世界を代表するフランス料理人が世界一を競う『ル・テタンジェ国際料理賞コンクール(Le Taittinger−Prix culinaire international)』。前回、第1戦目の前菜の戦いをご紹介しました。今回はその後半戦、メインディッシュの戦いを紹介したいと思います。
後半戦のメニューは舌平目ターバン仕立て!?
前菜を作りながら平行して下ごしらえをする関谷シェフ
1品目を審査員にサービスし終わった30分後にはもう、メインディッシュをサービスしなければならなりません。2品目は指定レシピの「舌平目のターバン仕立て」です。見事な包丁さばきであっという間に舌平目を切り身にしています。
指定食材の舌平目以外に、魚介類をリストの中からチョイスして注文しておくシステムだそうで、各シェフ違った食材で戦っていました。関谷シェフは、オマール海老、手長海老、ホタテ貝、ムール貝、ハマグリ(日本のものより小さいタイプのようです)などを選んで、メインディッシュのソースを作っていきます。
熱々の貝類を素手でむしる作業は、アシスタントのお仕事。思わず、私が「素手でやるなんて、熱そう!」とつぶやいてしまったら、「料理人なら、これくらい全然大丈夫でしょ!」と関谷シェフがコミ(アシスタント)をからかうと、彼女もへっちゃらな感じでやっていました。
ところで、指定レシピの「舌平目のターバン仕立て」って聞き慣れないメニューですよね。「ターバン」とは、頭に撒くターバンのことということで、サークル型を使って盛り付けていくのが通例だそう。
アレンジは自分次第なので、各シェフ達、想像力を膨らませていろんなターバン風の盛りつけアレンジをしていました!おもしろい!
こちらが関谷シェフの作品です。
キッチンを出て、いざ試食ルームへ運ばれます!シェフの表情も真剣そのもの。
審査員の前で、1皿ごとに切り分けられ、盛り付けられます。
サービスは、会場となっている料理学校の『フェランディ(Ferrandi)』のサービスのプロ達が担当。
厳しい審査の行方は!?
厳しい目つきの審査員たち。採点は、いろいろなカテゴリーごとに細かく配点が決まっているようで、料理の温度や美しさなども基準になっているようでした。
「もっとソースかけて」と頼むエリック・ブリファール シェフ。『ジョルジュVホテル』のメインダイニングで2つ星を獲得した経験を持つシェフです。
キャベツ包みの中身はムール貝を中心とした詰め物が入っていました。それぞれの食感が楽しめそうなプレートです。
6カ国の出場チームの料理の試食を終え、採点する審査員たち。
ここで全作品を見ているのは、日本人で初めて優勝した堀田 大シェフです。彼が優勝してから34年間、日本の優勝はなかったので、関谷シェフに期待がかかります。
5時間に渡る長い戦いを終え、審査員達も和気あいあいと記念撮影タイム。中央にいる女性が、テタンジェ社のヴィタリー・テタンジェ女史です。大規模なグルーブ会社の傘下に入るシャンパンメゾンが増える中、テタンジェ社は家族経営を貫いている数少ないメゾンです。
そして、この日の夜、授賞式が行われました。歴代の優勝者や料理関係者達が勢揃いする中、全6カ国の挑戦者が壇上に呼ばれ、結果発表の瞬間…!
優勝はなんと日本代表の関谷健一朗シェフ!やったー!!
トロフィーとメダルが託され、シェフも感無量のご様子です。
関谷シェフは、今年、亡くなられたフランス料理界の中心的人物、ジョエル・ロブション氏の弟子でもあり、26歳でパリの『アトリエ・ド・ジョエル・ロブション』のスーシェフに抜擢され、30歳で六本木のラトリエを任されたという実力派。「師匠なき今、どうしても優勝カップを師匠にプレゼントしたかった」とコメントし、ロブション氏のポートレートを出して、記念写真をパチリ。
ロブション氏も1970年に優勝したこのコンクールで、関谷シェフは日本人では34年ぶり史上2人目となる優勝を果たしました。
パリでは、 日本人シェフのフレンチレストランが大ブームです。フランス人にも認められた日本人シェフ達にこれからもどんどん料理界を盛り上げてほしいものです。
- ■参考
- ・ル・テタンジェ国際料理賞コンクール (Le Taittinger−Prix culinaire international)
- ・フランス文化を識る会
- ・ラトリエ・ド・ジョエル・ロブション・六本木店
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