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    フランスの個人書店の魅力とは?パリュスあや子さんに聞く「パリで本屋めぐりを楽しむコツ」

    フランス・パリを散策するなら、美術館めぐりやショッピングの合間に、書店にも立ち寄ってみてはいかがでしょうか。パリ市内には個性豊かな個人書店が多く、「フランスらしさ」を感じさせてくれます。

    今回は、2023年11月に『パリと本屋さん』を上梓したパリ郊外在住の小説家・パリュスあや子さんに、フランスの個人書店の魅力と、本屋めぐりの楽しみ方をお聞きしました。

     

    パリュスあや子

    神奈川県生まれ。広告代理店勤務を経て、東京藝術大学大学院映像研究科・映画専攻脚本領域に進学。2019年に出版した『隣人X』で第十四回小説現代長編新人賞を受賞し、2023年に映画化。その他の著書に『燃える息』などがある。2018年よりフランスに在住。

     

    書店ごとの特色が色濃く出ているから、「自分好み」を見つけやすい

    ―新著『パリと本屋さん』が発行された経緯を教えてください。

    パリュスさん:ライター時代に連載していた「フランスの漫画事情」の記事がきっかけとなり、今回の企画につながりました。

    「パリの本屋さんについて自由に書いてほしい」という依頼を受けて、私の好きな本屋さんとの出合いなどをエッセイ風に書き始めたのですが、原稿がまとまった段階で、版元の担当さんに「こういうふうになると思わなかった」と言われて(笑)。

    どうやら純粋に「本屋の紹介」になると思っていたらしく、フランスの時事問題や日常の話が盛り込まれるとは思っていなかったそうです。でも、パリでの日常を淡々と綴った内容が「新鮮でおもしろい」と、エッセイの体裁のまま出版してもらえました。

    ―パリの個人書店の魅力をどのように感じていますか?

    パリュスさん:店主が“自分の店の強み”をしっかり把握していて、店のこだわりやコンセプトが、あらゆる部分から感じられることが魅力です。

    「こんな本がほしい」と店主さんに相談すると、すぐに「これはどう?」とオススメの本を提案してくれて、「書店の棚の隅々まで把握しているんだな」と感じます。同時に「できるだけお客さんに満足してもらいたい」という店主の気持ちも伝わってきますね。

    ―書店ごとの特色はどのようなところから感じ取れますか?

    パリュスさん:書店ごとの特色は、選書はもちろんショーウィンドウからも感じ取ることができると思います。例えば、書籍でも紹介している書店『PIPPA』では、「俳句」や「短歌」と書かれた本が陳列されていて、日本文化に通じていることが一目でわかります。

    ある書店では、日本の漫画家のサインが飾ってあり、漫画の取り揃えに自信があることが伝わってきました。こんなふうに、書店ごとの強みやコンセプトを感じながら、自分の好みに合うお店を探すのも楽しみ方の1つだと思います。

    ―書籍で紹介されている書店の中で、特に印象深いお店はどこですか?私は食の専門書店『Librairie Gourmande』が気になりました。

    パリュスさん:とてもおもしろい書店ですよね。選書を見て、一口に「食」といっても「こんな切り口もあるんだ」と驚かされました。個人的には高齢のおばあちゃんが1人で営んでいる、サン=ルイ島の旅行専門書店『ULYSSE』でしょうか。

    「探している本がある人しか入店できない」というスタイルが、とてもフランスらしいなと感じました。仕事に誇りとこだわりを持っていて、書店=生き方という雰囲気がカッコよかったですね。

    ―フランスと日本の書店で、大きく異なる部分はありますか?

    パリュスさん:書店に限らずですが、お店に入ったときはお客さんから「Bonjour(ボンジュール)」、出るときは「Au revoir(オールヴォワール)」と挨拶をすることです。

    なにかを探している風であれば、店主から声をかけてくることもありますが、大抵は「なにかあればいつでも声をかけてね」という姿勢で放っておいてくれます。この、構いすぎない距離感もフランスならではだなと感じています。

    「本を贈り合う文化」と「地元の本屋を応援するマインド」が根付いている

    ―書籍では、ご家族に本を贈るエピソードが書かれていました。フランスでは本をプレゼントする文化が根付いているのでしょうか?

    パリュスさん:本を贈ることは、フランスではとてもスタンダードです。特にクリスマスが近づくと、書店ではラッピング専用の台が設けられ、購入した本を包む人の姿が多く見られます。フランスでは装丁が美しい大型の本が多く、本を贈りたくなる気持ちを一層高めてくれるように感じています。

    私は、文庫本サイズの本をお菓子とセットにして友人に贈ることが多いのですが、本を贈る関係って素敵だなと感じています。自分の好みや趣味を相手に知ってもらうと同時に、「あなたならきっと気に入るはず」と、贈る相手のことを知っていないと選べないので、親密さを感じさせてくれますよね。

    ―オンラインで本を注文するよりも、書店で買う人が多いですか?

    パリュスさん:「フランスで売れる本の4冊に1冊はAmazonの注文」と言われているので、オンラインで注文する人も多いと思います。ただ、「同じ本を買うなら、地元の本屋で買おう」という、個人書店を応援する買い支えるマインドも強く残っているように感じています。

    バンド・デシネと絵本がオススメ!フランスのエスプリを感じられる1冊を探そう

    ―フランス語がわからなくても、楽しめる本のジャンルはありますか?

    パリュスさん:フランスの漫画「バンド・デシネ」は、子ども向けから大人向けまで幅広いジャンルがあり、ハードカバーの作品も多いのでプレゼントやお土産にオススメです。日本の漫画とは異なる絵柄や色使いを、眺めているだけでも楽しめると思います。

    子ども向けの絵本も、絵で訴えかけてくる作品が多く、大人でも十分に楽しめると思います。フランス語のシャンソンが流れる絵本などもあり、お土産にしてもよろこばれるはず。パリの本屋さんに行ったら、フランスのエスプリを感じられる1冊を探してみてくださいね。

    ―これからパリを訪れる方に、メッセージをお願いします。

    パリュスさん:気になる書店を見つけたら、構えすぎず、「Bonjour!」と扉を開けてみてください。個人書店は「敷居が高い」と感じるかもしれませんが、きっとにこやかに迎えてくれるはずです。

    小さな書店がコミュニティの場になっていることもあって、店主の人柄やちょっとしたインテリアなどから伝わる情報も多いです。「このお店は、こんな人たちに親しまれているのかな」と想像しながら、旅先での書店の出会いを楽しんでくださいね。

     

    • ■書籍情報
    • パリと本屋さん』(エイチアンドエスカンパニー)
    • パリュスあや子著

     

     

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