陽が落ちるのが早い冬こそ、昼間の時間をめいっぱい楽しみたいもの。これまでもフランスで親しまれているアペロを何度か紹介してきましたが、明るい時間からお酒を飲めるのは至福のひとときだったりします。
三軒茶屋駅から徒歩10分ほどのところにある人気ビストロ『uguisu(ウグイス)』では、最近、日曜日限定でオープンサンドとワインを楽しめるアペロタイムがあるという情報を聞きつけ、早速行ってきました!
「昼のウグイス」を楽しめるアペロタイム
『ウグイス』はもともと、西荻窪にあるビストロ『organ(オルガン)』のオーナーシェフ紺野真さんが始めたお店。現在は、奥様である順子さんが店主をつとめています。
夜だけオープンするというのがこれまでの『ウグイス』でしたが、2016年の5月からは日曜日限定で昼の13時からの営業をスタートしました。ワインを扱っているお店ということもあり、ランチよりも気軽に昼飲みを楽しめる時間にしようか、という話になりアペロタイムとなったのだそう。
「昼のウグイスは、家族で来ていただけるような場所にしたいなと思ったんです。夜の営業時は、お子様連れはご遠慮していただいているのですが、友達や常連さんにも子どもができたこともあり、家族でも楽しんでもらえる場所が作りたくて。
お料理をどうしようかって考えたときに、デンマークへ行ってきた主人から『スモーブローはどう?』と教えてもらったんです」と順子さん。
デンマークの国民食、スモーブローって!?
聞きなれない言葉のスモーブロー。一体どんな食事なのか、順子さんに教えてもらいました。
「スモーブローはデンマークではとてもポピュラーな食事なんだそうです。『Smørrebrød』と書いて『バター(smør)を塗ったパン(brød)』という意味。オープンサンドのようなものですね。薄くスライスしたライ麦パンにバターを塗り、上に乗せる食材は自由ですが、サラダっぽいものが多いですね。北欧は寒い地方なので、小麦粉より育ちやすいライ麦を使ったパンが主流みたいです」。
お店で焼いているという自家製のライ麦パンは、普通の食パンと比べると2まわりほど小さいサイズです。でもこの大きさで、20〜30食分のスモーブローができるのだとか!その秘密をシェフの松本さんが教えてくれました。
「ライ麦はグルテンがないので、発酵しても膨らまないんです。うちでは少し小麦粉も入れているんですが、焼く前もこの大きさなんです。だいたい1キロの粉を使っているので、この大きさの中にぎゅっと粉が詰まっているんですよ。だから、薄くスライスして使うんですが、それでもすごくお腹が膨れます。小麦で作った食パンの何枚分にも相当するんです」。
毎月変わるスモーブローのレシピは、シェフの松本さんが考案。真さんがデンマークで食べてきたスモーブローからブレぬようにしながらも、そこに日本の季節の野菜や食材を使うことでアレンジを加えているのだそうです。
「そのうち、乗せる具材に合わせてライ麦パンにナッツを入れたりといった挑戦もしていきたいです」と教えてくれました。
スモーブローと一緒に!楽しい昼下がりのアペロタイム
日曜の13時から始まるアペロタイムでは、月替わりのスモーブロー2種にアラカルトメニュー、自然派ワインが楽しめます。アペロタイムのワインは、スパークリングを2種類、赤と白を4〜5種類ずつほど用意しているそうです。
「『ウグイス』では、基本的にワインのメニューはないんです。その日にあるワインをグラスでお出ししていて、空いたら次のワインを開けたり、お客さんに乗せられて開けていったり(笑)。その時のグルーヴをすごく大切にしています」。
今回は、スモーブローと一緒に楽しむワインを順子さんに選んでもらいました。
アート作品のように美しくお皿に盛り付けられたスモーブロー。ブルーチーズはムース仕立てになっており、ビーツと無花果の甘さにチーズの塩気が絶妙にマッチします。フレッシュな無花果がとてもジューシーです。
こちらのスモーブローに合わせるのは赤のスパークリングワイン。
「赤のスパークリングはフルーティでちょっと甘みもありつつ素朴なニュアンスもあるため、パンにもビーツにもよく合うんです。ブルーチーズも甘みがあったほうが口の中で溶け合うので良いかなと思います」と順子さん。
ライ麦パンの薄さに驚き! 噛みしめるとほのかに甘みがあり、食材の味を引き立ててくれます。すごく薄いのに、ぎゅっと詰まっているから食べ応えも◎。ビストロ料理のひと皿でありながら、オープンサンドでもある。とっても贅沢なメニューです。
