つい先日、「EUへの日本からの渡航が、再び原則禁止されることに決定」というニュースが流れたばかりですよね。実際に制限をするかどうかは各国に委ねられるということですが、フランスは1月29日の夜カステックス首相の発表により原則的に入国も出国も厳しく制限されることに決定されました。
365日24時間、観光客で賑わうシャンゼリゼは静かな大通りになっています
制限がなかったときは「日本に帰ってから2週間自主隔離さえすれば、実は観光でフランスに行けていた」ということであり、「とっくに渡航制限が出てるのかと思っていた!」とびっくりされている方も多いかもしれません。「観光目的」で渡仏する人が実際にいたかどうかはさておき、案外行き来する必要がある人はいます。例えば娘が赤ちゃんを産むので手伝いに行くとか、結婚しているもののまだ片方のビザが取れていないため日仏間を行ったり来たりしているなど…。長期滞在ビザはないけれど家族の事情でほどぼそと移動していた人もいたわけです。しかし、今回の移動制限により特別な職種(航空機のサービスの従事者や国際機関に務める人、医療従事者など)の方をのぞいて、長期滞在ビザがない限りフランスには来られなくなってしまいました。
いつでも美しいシャンゼリゼ大通りにどっしりかまえる凱旋門。写真スポットの順番待ちも今はまったくありません
「観光のためにフランスへ」という希望はさらに遠いお話になってしまったのです…。
コロナに振り回された2020年。「年が明けたらきっと春ごろには落ち着いて、少し明るい兆しが見えるはず。観光客が戻ってくるはず」と話していましたが、フランスと日本がますます遠い国になってしまいました。
テントの下いっぱいに張り出されるテラス席もすべてしまわれていて、空いた席を探すのに苦労するあの喧騒を忘れてしまいそう
観光客のいないパリは賑やかさには欠けるものの、変わらず美しい街並みです。いつもは観光客でごった返すような場所も「街並みの美しさを改めて感じる」という意味ではいい機会をもらっているように感じますが、やはり寂しいものです…。カフェのテラス席がごった返し、人気ブランドや人気パティスリーに行列ができ、自撮り棒を持った人たちが観光名所をバックに写真を撮り、パリ土産を路上で売るムッシューたちに数メートルおきに声をかけられる…あのパリの姿はいつになったら戻ってくるのでしょうか。
客の代わりにクマたちがず〜っと席を占領しています。人間が座れるのは一体いつになるのでしょう
現在も「また今週末の発表で新たな厳しい措置が決まるかもしれない」「学校を閉鎖するかしないかは議論の真っ最中らしい」「ロックダウンの発表を前もってするとまた直前になってみんなが夜通しパーティーを計画するからギリギリまで発表をしない方針らしい」「マクロン大統領が演説で出てきてしまった場合は、より厳しい措置の発表になるから大統領が登場しないことを祈る」など、噂やニュースが流れてくるばかり。
超人気パティスリー『ヤン・クヴルー』や超人気B級グルメ『ファラフェル』屋が軒を連ねるマレ地区の賑やかな通りもこのとおり
今日はちょっとしんみりした話になってしまいましたが、これも今のパリの現実です。
PARISmagをご覧になっている方は、きっと「パリ好き」がとても多いと思います。とにかく1日も早くパリに観光客が戻ってくることを願って。それまではフランスを旅しているような気分を味わえるような記事をお届けしたいと思っている今日この頃です。
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