ナチュラルだけど女性らしいパリジェンヌはいつも私たちの憧れ。どうしたらパリジェンヌのようなリラックス感溢れる美しさを身につけられるの?ということで、ヘアメイクアップアーティストの長井かおりさんに、パリジェンヌのメイクテクニックを教えていただきました。今回はメイクの基本となるベースメイクとアイメイクを紹介します。
長井かおり(ながい かおり)
雑誌、広告、映像など幅広いジャンルで活動。モデルや女優のヘアメイクを手掛ける傍ら、メイクアップセミナーの講師やデモンストレーションにも出演。
2016年7月には、自身初の著書「〜周囲がざわつく自分になる〜 必要なのはコスメではなくテクニック」を刊行。5万部を超える大ヒットメイク本となっている。
パリジェンヌメイクは何が違う?
なんとなく「ナチュラルメイク」というイメージが強いパリジェンヌですが、私たち日本人のメイクと一体何が違うのか気になるところ。
「パリジェンヌのメイクは、日本人のきっちりメイクとは真逆で、ヌケ感満載。そんな気取らなさが魅力ですよね。肌に関しても作り込むより、きれいな肌を活かしてという感じです。とはいえ、完全にすっぴんで…というのは、それこそマインド、ファッションなど生き方すべてをパリジェンヌにしなきゃできないことだと思うんです。パリジェンヌのメイクをそのまま日本でやるのは難しいので、今回は『パリジェンヌ風メイク』をレクチャーしたいと思います」と、長井さん。
パリジェンヌの素敵さは素肌っぽさにあり!
パリジェンヌ風メイクを教えてもらう前に、まず今回目指すメイクの特徴を押さえておきましょう。
「パリジェンヌのお肌は、フランスの乾燥した気候も影響し、マットな肌が多め。でも、日本ではツヤ肌の方が人気なので、完全にマットに振り切るのではなく、『マットなのに潤いを感じるメイク』を目指すのがいいと思います。
実はマット肌って、うまくやらないと乾燥肌のように見えてしまったり、老けて見えがちなので、相当なテクニックが必要なんです。しっかりとスキンケアをし、内側はみずみずしく、肌表面はサラッとしたベースメイクにすることで、パリジェンヌのような素肌っぽさを手に入れましょう!」。
パリジェンヌフェイスを作るベースメイクテクニック
さっそく教えてもらうことに
【1.スキンケアをしっかりと】
まず、「マットなのに潤いを感じるメイク」のためには、内側がちゃんと潤っていることが大事。
サラッとしているメイクを目指すとなると、ついスキンケアからサラッとした質感を目指しがちですが、保湿をしっかりして潤いのある上質な肌を作るのが大切です。洗顔のあと化粧水をたっぷり2回与えてうるうるのお肌に整えてから、メイクスタートです。
【2.リキッドファンデーションまではツヤ肌を】
スキンケアが終わったら下地を塗ります。大人の女性は目の周りだけピンク系の下地をのせておいた方が、夕方以降もくすみが出にくいです。
下地のあと、リキッドファンデーションを塗りますが、リキッドファンデーションまではツヤ肌を作るのがポイント。ファンデーションは美容液のようなとろっとしたテクスチャのものを選ぶとよいです。このあとパウダーを使用するので、リキッドファンデーションの段階ではあまり白くしすぎないようしましょう。色の明るさで悩んだときは暗い方を選ぶといいですよ。
【3.ファンデーションはベタ塗りしない】
ファンデーションを塗るとき、顔全面に塗っているという方も多いのではないでしょうか?全面にムラなく塗ると、パリジェンヌ特有の素肌っぽさがなくなるだけではなく、立体感のないのぺっとした印象になってしまいます。
丸面の底で美肌ゾーンを、先端で小鼻や目元の細部のぼかしなどに使えるスポンジはおすすめ
ファンデーションは、顔にのせてスポンジで叩くように薄く伸ばし、頬骨の部分だけ重ね塗りして2層になるように塗るのがポイントです。頬骨の部分は、美肌の印象を与えるのに重要な「美肌ゾーン」なので、ここの部分だけはしっかりめにファンデーションを塗り、きれいに整えるようにしましょう。
【4.気になるシミ、そばかすは消しすぎない】
ファンデーションを塗ったあとはコンシーラーの出番。ですが、年を重ねるごとに気になるシミやそばかすも、すべて消し去るのは自然体なパリジェンヌメイクに合わない気がしませんか?消すことに一生懸命になりすぎて厚塗りになるよりは、「美肌ゾーン」をきれいにするくらいにとどめておくとよいでしょう。もともとシミやそばかすは「美肌ゾーン」に多いので、まずはここを美しく仕上げることに注力した方が◎。シミやそばかすもチャームポイントと割り切る方が、パリジェンヌっぽいですよ。
【5.パリジェンヌ風メイクの最大のポイントは最後のパウダー!】
パウダーの種類と量、塗布の方法でツヤの量は調整できるので、特に気合をいれて取り組みたいところ。
<パウダーの選び方>
長井さんおすすめのルーセントパウダー。左からnaturaglacé、Les Merveilleuses LADURÉE、ESPRIQUE
パウダーと言ってもいろいろと種類はありますが、パリジェンヌメイクで重要なのは、無色透明でさらっとした質感のルーセントパウダーです。触ったときに溶けるようなものがベスト。片栗粉みたいにキュキュッとしていたり、指紋に入りやすいものは乾燥しすぎてマットになってしまうので避けた方が◎。ルーセントパウダーが仕上げの決め手になるので、ちょっと上質なものを選ぶとよいでしょう。
<ルーセントパウダーののせ方>
今回目指しているサラッとした質感を作るには、顔全体にブラシでふわっと少量のせていくのがおすすめ。潤いを残しつつ、粉雪がのったようなふわっとした質感になります。
パフで全体に押し付けてしまうと完全なマット肌になってしまうので、乾燥しがちな秋冬は大きめのブラシでふわっとのせていくとよいでしょう。
のせるときは、パウダーをフタに取り、ブラシになじませてから顔全面にパウダーをのせていきます。その後、ブラシで余分なパウダーを払うようにするときれいにできますよ。
パリジェンヌはアイメイクをあまりしないからナチュラルに見える!?
