PARISmagが気になる方々へ会いに行き、「小さなしあわせ」のヒントを教えてもらうインタビュー企画。今回のゲストは9月29日公開予定の映画『パーフェクト・レボリューション』に出演する清野菜名さんです。
自分のしあわせを求めて突き進む女の子・ミツを演じた清野さん。映画についてはもちろん、忙しい日々の息抜きやしあわせについてもお話を伺ってきました。
清野菜名(せいの なな)
1994年生まれ、愛知県出身。2007年に雑誌でモデルデビュー。モデルとして活躍後、女優として活動をはじめる。14年に映画『TOKYO TRIBE』(園子温監督)でヒロインに抜擢。ヨコハマ映画祭2015最優秀新人賞、ジャパンアクションアワード2015優秀女優賞を受賞。押井守監督作『東京無国籍少女』で映画初主演を果たし、ジャパンアクションアワード2016最優秀女優賞を受賞。2017年は舞台、劇団☆新感線「髑髏城の七人」Season花 、映画『暗黒女子』、ドラマ「やすらぎの郷」、10月からはドラマ「トットちゃん!」に主演、黒柳徹子役で出演する。
演じるんじゃなくて、自然とミツになった
—今回の映画はリリー・フランキーさん演じる身体障害者の男性・クマと、清野菜々さん演じる精神に障害を抱える女性・ミツの恋愛を描いた物語ですが、自分の幸せをつかもうとまっすぐに進むミツの姿が印象的でした。実際、演じてみていかがでしたか?
清野菜名さん(以下、敬称略):障害を抱える人を演じるのははじめての経験だったので、正直「どうするのが正解か分からないな…」と思っていたんです。でも、撮影が始まったら不思議と、演じるというより自然と自分がミツになっていました。
実は、私はいつもセリフ覚えが本当に悪くて…。でも、今回は台本を読んだ時点でミツの表情とかパワーとかをすごく感じられたので動きがイメージしやすくて、長いセリフも自分の言葉のように入ってくる感じがあったんです。思った通りにやってみよう!という気持ちで演じましたね。
—清野さんご自身とミツとの共通点はありましたか。
清野:ミツは感情が0か100かですごく振り切れているんですけど、100のときのミツは自分に似ていますね(笑)。私も普段テンションが高いので、そのはっちゃけている感じは結構似ているなあと思いました。
—あと、ピンクの髪色も印象的でした。
清野:台本を読んだ時に、ミツは普通の髪色じゃないほうがいいなと思って、ミツらしい髪の色にしたいって思ったんです。
監督に「黒はちょっと違う気がします。でも金髪とかそういう派手な感じじゃなくて…」と相談したら、最終的に「ピンクはどうだろう?」という話になって、みんなで「いいね!」となりました。
ピンクって、普段なかなかできない髪色ですよね。だからかなり楽しかったです(笑)。髪色もミツというキャラクターをうまく連想させてくれたというか、清野菜名からミツになる切り替えができるポイントだったと思います。
でも、映画の撮影が終わった翌日から、別の撮影が始まったんですよ。だからピンク色の髪で私生活を楽しむっていうのができなかったのが、ちょっと心残りです(笑)。
こんなに自分の感情をブレーキかけずに出したのは、はじめて
—そもそも清野さんが『パーフェクト・レボリューション』に出演したいと思ったきっかけを教えてもらえますか。
清野:最初、台本を読んだ時にすごくおもしろくて、すぐに「やりたい!」と思いました。あと、監督の松本准平さんから直接お手紙をいただいたことも大きいかもしれません。手紙の中で「ミツをぜひ清野菜名さんに演じてほしい」って書いてくれて…。
監督から手紙をいただくのははじめての経験でしたし、今、手紙ってなかなか書かないじゃないですか。メールだと文章を間違えてもすぐ書き直せるけど、手紙だとそういうわけにもいかないし…。それだけ一生懸命考えて書いてくれたんだなってことが伝わって、すごくうれしかったです。
—映画に出てくるミツとクマにはさまざまな問題が降りかかりますが、その度に壁を乗り越えようとする姿が印象的です。清野さんにとって壁と感じていることはありますか?
清野:そうですね…。私、セリフを覚えるのが本当に苦手なので、毎日毎日、繰り返しセリフを入れ続けてやっと覚えているんですけど、それでもいざ演じた時にきちんとセリフが出てくるかっていう不安が常にありますね。セリフ覚えが私の壁です。
お芝居で一番大事なのは感情で動くことだと思っているんですけど、たとえ感情がうまく表現できても感情があふれてセリフを忘れちゃダメですよね。頭で考えなくてもセリフを喋れるように、完璧に覚えて自信をつけるのが目標です。
—今回の撮影はいかがでしたか?
清野:今回は今までの作品とは違いましたね。こんなに自分の感情をブレーキかけずに出したのは、はじめてなんです。好きに演じていいという現場の雰囲気に助けられたことに加え、自分の中で「ミツをこうやって演じたい」っていうイメージが強くできていたから、それをバンッて表に出して演じるだけでした。
そういえばリリーさんに「ミツよりミツだよね」って言われたんです。それがほめ言葉なのかどうか、ちょっとわからなかったんですけど(笑)。リリーさんからは、「そうじゃないと、この役はできないと思うよ」とも言われて、すごくうれしかったですね。
—リリーさんとは初共演でしたが、現場でお話などされましたか?