黄色いものは、白いカリフラワーをターメリックやクミンのスパイスでカリー風味にしたもの。ピンク色のものは、酢漬けにしたカリフラワーです。そして最後の仕上げに生の紫カリフラワーを散りばめています。生・焼き・酢漬けといろんなカリフラワーが楽しめ、また鮮やかな色合いで見た目にも楽しい1皿です。
ライ麦パンと食材の間に、飴色に炒めた玉ねぎがしいてあり、帆立と一緒に食べるとちょっと海老のような印象にも。先ほどのフルーティなスモーブローに比べ、こちらはよりおつまみっぽい具材ですが、こちらもライ麦パンと相性◎。同じパンとは思えないような違った一面を見せてくれます。
こちらのスモーブローには白ワインを。
「飲んだときは柑橘のすっきりとした口当たりなんですけど、徐々にフルーティで果実味もあって、ホタテの濃厚なまろやかさと口の中で同調していくという感じが良いかなと思って選ばせていただきました」と順子さんの言葉通り、絶妙なマリアージュを味わうことができます。
ワインに詳しい順子さんのアドバイスはとってもわかりやすく、ついいろいろと試したくなります。でも実は順子さんは専門的な勉強をしたわけではなく、お店で働くようになってからワインに詳しくなっていったのだそう。
「私よりも知識のある人はたくさんいますし、難しいうんちくは言えないですけど、逆にお客様に近い目線でお伝えできるのではないかなと思っています。ワインって普段から飲んでいないと、選びづらいと思うんです。だから、『こういう気分に合うもの』と気分をおっしゃっていただくのでもいいですし、『少し酸味があって』とか『甘すぎないもの』とか曖昧な言葉でもいいので投げていただければ、『これはどうですか?』と提案させていただきます。楽しく飲んでもらう、楽しい時間を過ごしてもらうということを大切にしています」。
ワインに迷った時は、順子さんに声をかけてみてくださいね。普段は出会わないようなワインの味と触れ合えるかもしれませんよ。
また、1月のスモーブローは、「プティ サレと豆いろいろスモーブロー」と「海老とカリフラワーのスモーブロー」の2種類だそうです。日曜日のお昼に、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか?
アラカルトメニューも充実!
アペロタイムでのお楽しみといえばやっぱりおつまみ。アラカルトのメニューも豊富で、「これもいいな」「あれもおいしそう…」と食欲がかき立てられます。
クルディテは、酢漬けの野菜の組み合わせを楽しめるサラダ。下の層から、クスクス、キャロットラペ、セロリのマヨネーズ和え、赤キャベツのマリネ、プチトマト・キュウリ・レンコンのマリネと野菜がたっぷり!少しずつ崩しながらいただくと、味つけや食感の異なる野菜が混ざり合い、いろいろな味わいに出会えます。このメニューは夜にもあるそうなのですが、量もちょうどよいので軽く1杯飲みたいときのお供としてもおすすめです。
こちらは、自家製の豚肉ソーセージ。実際にキッチンで腸に肉を詰めるのだそうですが、その作業はとっても力仕事なのだとか。そんな力作のソーセージは、お肉の食感がしっかりあって、添えてあるマッシュポテトとマスタードと一緒に食べると絶品です。つい、ワインが進んでしまいます。
日曜日のアペロタイムをはじめたことで、これまで以上に交流が広がったと話す順子さん。これからやってみたいこともたくさんあるそう。
「アペロタイムにフレッシュジュースを作ったり、パウンドケーキを焼いたり、パンの種類も増やしたり。やってみたいことはたくさんあります。日曜日の昼間って自由なので、気持ちのいいことやイベントとかもやっていきたいです。野望はたくさんあります(笑)」と語ってくれました。
お店をオープンして12年目を迎えた『ウグイス』、これからも新しい表情を見せてくれそうです。日曜日の午後だけに食べられる魅惑のオープンサンド、スモーブローと選りすぐりのワインで、ちょっと特別なアペロタイムを過ごしてみませんか?
- ■お店情報
- uguisu(ウグイス)
- 住所:東京都世田谷区下馬2-19-6(地図)
- TEL:050−8013−0708
- 営業時間:[火〜土]17:00〜24:00 、[日]13:00〜16:00/18:00〜23:00
- 定休日:月曜日・第4火曜日
※記事の内容は取材当時のものです。 最新の情報は、お店のHP、SNSなどをご確認ください。
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