パリの冬は、例年12月になるとぐっと冷え込み、クリスマスの頃には初雪が降るくらいぐっと冷え、冬らしい気候のまま年越しとなるわけなのですが…今年は様子がちょっと違いました。
今年の冬はとても暖かく、ロングブーツも厚手のコートも出番がない状態で、過ごしやすい日が続いていました。1月になっても気温が10度近くあり、植物がとうとう新芽を吹いてしまうくらいでした。これだけ暖かいと、パリの天気はどうなると思いますか?
雨が降るのです。年末に長雨が降ってしまったことで、セーヌ川上流にある2つのダムはもう満タンになり、2016年以来の大洪水に!
2016年は最高記録が6.10m、その前は1982年に6.18mの記録にさかのぼりますから、大騒ぎになるはずです。
1月上旬にはセーヌ川上流で、洪水警報が発令され、1月末には村ごとひとつ冠水して、200名以上の人々が逃げられなくなり、船で救助されたというニュースも流れました。
2月1日、とうとうパリも水位が5,65mを越え、「あと数日で危険水位の5.85mに!?」と騒がれていたタイミングで、久しぶりに太陽が登場!散歩がてら、水位の上昇したセーヌ川を見に出かけてみました。
セーヌ川の風景が一変!
まずは、前回、被害の多かったパリの西側に位置する16区の方から。「セーヌ川ってこんなに広かったけ?」というほど水位が上昇しています。
河岸にある遊歩道や道路がすっかり水没しています。
この辺りは、19世紀の都市計画後に建てられた橋などが多いため、橋も大きく、川幅も広くできているはずなのに…。すっかり沈んでいます。
おなじみの遊覧船「バトームッシュ」の船着き場も水に沈み、影も形も見当たらない!
船を住居にしている人たちは、このように簡易的な渡しを作ったり、渡し船で外出しています。
パリのメトロも洪水被害に
「アレクサンドル三世橋」の下にある、よくクラブイベントなどに使われているスペースですが、扉が半分までしか見えません!中はどうなってしまっているのでしょうか…。
これは、「バトービュス」の船着き場の屋根!屋根がこんなに近くになるほど水位があがっているのがよくわかりますね。
「オルセー美術館」のギリギリのところまで水面が来ていますね。
この横に、地下鉄のRER C線が走っているのですが、既に1月末から、サン・ミッシェル駅やアンヴァリッド駅などパリ市内の7つの駅は閉鎖されています。別のメトロやバスが運行強化して、交通網の確保をしているそうです。よく使う地下鉄が3週間も閉鎖されたら、大変ですよね。日本なら大混乱になるのでは?
こちらはルーブル美術館前です。もう、橋の下スレスレ…!
一部セーヌ川に近いエジプト館などを閉鎖しているということですが、ルーブル美術館自体はまだ営業を続けているとのこと。2016年の経験で、もう少し待てるということなんでしょうね。
チュイルリー公園とオルセー美術館を繋ぐ橋です。この下の階段部分は普段は歩いて渡れるところなのですが、ここもすっかり水の中。
「ポン・デ・ザール(アート橋)」の下は、いつもなら橋の下を通り抜けできるのですが(写真左)、すっかり脚の部分が隠れるほど(写真右)に水位が上昇しています。
シテ島の先端部分の公園は、完全に水没。普段の様子は右の写真のような感じですから、すっかり変貌していることがおわかりいただけると思います。
パリ市も対策を怠ってはいません。既に準備された砂の山やバリケードが、各地に見られました。
夕暮れに染まるパリ。不謹慎にも、こんな非常事態でも、やっぱりパリは美しいんですよね…。とはいえ、やっぱりそろそろいつもの美しいパリに戻ってほしいものです。
洪水の最新情報は、パリ市のサイトで見ることができます。渡航されるご予定がある方は、参考にしてみてくださいね!
セーヌ川水位上昇に関する情報はこちら。
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