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好きが興じて20年。アンティーク・ブロカントのお店『粋気者(すきしゃ)』

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好きが興じて20年。アンティーク・ブロカントのお店『粋気者(すきしゃ)』

「アンティーク(Antique)」とは、フランス語で古美術や骨董品のこと。フランスにまつわる素敵なものとの出合いになりますよね。

とりわけ近年では、日本各地で蚤の市やアンティークマーケットが開催され、より多くの人に親しまれるようになっています。今回訪ねた『粋気者(すきしゃ)』も、このようなイベントに次々と出店しているアンティークとブロカントのショップです。

アンティーク雑貨やブロカントをフランスから取り揃え続けるその歴は、なんと20年以上!今回はそんな『粋気者(すきしゃ)』のオーナー、国分さんにセレクトのこだわりや、アンティークの魅力を伺いました。

こだわりの世界観に時間を忘れ、魅せられる

月に複数回、各所のイベントに出店しながら、ご自宅に店舗を構える『粋気者』。そのお店のコンセプトは「フランスの田舎にある、滅多にお客さんが来ない店」なんだそう。

「フランスの田舎に行くと、アンティークショップにお客さんが私たちしかいないってことも実際にあって(笑)。特に理想としているのは、いろんなアイテムでごちゃごちゃしているお店です」と、国分さんは言います。

イベント出店が主軸ではあるものの、お客さまが滅多に来ないということはなく、このご自宅のショップでも、時よりお客さまを迎える機会をつくっているそう。オープンする際は、事前にインスタグラムで2時間制の予約枠を告知。枠は埋まってしまうことがほとんどなんだとか。

「お客さまも本当に熱心な方が多いんです。私がとっくに忘れているようなものを奥のほうから引っ張り出してきたりして、宝探しのように楽しんでもらえているのがうれしいですね」

所狭しと、食器、グラス、カトラリー、布、そしてペーパーアイテムと、あらゆるアンティークとブロカントがギュッと敷きつめられるように置かれた店内。

足を踏み入れると、なんだか時の流れを忘れてしまうような、静けさ。美術館や博物館の展示品のように歴史を感じるアイテムたちに囲まれると、「ショッピング」をしていることを忘れてしまうほど。お宝探しのように、まだ見ぬ出合いへの期待で、ワクワクドキドキします。

『粋気者』はじまりと今

訪れる人たちを夢中にさせる『粋気者』のアイテムは、オーナーの国分さんと運営をサポートしている娘さん、そしてフランス現地に暮らす友人スタッフの3人の感性でセレクトしているそう。

「特にフランスで現地スタッフをしてくれている友人は、お料理好きなのでキッチンまわりのアイテムが得意ですね。お皿やグラスなどは、彼女の感性に委ねている部分も大きいです」

国分さん自身が素敵だと思うものに加え、現地スタッフや娘さんの感性に響いたアイテムが『粋気者』らしさを形作っているようです。

また、実際に国分さんがアンティークやブロカントの魅力を知ったのも、現地スタッフであるご友人がきっかけだったのだとか。

「もともと知り合いだった彼女が、結婚を機にフランスに移住したので、遊びに行ったことがあったんです。そうしたら、彼女の家にフランスの蚤の市で買い集めたアンティークやブロカントがわんさかあって。ちょうどその頃、雑貨屋さんをやってみたいという思いもあって、彼女の素敵な感性に魅せられて始めることになりました」と国分さん。

アンティークやブロカントに目覚めるきっかけになったご友人と、長年一緒に作り上げている『粋気者』。なんともあたたかい歴史を感じるこのお店の名前の由来についても伺いました。

「盆栽をやっている知り合いから、芸道や趣味を楽しむ人のことを指す「数奇者」という盆栽の用語を聞いたんです。この言葉を聞いてピンと来たんですが、「数奇」だと固いので、「粋気者」と完全に当て字にして考えました。「su」と「ki」と「sha」の音だったら、フランス語でも発音できそうだな、とも思いましたね」と国分さん。

