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レトロパン&ローカルパンを現代風にアレンジ!学芸大学『サンチノ』へ

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レトロパン&ローカルパンを現代風にアレンジ!学芸大学『サンチノ』へ

忙しい毎日の中でふと懐かしさを感じる瞬間にちょっとほっこりうれしい気持ちになるのは、きっと私だけではないはず。

今回訪れたのは、そんなちょっと懐かしさを感じるパンを焼いている学芸大学『サンチノ』。その土地土地で、昔から地元の人に愛されているようなご当地のレトロパンやローカルパンに現代風のアレンジを加えて作っている『サンチノ』で、パンへのこだわりについてじっくりとお話を聞いてきました。

 

「どこの産地の」「だれだれさんちの」=サンチノ

『サンチノ』は、以前PARIS magでもご紹介したことのある代々木公園の『365日』や、その姉妹店『15℃』のオーナーシェフである杉窪章匡さんがプロデュースされたお店。『サンチノ』は、『365日』、『15℃』の根底にあるコンセプト「国産小麦」「無添加」「手作り」を受け継ぎながら、各地方のローカルパンやノスタルジックなレトロパンを作っています。

サンチノの黒板

「使う素材は第一に無添加。さらにその素材の産地までお客さんにもわかるようにしています。小麦粉も焼きそばパンに使う麺も、どこのだれだれさんが作っているっていうところまでクローズアップするんです。

店名である『サンチノ』には、「産地の」「だれだれさんちの」という意味が込められています」と杉窪さん。日本各地の食材を探しに出かける中で出会った、いろいろな“サンチノ”がこのお店には並んでいるのです。

食パン「農家サンチノ」「豆腐屋サンチノ」「珈琲屋サンチノ」食パンも「農家サンチノ」「豆腐屋サンチノ」「珈琲屋サンチノ」と使用している素材に合わせたネーミングがつけられています。

 

懐かしくも新しい!レトロパンの魅力

レトロパンには一体どんなものがあるのでしょうか?

サンチノのパン「棒チョコ」

「レトロパンというのは、コッペパンみたいにちょっと昔懐かしいパンですね。例えばこれは、昔の菓子パンであった銀チョコというパンをイメージして作ったパン。他にも『シベリア』っていう羊羹が入ったパンもあります。どれももともとのレトロパンを現代風にアレンジしています」と教えてくれた杉窪さん。

サンチノのレトロパン「シベリア」ポップにはハッシュタグ風につけられているパンの情報

本来の「シベリア」は、羊羹がカステラでサンドされた菓子パン。でも、『サンチノ』の「シベリア」はまったく違う姿。円柱型のパンの中に羊羹が入っているというモダンな姿に生まれ変わっています。なんと羊羹も手作りなのだとか!

「昔のパンは添加物が入っていて当たり前だったと思うんです。でも、それを安心して食べられる食材で作るとなったら、やっぱりアレンジを加えないと商品としての完成度が上がらないんですよね。

料理でも使う食材によって調理法が変わりますし。だからパン作りも、使っている食材が違うのだから、その食材に合った作り方で作ります。この食材だからこうやって作ってみようとか、これを使ってみようとやっているうちにレトロパンが新しく変わっていくんです」と話してくれました。

『サンチノ』の「シベリア」は、羊羹にドライフルーツが練りこまれています。これも「羊羹ってどういう羊羹がおいしいんだろう。パンにするなら…」というように、食材に合わせて考えて生まれたアイデアなのだそう。

サンチノのレトロパン「押忍 焼きそばパン」

こちらの「押忍 焼きそばパン」で使っている麺は、大阪のラーメン屋さんで製麺しているもの。

「大阪の『カドヤ食堂』の麺を送ってもらい、それをお店で蒸してから炒めて焼きそばにしています。今までのパン屋さんと言ったら、仕入れてきたあんこやカレーを使うことが多かったと思うんです。それならパン屋さんの技術・知識だけで作れるから。でも、うちではそういったものも手作りしているので、料理人や製菓の知識と技術も必要になってきます。その知識や技術をきちんと学んでから作っています」。

パンの販売スペースの後ろには厨房があり、そこで食材を1から調理しているのだそう!

サンチノの「押忍 焼きそばパン」をカットしたところ

パンにサンドされた焼きそばは、『カドヤ食堂』の麺を蒸し麺にしてから炒めることで、麺1本1本に歯ごたえがあり、もちもちしたしっかりした食感に。「焼きそばってこんなにおいしかったの?」と思うほどの衝撃でした。パンはふんわりしっとりしていて、焼きそばのおいしさを引き出すような甘すぎないシンプルなパンです。ちなみに写真ではわかりづらいですが、焼きそばのお供である生姜もきちんと入っています。着色をしていないため、本来の食材の色なのです。

サンチノのレトロパン「ブラックホール」ブラックホール

数あるパンの中から、見た目も名前も気になる「ブラックホール」。ポップには「#チョココロネの1番美味しい所」と書かれています。昔から親しまれている菓子パン、チョココロネのあの部分だ!と誰もが共感してクスッと笑ってしまう、そんな遊び心も溢れています。

サンチノのレトロパン「ブラックホール」

丸い粒はチョコをコーティングしたパフになっていて、サクサク食感。その下に濃厚なチョコクリームが敷き詰められています。懐かしさがあるものの、そこにはまるで違う新しい驚きが待っています。

また、店頭では分かりやすいようにと、ハッシュタグでそのパンの特徴が書いてあるので、どれにしようか迷ったときや、選ぶときにぜひ見てみてくださいね。

 

日本各地にあるローカルパン!

