最近はデジタルカメラやスマートフォンで写真を撮ることが多くなりました。でも、たくさん撮っても意外と見返したり、プリントする機会ってないもの。せっかくの思い出をきれいに残しておくことができたらうれしいですよね。
こちらは宮本明香さんの作品
そんなときにおすすめなのがスクラップブッキング。写真や思い出を楽しくかわいくまとめて、1つの作品を作るというもの。
そのスクラップブッキングの第一人者、久米英美子さんに作り方や楽しみ方を教えてもらいました!
アメリカ発祥のスクラップブッキング
30年ほど前からアメリカで生活されているという久米さん。お子さんが幼かった20年ほど前に自宅の近くにスクラップブッキングの専門店ができたのがきっかけで作りはじめたのだそう。
「当時、アメリカではスクラップブッキングが大ブームだったんですよ。お店にはすごくかわいいアイテムがたくさん並んでいて、もともと子どもの写真はたくさん撮影していたこともあり、これでかわいく残せたらいいなと思ったのがはじまりです」。
その後、2004年に日本でもスクラップブッキングの本を出版し、日本でもスクラップブッキングの魅力を伝える活動をしています。
スクラップブッキングの作り方
さっそく久米さんに作り方を教えてもらうことに。今回は30cm×30cmのアルバムサイズで作る基本のスクラップブッキングの作り方を教えてもらいました。
【材料・道具】
- スクラップブッキング用の紙
- はさみ
- のり(テープのりと液体のり両方あると便利です)
- 定規
- レースペーパーなど
材料は長期保存可能なアシッドフリーのものがおすすめです。ネットショップやスクラップブッキングの専門店で購入できるとのこと。
スクラップブッキングのメーカーからセットになっているものも発売されているので、最初のうちはそれを使うと便利です。ちなみにこちらは裏表で違う柄となっています。
【作り方】
1.テーマを決めます。
この作品でどんな思い出を残すか、どの写真を使うかといったテーマを決めることからスタートします。
「最初にテーマを決めることが大切です。そこから1番強調したい写真も決めると、その写真を中心に装飾していけばいいので、バランスが取りやすいです」と久米さん。
今回はこちらのリサとガスパールがパリで遊んでいる写真を中心に、パリをテーマにすることにしました。
2.台紙となる紙を選びます。
載せる写真とのバランスを見ながら、台紙の色や柄を選びます。どの紙もとてもかわいいのでどれを使うか悩んでしまいます。写真が主役なので、ベースとなる台紙は無地や淡い色、目立たない柄などを選ぶとやりやすいです(左の紙)。
3.紙をカットします。
カッターやはさみでもよいですが、ペーパーカッターだと長さも測れ、簡単に切れるので便利です。
4.バランスを見ます。
大きなパーツが揃ったら、バランスを見て並べていきます。
「バランスはとても大事ですね。ギュウギュウにするよりも余白を残しなら配置するのがポイントです。写真の構図で三分割法という考え方がありますが、スクラップブッキングでも台紙を3分割にしてその交点に配置していくとバランスが取りやすいです」とアドバイスをいただきました。
また、ピンク色の紙のように、インパクトのある柄の上に写真を載せると写真が目立たなくなってしまうことがあります。
その場合は、写真の下に別の紙を重ねるといいでしょう。随分と見やすくなりましたよね。
やり方は写真の周りに紙がはみ出るくらいに重ねてカットすればOKです。
5.飾りつけていきます。
こちらはスクラップブッキングの装飾品。バリエーション豊かなラインナップでどれも使いたくなってしまいます。
スクラップブッキング用のレースペーパーも何種類かあり、プラスすることで華やかな印象になります。
こちらはアルファベットがカットされたもの。「bonjour(ボンジュール)」と描いてみました。下のピンクの紙と色が似ているので目立たなくなってしまったので、
別のカラーを間に入れて、目立たせました。このように実際に配置しながら、加えたり、減らしたりして調整していきます。
裏がシールになっているものは、ベビーパウダーをまぶして粘着力をなくして並べると調整がしやすいです。
お花や布のレースも配置。紙以外の質感をプラスすると、よりおしゃれな印象になりますね。
このエッフェル塔、少し浮いているのに気付きましたか?
