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    トマトを丸ごとパンに詰め込んだジューシーなパン!五反野のベーカリー『Tempus』の「トマトファルシ」

    東武伊勢崎線の五反野駅の改札を出て南へ徒歩約10分。荒川河川敷に向かう住宅街の中に、地元の人が足しげく通うベーカリーがあります。

    中から漂うのは、焼きたてのパンの香ばしい香り。道に面した窓からは、ぷくっと形良く焼き上げられたパンが顔を覗かせます。製造から接客まで店主1人で営む、アットホームなベーカリー『Tempus(テンプス)』を訪れました。

     

    20年分のパンへの思いと経験をお店に詰め込んで

    『Tempus』で提供されるパンの種類はおよそ30種類。ロールパンやクリームパン、あんパンなどの定番商品から、旬の素材を使用した季節限定商品が店内の棚を賑わせます。

    製造から接客まで1人でこなす店主の大野陽平さん。大野さんがパンの道を志したのは、中学生のとき。部活帰りに頬張った食パンのおいしさに感激し、「将来はパン職人になりたい」と考えるようになったと言います。

    「そのとき食べたのは、自宅の近くにあった個人経営のパン屋でした。進路を考える時期に『パン屋になりたい』と両親に相談したところ、『大学に行って少し考えてみては?』という返答でした。その後短大に進学しましたが、やっぱり夢を捨てきれず、卒業後に専門学校に通ってパン作りの勉強をしました」。

    近所には小学校もあり、子どもたちにも人気のロールパン

    専門学校卒業後は、ワーキングホリデーの制度を利用してドイツへ。語学を学んだのち、7カ月間、ガルミッシュ・パルテンキルヒェンという町のベーカリーで修行をしたそうです。帰国後も複数の店でパン作りや調理、接客を経験し、知識と技術を高め、独立を果たした大野さん。『Tempus』をオープンするにあたり、レシピを新た開発したそう!

     

    たまにしか店頭に並ばない希少パン!?フランスの家庭料理を詰め込んだ「トマトファルシ」

    不定期で店頭に並ぶ「トマトファルシ」は、トマトのヘタがちょこんと乗った見た目も印象的な創作パン。トマトにひき肉や野菜を詰め込んで焼き上げるフランスの家庭料理ファルシを、パンにアレンジしたというユニークな商品です。

    「肉汁を吸いやすいよう、フォカッチャの生地を使っています。炒めた野菜とひき肉を、くり抜いたトマトに詰め込んで、パン生地でまるごと包んで焼き上げています。手間がかかるので、たまにしか姿を現さないパンです(笑)」。

    自慢のトマトファルシをひと口頬張れば、中からトマトの甘酸っぱい果汁と、鶏ひき肉の肉汁が溢れ出すジューシーな味わい。軽い食感のフォカッチャ生地に染み込んだ部分もしっとりとおいしく、食べ応えのある1品でした。

     

    抹茶あんの「まちゃこ」。季節に合った創作パン

    大野さんのインスピレーションから生まれた「まちゃこ」。スライスアーモンドとレーズンで作ってもらった顔の中には、抹茶と白あん、クリームチーズ、コンデンスミルクで作った抹茶あんが詰まっています。

    「まちゃこの親戚パン、みそくん、さくらちゃん、ブルーベリ男も季節ごとに登場します」と話す大野さん。

    「ゴーヤチャンプルー」。中に入れたアパレイユとチーズが相性抜群!

    他にも夏限定の「ゴーヤチャンプルー」、スパイスから作った本格カレーを詰め込んだ「カレーパン」、ワインと一緒に食べたい「ゴルゴンゾーラ」や、イチジクをふんだんに使った「いちじく」など、魅力的なものばかり。

    今秋登場予定の「生しいたけとドライトマトのアヒージョパン」や、キノコをたっぷり使った「きのこプラネット」は、昨年好評だった商品とのこと。お客さんの声と、独創的なアイデアで新しい商品を生み出す大野さん。パン作りを楽しむ気持ちと地元のお客さんを大切にする姿勢が伺えます。

    訪れた多くのお客さんが注文していた「チョココロネ」。カスタードクリームとチョコレートを混ぜ合わせて作った濃厚なクリームを、注文後に詰めてくれるんです!ひんやり冷たいクリームが絶品。朝焼き上げた分が売り切れ次第終了なので、早めの来店がオススメです。

     

    思い思いの時間を過ごせる場所に

    「イートインスペースやカウンターを設けて、『お客さんとのコミュニケーション』も大事にできる店にしたいと思っていました」と話す小野さん。

    店内には絵本やおもちゃが置かれたキッズスペースもあり、近隣に住む子連れのお客さんも多く訪れます。閑静な住宅地の中にありながら、お昼時になればお客さんの出入りは頻繁。大野さんとこの店が作るリラックスした雰囲気のおかげか、お客さんの方から会話が始まることも多く、世間話を交えてパンを選ぶ様子はアットホームそのもの。「コミュニケーションを大切にしたパン屋」という大野さんの思いは、早くも形になっているようです。

    「平日は午前3時半から、土日は午前2時半から仕込みを始め、9時の開店時間にはほとんどの商品を棚に並べられるようにしています。今は手一杯だけど、今後はパンを食べながらお酒を飲めるような角打ちスペースを作ったり、クロワッサン商品も手がけていきたいです」。

    今後も、どんなパンが登場するのかとても楽しみです!

    「おいしさ」と「楽しさ」を追求する下町のベーカリー『Tempus』。ラテン語で「時」を意味するこの空間には、訪れる人を笑顔にしてくれる豊かな時間が流れていました。

     

    • ■お店情報
    • Tempus(テンプス)
    • 住所:東京都足立区足立2-7-7-101
    • 営業時間:9:00〜19:00
    • 定休日:月曜日
    • ※売り切れ次第終了
    • ※お支払いは現金のみ。
    • https://www.instagram.com/tempus_panis.et.tempus/

    ※記事の内容は取材当時のものです。 最新の情報は、お店のHP、SNSなどをご確認ください。

     

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