切なくて、でもとても素敵なシーンです。

     

    想像力を豊かに。ストップモーション・アニメーションならではの魅力

    ―人形を使ったストップモーション・アニメーションということで、吹き替えは感情を表現しづらい面があったのでは?

    麻生:やはり他のナレーションの仕事とは違う難しさがありましたね。動くのは顔の部分的なパーツのみなので…。でも逆にそこがストップモーション・アニメの魅力でもあると思っています。大げさに表情を作るような顔の動きはなくても、視線の微妙な動きであったり、眉の動きであったり、その繊細な動きに含まれたキャラクターの心情を想像する自由さがあるんですよね。観る側の考える余地が生まれるというか。

    ―お子さんと一緒にこの映画を観たいですか?

    麻生:実は今朝、一緒に観たんですよ。こういういろんな状況の子どもがいるんだよっていうことを知ってほしくて。見終わったすぐ後に「どうだった?」と聞いたんですが、まだちゃんと感想はもらってないです。もう少し時間が立ったら自分の意見が言葉として出てくるかなと思っています。作中の子どもたちがはしゃいでいるシーンでは、子どもも一緒になってゲラゲラ笑っていました。

     

    子育てで大切にしていることと、日々のリフレッシュ方法

    ―2012年に第1子、2016年には第2子を出産されましたね。日々の子育てで大切にしていることはありますか?

    麻生:意識しているのは、子どもに対して、できるだけ嘘はつかないこと。時には必要な嘘もあるんですけどね。娘は疑問に思ったことは、その都度質問してくるんですが、私はいつもありのままを話しています。悩みつつも、きちんと理解してくれているようですね。

    それからできるだけスキンシップや言葉での愛情表現も大切にしています。いかに私が子どもたちを愛しているかは伝わっているんじゃないかな。

    ―今年で40歳というひとつの節目の年ですね。今後の目標や豊富はありますか?

    麻生:そうですね。でも40歳になったから何をしたいとか、決まった目標はないですが…やっぱり今は子育てかな。子どもの小さい頃って今しか見ることができないので、今は育児を頑張って、それでもう少し経って子どもたちが手を離れてくる年齢になったら、自分の時間を大切にしたいですね。…というか自分の時間が欲しいです(笑)。

    ―お子さん2人の育児と仕事の両立は大変ですね。

     

    麻生:いろんな人に頼らなければ両立は難しいです。幸運にも周りに力を貸してくれる人がいるので、みんなに頼って子育てしています。

    でも、隙間時間を使って、ちょこちょこと気分転換はしています。もともと漫画が大好きなので漫画を読むとか、お気に入りの入浴剤を使うとか…。頻繁にはできていませんが、陶芸も趣味として続けています。陶芸教室で普段使いのお皿なんかを作ったりしています。

    ―食器やインテリアにもこだわりが?

    麻生:強いこだわりはないですが、シンプルなものが好きなんですよね。パリの陶器メーカー「アスティエ・ド・ヴィラット」もかわいくて大好き。フランスのパリに旅行に行ったときは、たくさん買って大事に抱きかかえて帰ってきました。

    ―今後、新たにチャレンジしてみたいことはありますか?

    麻生:やってみたいのは、レザークラフトですね。キャンプが好きで、キャンプ道具なんかを革小物で作れたらいいな。今は必要に駆られて子どものお弁当袋とか雑巾を縫ったりしていますけど、どうせだったら作る時間も楽しめるように、手芸の腕も上達させたいですね。

    ―最後に麻生さんにとっての「小さなしあわせ」を教えてください。

    麻生:子ども2人が仲良く遊んでいるときは、幸せで満たされますね。それから最近のヒットは薬湯の入浴剤。草の香りがする個性的なやつなんですけど、私が「すごくいい香り」と言って使っているので、子どもも素直に「いいにおい!」と同調してくれて(笑)。喜んで一緒に入ってくれています。

     

    麻生さん、素敵なお話をどうもありがとうございました!

     

    • ■映画情報
    • タイトル:ぼくの名前はズッキーニ
    • あらすじ:いつもひとりで絵を描いて遊んでいる少年・イカールは母親と二人暮らし。ある日、母親は不慮の事故に遭い、帰らぬ人になってしまう。警察官のレイモンはイカールを不憫に思いながら、孤児院「フォンテーヌ園」に連れて行く。母親がつけた“ズッキーニ”という愛称を大切にしているイカールは、そこで自分と同じ複雑な事情を抱えながら園生活を送っている5人の子どもたちと出会い、打ち解けていく。その後、新しい入園者としてやってきたカミーユは、やがて園を照らす太陽のような存在になっていく。「ここに来て、あなたに会えてよかった」とカミーユはイカールに話すのだが、ある日、扶養手当欲しさにカミーユを引き取ると言い出した叔母が園に乗り込んでくる。「絶対に行かせないよ」と誓うイカール。子どもたちはある作戦を立てるのだがーー。
    • 日本語吹替キャスト
    • ズッキーニ:峯田和伸
    • カミーユ:麻生久美子
    • レイモン:リリー・フランキー
    • 監督:クロード・バラス
    • 脚本:セリーヌ・シアマ
    • 配給:ビターズ・エンド ミラクルヴォイス
    • 宣伝:ミラクルヴォイス
    • スイス・フランス/2016年/カラー/66分/ヴィスタサイズ/5.1ch/フランス語/原題:Ma vie de courgette

     

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