ハサミで簡単に切れるスポンジを裏に貼って、高さを出しているのです。立体感がでるとさらに楽しげな印象がプラスされます。
あとで見たときに、思い出のシーンをパッと思い出せるように、シーンの説明や日付、気持ちなどが分かるコメントを付けるといいですよ。このように別の紙に描いて重ねると雰囲気も出ますし、間違っても書き直しできるのでおすすめです。
レイアウトが完成しました。
6.接着していきます。
紙や写真の接着にはテープのりが便利です。このテープのりもアシッドフリーなので、写真と重ねても写真が劣化する心配がありません。
布やお花は液体ののりで接着します。こちらもアシッドフリーのものを使用しています。
7.完成しました!
とってもかわいいスクラップブッキングができました。リサとガスパールのパリの楽しげなお散歩風景がイメージできますよね。
写真の中にあるリサの赤いマフラーと同系色のピンクや赤がアクセントになっています。また、ガスパールのブラックに合わせたダークブラウンの縦のラインで全体の引き締め効果も。このように写真の中に使われている色を装飾に使うのもテクニックのひとつです。
「正解や間違いがあるわけではないので、ご自身の感覚で楽しみながらやってOKです。どこまでもこだわることができるし、シンプルにまとめることもできるので、みなさんそれぞれのセンスでやってみてください」とのことでした。
同じ写真で別バージョンも作ってもらいました。紙の色や柄でだいぶ印象が違いますね。左は春の楽しげな雰囲気が、右はパリのシックな雰囲気が出ています。色は同系色でまとめると落ち着いた印象に、反対色やそれに近い組み合わせにすると躍動感が出て元気な雰囲気になるそうです。
今回は数枚の紙とシールなどのデコレーションがセットになっているキットを使用しました。ちなみにアメリカでもエッフェル塔モチーフやパリ風の柄は人気なので、スクラップブッキング用のペーパーや装飾もパリ風のものがたくさんあるのだそうですよ。
スクラップブッキング用の紙は本当に種類が豊富で迷ってしまいますね。いろいろな紙を使いたくなってしまって、そうなると組み合わせも悩んでしまいそう…と相談してみたところ「私は個人的にいろいろな模様を使うのが好きなのですが、合わせ方が難しいという方は色のトーンを合わせたり、模様の種類やサイズを変えるといいでしょう。細かい模様と大きな模様、水玉やストライプなど幾何学的な模様と花柄などの有機的な模様を合わせるなど種類を変えて組み合わせるといいですよ」と教えてくれました。
ギフトに思い出ブックに。使い方はたくさん!
旅行の記録、お子さんの成長記録、結婚式のウェルカムボードやプレゼントとしてなど、いろいろなシーンで使うことができるのもスクラップブッキングの楽しみのひとつ。
こちらは久米さんが娘さんの成長記録として作ったスクラップブッキング。右の作品ははじめてのヘアカットの思い出をまとめたもの。記念にもらった切った髪の毛とそのときの写真を添えています。左の作品のように幼稚園で描いた絵もスキャンしたり、写真を撮って一緒にまとめると、思い出をきれいに残すことができます。
もちろん何気ない毎日のお写真でも◎。スクラップブッキングで残すと特別な思い出のワンシーンになりますね。
「写真って、せっかく撮っても撮ったままになりがちなんですよね。こうやってスクラップブッキングすることで、大切な写真をプリントしてあとで見返すことができます。たくさん撮った写真の中で数枚を載せるので、とっておきの写真を厳選するのは難しかったりもするのですが、それもまた楽しい時間ですよね」と久米さん。
今回教えてもらったのは1番ベーシックなスクラップブッキングですが、こういった本の形でまとめることも。思い出の写真とテキストだけでなくチケットなども一緒に残せるポケットがついていたりと、アイデアは無限!
写真をきれいに楽しく残すスクラップブッキングは、新生活を迎えるあの人への贈り物として、結婚式のウェルカムボードとして、日々の思い出アルバムとしていろいろなシーン活用できそうですね。
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