ベースメイクが完成したところで、アイメイクについて教えてもらうことに。過度なアイメイクをせず、すっぴん風なのがパリジェンヌメイクの素敵ポイント。とはいえ、日本人とパリジェンヌでは、ホリの深さや骨格がそもそも全然違います。日本人の顔でパリジェンヌを真似してノーアイメイクにしてしまうと、寂しげに見えてしまったりするもの。
「パリジェンヌのような立体感のある顔を目指すためには、眼力だけはしっかり作ることが大切。パリジェンヌの性格を考えるとカラフルなアイシャドーを組み合わせて楽しむとか、グラデーションを駆使するというのもちょっと違う気がするので、今回はアイラインとマスカラだけで眼力をプラスするテクニックを紹介します」と長井さん。
パリジェンヌはアイメイクしないかもしれないけど、日本人の顔でパリジェンヌに近づくためには、しなきゃいけないこともあるのです。では、さっそくアイメイクを教えてもらいましょう!
【1.アイメイクの前の下準備がポイント】
ベースが完成したらアイメイクに取り掛かりますが、その前に。ベースメイクで使用したルーセントパウダーをブラシかパフで涙袋にのせておきましょう。こうすることでアイメイクが落ちにくくなり、「夕方、気づいたらパンダ目に!」ということを回避することはできますよ。
【2目力アップに欠かせないマスカラ下地】
目力をアップするには、まつ毛のカールが重要となってきます。そのとき便利なのが、キャンメイクのマスカラ下地(カールキープ)。ビューラーで上げたまつ毛にこれを塗ってしまえば、マスカラはなんでもOKです。
ビューラーでまつ毛を上げるときは、一気に上げるのではなく、数回に分けてグッグッグッと上げていくようにしましょう。
【3.アイラインは2本使い!】
下地を乾かしている間にアイラインを引いていきます。
a.ペンシルアイライナーでまつ毛の下から、まつ毛をかき分けながら隙間に点を打っていきます
b.まつ毛の隙間を埋めたら、目を閉じた状態で上からまつ毛の上の際にラインを引きます。
c.綿棒でラインをぼかし、なじませます。
d.ここからリキッドアイライナーを使用します。目を開けたまま、目尻から目の際に向かって跳ね上げるようにラインを引きます。
e.跳ね上げた部分が書けたら、今度は逆方向(外側から内側に向かって)にラインを引きながら微調整します。このときは、目を閉じてやるとよいでしょう。
跳ね上げた目尻がパリジェンヌの小悪魔っぽさを演出してくれます。ナチュラルメイクにしたい場合は、【c】まででOKですよ。
【4.マスカラはラフにボリュームアップ!】
マスカラカール下地が乾いたら、ボリュームマスカラを塗っていきます。さらに下まつ毛をしっかり塗ると、よりパリジェンヌっぽい目元に。下まつ毛はマスカラの先でちょんちょんと塗っていくか、歯間ブラシにマスカラをつけて塗るとやりやすいです。
世界一メイクが上手と言われる日本人は、マスカラをセパレートするのも上手ですが、ちょっと束になっていたり、ラフさがある方がパリジェンヌっぽいですよ。
【5.眉毛はブラシでナチュラルに】
眉毛も「描きました!」といよりはナチュラルな方がパリジェンヌらしいでしょう。ブラシで描いた方がナチュラルに仕上がります。ブラシで描いたあと、スクリューブラシでなでてなじませることもお忘れなく!
マスカラとアイラインだけで、目元に眼力がプラスされました。アイシャドーを塗らなくていいの!?とちょっと不安にもなりますが、パリジェンヌの潔さを見習って、ここは潔く行きましょう!
パリジェンヌ風のすっぴんに見せるメイクの完成!保湿もしっかりしており、また厚塗りしていないのでお肌にもうれしいメイクです。そんなに難しいテクニックがあるわけでもなく、新しいアイテムをたくさん買い足す必要があるわけでもないので、なんだかパリジェンヌになれそうな気がしてきますよね。
パリジェンヌ風メイクで自然体の美しさを身に着けてみてはいかがですか?
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