扱うのはフランスを中心に西洋のものですが、あえて日本語の名前を看板にするのも、なんだか粋なアイデアですよね。

3人の「数奇者」、あるいは「粋気者」が選んだものともなれば、自分にも心惹かれるものがきっとある、と思ってしまいます。

コーディネートのヒントに日本のものを

たくさんのお客さんの話を聞くなかで、アンティークにまつわる悩みが見えてきたそう。

「『なにに使ったらいいですか?』と聞く方は多いですね。その通りに使わないといけないと思ってしまっているのかな、という印象です。実際はもちろんそんなことはなく、好き勝手に使ってほしいです。想像力を掻き立てて、アンティークの使い方を試行錯誤しながら生活に取り入れることそのものを楽しんでほしいです」

アンティークのものを選ぶ際に、いくつかポイントとなることも教えてもらいました。

「例えばお皿の場合、フランスの1900年代のもの、日本の1900年代のもの、そしてアメリカも1900年代のものでコーディネートすると、ものすごく調和するんです。不思議なんですが、違う国のアイテムであっても、時代を揃えることで統一感が取れるんですよ」

「このお店はフランスのものをメインに扱っていますが、実はフランスのアンティークも、日本の影響をすごく受けているんです。

お皿の絵の空間使いには、ジャポニスムを取り入れたものも多くあります。そういうものって、実は和食器ともよく合うんですよ。すべてをアンティークで揃えるとなると、時間もかかりますし、そこまで徹底するのはやっぱりちょっと大変。

なので例えば、両親から引き継いだ和食器と、ジャポニスムのエッセンスを感じるアンティークを組み合わせるなど、手持ちの和食器を活用するのがおすすめです」と国分さんは言います。

肩肘張らずに楽しむアンティークやブロカント。そんな柔軟性を感じながら、しっかりと素敵に決まるアイデアは、末永くアンティークとの暮らしを楽しむヒントになりそうです。

物を通して見えてくる生活が愛おしい

小さな”好き”を積み重ねて、今現在のアンティーク・ブロカントショップという形にたどり着いた国分さん。そんな国分さんが、特に好きなアイテムは絵本なんだそうです。コレクションも兼ねて買い付けているという絵本から、奥深い魅力が見えてきました。

「フランスって、元々子どもを育てるときに乳母を雇って育てていた歴史があるんです。だから、親が子どもの面倒をあまり見ていないんですよ。こういった現在の親子関係ではなかった時代が19世紀頃まで続いていたので、19世紀の後半から20世紀ぐらいにかけて、初めてかわいい絵本ができたという背景があるんです」と国分さんは言います。

こうして見ると、子どもが読む絵本にしては文字量が多いように感じます。お母さんが子どもたちに読ませることを念頭に作られた絵本なのかもしれませんね。

物は、とりわけアンティークなどの人を介した物は、その先にある生活をも滲ませています。

「その人がそのときにいいと思ったものがその人の感性なんだと思います。それをコツコツと、1月に1回でもいいし、1年に1回でもいいから、少しずつ自分のそばに置いていくと、自分だけの世界ができあがりますよ」と国分さんは言います。

まさにその軌跡となった『粋気者』という場所は、3名の女性たちの感性の宝石箱。イベントや店舗で、アイテムと触れ合えば、あなたの感性もビビッドに共鳴を起こすはずですよ。

 

 

  • ■『粋気者』3月出店イベント情報
    ・ 3/1(水)〜14(火)
    伊勢丹新宿店 本館1Fプロモーション
    〈新宿0丁目商店街 LE TAMPS〉
    ・3/18(土)19(日)
    渋谷Bunkamura ドゥマゴパリ祭
    〈ちいさな蚤の市〉
  • ・3/21(火)22(水)23(木)
    お家ショップオープン
    ※要予約
  • ・ 3/26(日)
    大江戸骨董市
    有楽町 東京国際フォーラム

 

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