清野:普段は私結構な人見知りなんですけど、それでも映画のミツとクマの関係を考えて、がんばって話しかけていたら、自然と普通に会話ができる間柄になっていました。演技のことはもちろん、他愛もない会話をしていましたね。仲が良い人との会話って、たいていあとから思い出しても覚えていないですよね、そんなゆるい会話です(笑)。
休日の楽しみはお酒と音楽!
—1ヶ月という短い期間で撮影を行ったんですよね。かなりハードスケジュールだったようですが、息抜きなどについてお伺いしたいです。
清野:おっしゃるとおり今回の撮影は本当にハードで…。たとえば早朝5時から深夜2時頃まで撮影して、翌朝7時に現場入りというスケジュールもあったくらい。だからたまにいただけるオフや空き時間に飲みに行くことが、撮影中の息抜きだったかもしれません。お酒、好きなんです。一番好きなのは日本酒の熱燗ですね。撮影の合間には、ホテルのロビーでリリーさんと飲んだりもしましたね。
—映画の中で、ミツはミツなりのしあわせを模索していたと思いますが、清野さんが日々感じている小さなしあわせって何でしょう。
清野:私、歌手のジャスティン・ビーバーがすごく好きで。ジャスティンのライブに行くこととか、新曲情報を入手することが一番しあわせです(笑)。
—ジャスティン・ビーバー!ちょっと意外でした(笑)
清野:そうですか?(笑)。音楽が大好きなんです。特にギターがすごく好きなので、休日は友達を家に呼んで一緒にギターを弾いたり、簡単なものであれば教えてあげたりしています。あと、私がギターを弾いて友達が歌ったりとか。そうそう去年、ドラムも習いはじめました。忙しくてなかなか習いに行けていないんですけど…。
音楽は本当に好きですね。今、撮影している作品でオルガンを弾くシーンがあって、楽しかったので弾けるようになりたいなって思いました。でも、たとえばCDを出すというような歌手としての音楽活動ではなく、役として音楽にたずさわることができたら一番いいなって思っています。たとえば去年公開された映画『TOO YOUNG TO DIE!』みたいなかたちで音楽が好きなことを活かせるといいですよね。
—ギターにドラム、オルガンまで…!新しいことを覚えるのがお好きなんですね。
清野:新しいことを覚えていくことは楽しいです。今、私がやっている女優というお仕事って正解がないじゃないですか。演技がうまくなった実感も、なかなか分かりにくかったりするんです。でも楽器というのは練習すればするほどうまくなるのが実感できるから、そういう達成感を味わえて楽しいのかもしれません。
—今後、女優のお仕事で挑戦してみたいことはありますか?
清野:鬼気せまる役柄をやってみたいです。例えばバイオハザードとか…逃げまわったり、走り回ったりする役柄をやりたいなって思います。強い者としてだれかと戦うよりは、何かに追われる役柄を演じてみたいんです(笑)、
映画のミツもですけど、私、挑戦をやめない人が好きなんです。もし周りから良い目で見られていなくても、自分の思っていることをちゃんとやり通すというか、諦めずに挑戦し続ける人が好きです。
だから、私自身も女優としてもプライベートでもいろいろなことに興味を持って、前に進んでいきたいなって思っています。
清野菜名さん、素敵なお話どうもありがとうございました!
- ■映画情報
- タイトル:パーフェクト・レボリューション
- あらすじ:
- 泣いてもいい、笑われてもいい。障害なんて二人で超える。革命は起こせる。
- クマは幼少期に脳性麻痺を患い、手足を思うように動かせず車椅子生活をしている。ただし彼はセックスが大好き。身体障害者にとっての性への理解を訴えるために活動している。そんな彼が、ある日、美少女・ミツと出会う。障害者であるにもかかわらず生き生きと生きているクマに、ミツは「あなたとわたしみたいなのが幸せになれたら、それってすごいことだと思わない?」「それを世界に証明するの!」。どんな不可能も可能にする、ハチャメチャだけど純粋な、クマとミツの“最強のふたり”のラブストーリーがいま始まる!
- –
- 出演:リリー・フランキー 清野菜名 小池栄子 岡山天音 余 貴美子
- 監督・脚本:松本准平(『最後の命』)
- 企画・原案:熊篠慶彦(著書「たった5センチのハードル」)
- 劇中歌:銀杏BOYZ「BABY BABY」(UK. PROJECT)
- エンディングテーマ:チーナ「世界が全部嘘だとしても」(SOPHORI FIELD COMPANY)
- 制作・配給:東北新社 宣伝協力:ミラクルヴォイス
- 2017年/日本/カラー/5.1ch/ビスタ/117分/PG-12
- ©2017「パーフェクト・レボリューション」製作委員会
■一緒に読みたい記事