一方、ローカルパンにはどんなパンがあるのでしょう?杉窪さんにお話を伺うと、今まで知らなかったご当地パンが次々と登場してきました!

サンチノのローカルパン「野球帽」高知の帽子パンにアレンジを加えた「野球帽」

サンチノのローカルパン「ちくーわ」

「いわゆる地域限定のパンなんですけど、九州にはマンハッタン、北海道にはちくわパン、愛媛なら塩パン、滋賀には刻んだたくあんを使ったサラダパンとか、本当に色々なパンがあるんですよ。その地域にしかないパンなので、食材を探しに行ったときに見つけるんです。そういう地域限定のパンから得た着想を元に、見つけてきた食材をどうやってパンにしたら1番おいしいだろうということを考えて、ローカルパンを進化させています。例えばサラダパンは通常たくあんなのですが、うちではキムチを使用するなどアレンジしています」と杉窪さん。

サンチノの「ボンジョルノ明太バゲット」と「新バード」ボンジョルノ明太バゲット(左)と新バード(右)

サンチノの「ボンジョルノ明太バゲット」を切ったところ

「#博多も感じます」と書かれた「ボンジョルノ明太バゲット」には明太子がぎっしりと挟まれています。明太子も無着色。誰もが安心して食べられるのがうれしいですよね。バゲットの味と明太子の味がどちらもしっかりと味わえるパンで、満足感もたっぷり!

サンチノの「新バード」を切ったところ

手羽先のような見た目がキュートな「新バード」は、50年以上も前から食べられている京都のローカルパン「ニューバード」から着想を得たもの。中には鶏肉がたっぷり入ったトマトベースのスパイスが効いた本格カレー。軽い食感でパクパクとあっという間に食べてしまいました。

『サンチノ』に来ると、レトロパンを見て懐かしくなったり、ローカルパンを見て「こういうパンがあるんだ!」と新しい発見もあったりと、見ているだけで楽しみが広がります。

 

普通を知らない、だからこそ生まれるやり方

素材にこだわり、パンも食材も1から作り、オリジナリティ溢れるパンを作る杉窪さん。そこにはこんな思いがあるのだそう。

サンチノの厨房の様子

「正直な話をすると、1年しかパン屋の修行をしていないんです。なので、普通のパン屋さんのやり方を知らないんですね。だから自分でやっていく中で問題が出てきて、それをどう改善するかということをずっとやってきています。『このやり方が当たり前』ということがないので、全部、色んなものを変えられるんです」。

サンチノのパンが並んでいる様子

『サンチノ』で販売しているパンのレシピもすべて杉窪さんが考えています。お店に並ぶパンはなんと約60種類。そんなにたくさんのパンのレシピを考えるには時間がかかるのでは?と思いきや、「ルールを知っていれば簡単なんですよ」と教えてくれました。

「たとえば卵ひとつをとっても味を増幅させたいときは卵黄、まろやかにしたいなら全卵、味を壊したくなかったら卵白、というような味覚のルールがあるんですよね。同じように、卵黄は油だけど、卵白は水だから両者は分離しやすいといった性質にもルールがある。それぞれのルールを知っていれば簡単に作れます。そういう理論や科学的なことと、自分が『おいしい』と思う感性の積み重ねなんですよ」。

食材や料理の理論・科学を理解していて、積み重ねてきた感性があるからこそ「こういうパンを作りたいときは、こうしようと」と、自由な発想で作ることができるのだそう。お店に並ぶ60種類ものレシピのベースも、1〜2時間ほどで考えられたのだとか!

 

パンと一緒に楽しむオリジナルコーヒー

サンチノのドリンクメニュー

店内には、パンと一緒にコーヒーが楽しめるイートインスペースもあります。『15℃』で焙煎した豆を使った『サンチノ』のオリジナルブレンドやさまざまな地域のジュースなど、オーガニックにこだわったドリンクメニューも楽しめます。

「働く人シリーズ」のスリーブがかわいいコーヒー「働く人シリーズ」のスリーブがかわいいコーヒーもいただけます

そういえば、以前『365日』に伺った際に杉窪さんは「コーヒーの焙煎をやりたい」とおっしゃっていました。お会いするたびに次々と新しいことに挑戦し、そして実現していく杉窪さん。「やりたいことがいっぱいありすぎて」と話すその表情はとても楽しそう。今後は、世界をいろいろと見て回ろうかと考えているんだとか。

もしかすると、いつか世界のローカルパンやレトロパンが登場するかもしれませんね!

 

  • ■お店情報
  • パンとコーヒー サンチノ
  • 住所:東京都目黒区碑文谷4-1-1 1F(地図
  • TEL:03−6303−4433
  • 営業時間: 9:00〜20:00
  • 定休日:イオンスタイル碑文谷に準ずる
  • ※記事の内容は取材当時のものです。 最新の情報は、お店のHP、SNSなどをご確認ください。

 

 

 

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