人気で予約が取れないレストランや絶対にチェックしたい話題のビストロなど、数え切れないほどのお店がパリのガイドブックで紹介されています。しかし、大きく取り上げられるのは、お店とそのシェフがほとんど。もちろんシェフはお店の顔となる方なので要チェックではあるのですが、実は、人気店のほとんどにはデザートを担当するパティシエが別にいることをご存知でしたか?デザートの写真は紹介されていても、パティシエが紹介される機会が少ないことが長年気になっていました。
個人的にはフレンチコースの最後に出てくるデザートがとても重要!というわけで今日はデザート担当にスポットを当てていきます。
『Les Enfants Rouges』のパティシエが作る、手の込んだデザートたち
私が定期的に通い続けているお気に入りのビストロ『Les Enfants Rouges(レ・ザンファン・ルージュ)』。オープン以来常にレベルの高いお料理なのはもちろんのこと、ここ数年はデザートがさらにおいしくなっています。
「毎回食べたいものを選ぶのが大変!フルーツ系のデザートの選択肢が多いのも魅力的。フルーツといえばカットフルーツの盛り合わせというシンプルなものも多いけれど、そうではなくすべてとても手が込んでいますよね」なんて、シェフShinozukaさんと先日おしゃべりをしていたら、「それは嬉しいな。すごいがんばってくれているんだよ。ぜひうちのパティシエをクローズアップしてあげてよ」と、なんとシェフからご提案してくれたのです。
前述のように、レストランやビストロを取り上げる場合、お店のトップにいる料理人が前面に出るのが当たり前。しかし今回はぜひパティシエを紹介してほしいとのことで、喜んで引き受けました!シェフの実力もお店の人気もよ〜く分かっていたけれど、スタッフとの信頼関係が強いシェフの人柄が改めて見えたような気がして、ますますこのお店が好きになりました。
2014年から『レ・ザンファン・ルージュ』で働くパティシエのMatsuoさん。日本の製菓学校を卒業後、数々の有名なパン屋さんで経験を積み、2014年に渡仏。アルバイト先を探しているなか、知人に紹介されいまのお店で働き始めます。しかし、最初は洗い場からのスタート。たまたま当時パティシエの枠が空いたことをきっかけに、2015年暮れから本格的にパティシエの担当となったそうです。
パン業界では、時間通りに決められた仕事をこなし、店頭に焼き立てのパンを並べるというのが日々のゴール。ところが、レストランは毎回お客さんのリズムや要望に合わせて作っていくという場所。さらに毎日同じものを作るのではなく、変化や斬新さも求められる――ルーティーンの世界からアドリブの世界へ。いままでとは違う「モノの見方」が求められ、いまだに戸惑うことも多いというMatsuoさんですが、人気ビストロの重要な役割を担っています。
シェフ曰く、レストラン業界も大きく変わり、10年前と比べたら小さなビストロでもきちんとパティシエが厨房に立っているところが増えているそうです。その代わり、小さな個人店ではデザート以外に仕込みや料理の盛り付けなど、他の仕事も兼務することがほとんどだそう。たしかに、忙しいときには、パティシエのMatsuoさんが接客をしている姿を何度も見たことがあります。
スタッフ全員が一丸となって助け合っているからこそ、人気店が作られていくのだなと改めて実感しました。
ただいまフランスはコロナの影響でまだまだロックダウン中。日々状況によって規制の内容が変わっていますが、レストラン業界は少なくとも来年の1月下旬までクローズすることが決まりました。1日も早く観光客や地元の人たちがおいしいテーブルを囲める日を願って。それまでは見ているだけでハッピーになるカラフルなデザートの写真をお楽しみくださいね!
※11月30日現在の状況です。
- ■お店情報
- Les Enfants Rouges(レ・ザンファン・ルージュ)
- 住所:9 rue de Beauce 75003 Paris
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