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    感動と驚きを生み出し続けるベーカリー『d’une rarete』のおいしさの秘密

    国産素材と添加物不使用にこだわり、革新的な技術でパン業界を牽引する『d’une rarete(デュヌ・ラルテ)』。2021年4月、紀伊國屋等々力店での10年間の営業を経て、スタート地点である青山骨董通りに帰ってきました。ファン待望の凱旋オープンを果たしてから、まもなく1年。パン好きのハートを掴んで離さないおいしさの秘密を伺いました。

     

    店名を冠した看板商品「ラルテ」に次ぐ名品「クリュ」

    お店のスペシャリテのクロワッサン「ラルテ」

    店頭に並ぶのは移転以前から愛され続ける人気商品や、新たに仲間入りした新作など約30種類。中でも四角いクロワッサン「ラルテ」は言わずと知れた人気ぶりで、夕方前には完売になることもめずらしくありません。バターと小麦の風味をしっかり感じるパイ生地を、27層に重ねて生み出すサクサク食感は1度食べたら忘れられない逸品です。

    また、デニッシュ生地に和三盆糖のクリームを入れた「カンヌ」も待望の復活。こちらは、お客様から「また食べたい!」と多くの声を寄せられ骨董通り店のオープンを機に復刻したそう。

    賞味期限20秒と言われるクリームパン「カンヌ」

    そして、移転時に登場した新作として注目を浴びているのが「生クロワッサン Cru(クリュ)」。「ラルテのインパクトに負けないクロワッサンを」という思いで誕生したこちらの商品は、もっちり食感と、カップに入った丸い形、内側に閉じ込めたパイ生地の層など、すべてが「ラルテ」とは対照的。はじめて手に取る人は「これが本当にクロワッサン?」と驚くに違いありません。

    国産小麦に米粉を加え、湯種製法を用いてもちもち食感を生み出した「Cru」は、クロワッサンの型から外れない新しいクロワッサンとして、早くもファンがついています。原材料の高騰などの理由から、現在「Cru」は催事や通販のみの販売ですが、お店での提供が再開できるよう調整中とのこと。

    今までにない新食感のクロワッサン「クリュ」

    「Cru」の生みの親であるシェフの後藤一哉さんに、パン作りへの思いについて聞くと、「食べたときに、はっとするようなおどろきや感動が生まれるのが当店のパン。下処理や製法にこだわって、素材のおいしさがクリアに伝わることを大切にしています」と答えてくれました。

     

    時間と手間がかかっても「おいしさ」を追求する

    「はじめてこのくるみパンを食べた時のインパクトが忘れられない」

    長年パン業界で技術を高めてきた後藤さんをも唸らせたのがくるみパンの「ノワ」です。たっぷりのクルミが練り込まれたしっとりと柔らかい生地は、ナッツ類特有の渋みやボソボソとした食感は一切なく、サクサクとした心地良い歯応えやクルミの香りと甘味を存分に味わうことができます。そのおいしさの秘密は、アク抜きなどの「下処理」にあると話す後藤さん。他のベーカリーで働いていた後藤さんは、この「ノワ」に出合ったことで、『d’une rarete』のシェフになろうと決意したのだとか。

    「クルミやレーズンなどの素材の下処理も妥協しません。『そこまでやらなくても』と言われることにも、しっかり時間をかけるのが『d’une rarete』。そうすることで、素材本来の味が生きるパンが生まれるんです」。

    レーズンパンの「レザンミー」や「ヴィーニュ」に使われているレーズンも、もはやドライフルーツとは言い難いジューシーさ。おどろきと同時に、他のパンへの好奇心が沸き立ちます。

     

    徹底した品質管理とオリジナルの技術で「他にはない」味わいを生む

    フランス語で「類い稀なる」という意味を持つ『d’une rarete』。そのおいしさの理由の一つに、「パイルーム」の存在があります。パイルームとは一定の温度管理ができる製パン室のこと。季節や天候を問わず、いつでも“同じ条件下”でパン作りができる設備が整っているからこそ、安定した味を提供することができるそう。

    また、こちらのお店で確立したパンのレシピは、他店で腕を鍛えたパン職人も驚くほどオリジナリティの高いものです。後藤さんも入社当時を振り返って「これまで学んできた技術とはまったく違う新しさだった」と話します。

    「当店のパンは“生地を味わってもらうため”のレシピによって作られています。ベースとなる技術を確立した初代のシェフが『いかにパン自体をおいしく食べてもらうか』を基本理念として構想し、現在の独特な製パン方法に辿り着いたんだと思います。他者から見たら疑問に感じるかもしれませんが、すべてに意味があるんです」

    一つひとつのパンに個性を感じる『d’une rarete』のパン。その作り方も独創性の高いものだと聞いて深く納得しました。「普通ならしない」ことに、あえて挑戦したからこそ感動と発見につながる美味しさが生まれたに違いありません。その狙い通り、はじめこそ見た目のおしゃれさからパンを選んでいたお客さんも、食べてみれば「生地が美味しい!」という発見に目を輝かせ、パンの魅力と奥深さを堪能することに。

    現在、店舗の2階にはカフェが併設されており、ガトーショコラやチーズケーキ、季節のシフォンケーキなどのスイーツが楽しめるほか、お店のパンと料理が楽しめるモーニングやランチメニューも味わうことができます。

    「創業当初の店舗はバーが併設されていたり、表参道のGYRE(ジャイル)時代はおしゃれな空間でちょっと入りづらい空気感があったりしたと思うんですよね(笑)。でも今のお店はもっと日常遣いして欲しいですし、そのためにカジュアルな雰囲気にしています。仕事前にコーヒーとパンを買ったり、休日の朝食に家族で食べるパンを買ったり、ティータイムにスイーツとコーヒーでのんびりしたり…。いろんな使い方を楽しんでいただきたいです」と後藤さん。

     

    創業から約20年の歩みの中で培った伝統を継承しつつ、進化のための歩みを続ける『d’une rarete』。これからも私たちに新しいパンの魅力を提供してくれるでしょう。

     

     

    • ■お店情報
    • d’une rarete(デュヌラルテ)
    • 住所:東京都港区南青山5-8-10 萬楽庵ビルⅠ 1F
    • 営業時間:10:00〜19:00
    • 定休日:不定休
    • HP:https://dune-rarete.com/

     

     

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