パリパリのクリームブリュレ、カリカリに焼いたバケットのブルスケッタ、お鍋いっぱいに詰められたシューファルシ。
映画を観て「あの料理はなあに!?」と新しい料理に出合い、そして食欲が刺激される……。そんな経験が1度や2度あるはず。
今回は、食欲と好奇心を刺激してくれるはらぺこフランス映画をご紹介します。
食への情熱で結ばれた料理人と美食家の愛と人生「ポトフ 美食家と料理人」
19世紀末のフランスの片田舎。静謐な森のなかに佇むシャトーのなかでは、今日も美食家たちが、美しい料理に舌鼓を打ちながら、うんちくと皮肉を交えた美食談義を繰り広げています。
パイ詰め料理、舌平目のクリームソース、ショワジー風子のポワレ……聞くだけでおなかが鳴りそうな料理がならぶ食卓。
その裏の厨房では、ザリガニが茹で上げられ真っ赤に染まり、鍋には白ワインがどぶどぶと注がれ、フライパンにはたっぷりのバターが溶かされ、フレッシュな野菜や肉、魚が次々と軽快なリズムに乗って色鮮やかな料理となっていきます。
映画のほとんどのシーンが調理か食事のシーンで構成された、まさに食いしん坊のための映画『ポトフ 美食家と料理人』。
村上春樹の小説『ノルウェーの森』を映画化し、日本でもよく知られるようなった名匠トラン・ユン・アンの最新作です。
美食家のドダンと、その元で20年間働いてきた料理人ウージェニー。ともに尊敬し、愛を感じながらも、自立と自由を尊ぶウージェニーにより結婚には至らぬ2人。
あるできごとをきっかけにドダン自らが厨房にたち、ウージェニーに最高のディナーを振る舞うのですが、その料理のなんとおいしそうなこと!
そして、渾身の思いで料理を作るドダンの姿に、「だれかのために作る料理の尊さ」を考えさせられます。
美しい料理の数々は目にも楽しく、そして、軽快な調理音はリズミカルでASMRを刺激されること必至です。
愛と情熱に溢れた100年前の極上メニューをぜひ召し上がれ。
◾️映画情報
『ポトフ 美食家と料理人』
監督:トラン・アン・ユン
出演:ジュリエット・ビノシュ、ブノワ・マジメル
配給:ギャガ
©2023 CURIOSA FILMS – GAUMONT – FRANCE 2 CINÉMA
公式HP:https://gaga.ne.jp/pot-au-feu/
12/15(金)Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、シネスイッチ銀座、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
世界初のレストランはこうして生まれた!『デリシュ!』
美食の国、フランスで、はじめてレストランを作った男を知っていますか?
その男の名は、マンスロン。
時はフランス革命前夜。宮廷料理人のマンスロンは渾身の創作料理「デリシュ」を振る舞うものの、その味は貴族の反感を買い、解雇されるところから物語はじまります。
一度は料理から離れることを決めたマンスロンですが、料理への熱意を持ったルイーズとの出会いにより情熱を取り戻し、世界ではじめて庶民のために開かれたレストランを作ることに……。
美食は貴族だけのものだった時代、「誰もが自由に料理を楽しめる」そんな場所を思い描いたマンスロン。
良き理解者であるルイーズと息子とともに、これまでにない新しい食の楽しみを生みだしていきます。
当時は公爵の仰せのまま料理を作ることが求められている時代でしたが、マンスロンたちには自由なアイデアがたくさんありました。
「自分が信じるおいしい料理を多くの人に食べてほしい」。
そんな熱い思いがレストラン誕生の裏にはあったのです。
今や、フランスは美食大国とも称され、一般の人でもレストランを訪れることができ、さまざまな人たちが同じ場で美食の舌鼓をうちながら「Délicieux!(おいしい)」と笑い合うことができます。
そしてシェフたちもそれぞれの想像力で自由な料理をつくれるようになりました。その裏には料理への情熱を持ったシェフがいたのだ…と、胸が熱くなります。
ちなみに、ジャガイモやトリュフなど、フランス料理に欠かすことのできない食材もこの当時は“悪魔の産物”だったのだとか!?
もう1つのフランス革命ともいえる、美食革命の物語です。
◾️映画情報
『デリシュ!』
監督:エリック・ベナール
出演:グレゴリー・ガドゥボワ、イザベル・カレ
配給:彩プロ
公式HP:https://delicieux.ayapro.ne.jp/
*DVD発売中!4,180円(税込)販売元:TCエンタテインメント
Amazon Prime Videoにてレンタル中
©︎2020 NORD-OUEST FILMS―SND GROUE M6ーFRANCE 3 CINÉMA―AUVERGNE-RHôNE-ALPES CINÉMA―ALTÉMIS PRODUCTIONSDVD発売中!
“おいしい”が作る明るい未来『ウィ、シェフ!』
おいしい料理に感動して、未来が変わる−−。
おいしい料理に出合えるのは、レストランだけではありません。
『ウィ、シェフ!』は移民の少年たちが暮らす自立支援施設を舞台にした「おいしい」がくれる未来を描いた映画です。
一流レストランのスーシェフとして働き、いつか自分のレストランを持っていたカティ。
しかし、シェフと大げんかして、店を飛び出し、移民の少年たちが暮らす自立支援施設にたどり着きます。
質より量、調理機材も食器もままならない環境で料理を作る日々。
あるとき少年たちに、調理アシスタントをしてもらうことになります。
フランス語が苦手な少年たちと、人付き合いが苦手なカティが料理をすることを通じて心を通わせ、そして、それぞれの未来を変えていくという物語。
移民の少年たちを調理師として育成し、フランスで安定した暮らしを手に入れさせようと奮闘した実在のシェフ、カトリーヌ・グロージャンをモデルに、社会派コメディの名手ルイ=ジュリアン・プティが映画化。
カティ、少年たち。不器用なコミュニケーションでときにぶつかり合いながらも、料理を通じて成長していく姿に感動を覚えます。
なによりも料理をしている楽しそうな姿を見ていると、不思議と料理がしたくなってくるはず!
料理とは生きる術なのだということを教えてくれると同時に、ともに料理すること、食べることの一体感や、「おいしい」が持つ本当のパワーを教えてくれる映画です。
◾️映画情報
『ウィ、シェフ!』
監督:ルイ=ジュリアン・プティ
出演:オドレイ・ラミー、フランソワ・クリュゼ
配給:アルバトロス・フィルム
公式HP:https://ouichef-movie.com/
*DVD発売中!Amazon Prime Videoにてレンタル中
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家でゆったり過ごす時間も増える年末年始。おいしい映画で満たされてみては?
おいしい料理が続々と出てくるので、空腹時の鑑賞は要注意です!