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    優しい酸味ともっちり食感がおいしい北欧風パン!谷中『VANER』のサワードウブレッド

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    欧米ではポピュラーなサワードウブレッド。優しい酸味と小麦の甘みを感じるもっちりとした食感が特徴のパンです。シンプルな素材と手間暇かけた工程から生まれる深みのある味わいは、毎日食べても飽きの来ないおいしさが魅力。日本ではまだ珍しい、サワードウブレッドの専門店『VANER(ヴァーネル)』を訪ねました。

     

    長時間の低温発酵によって生まれる酸味と甘み

    「外側はパリッと香ばしく、内側はもっちりとした弾力。酸味と甘みのバランスが良く、何もつけずに食べてもおいしいですよ」。

    サワードウブレッドの魅力を語ってくれたのは、『VANER』のヘッドベイカー・宮脇司さん。ノルウェーのオスロでサワードウブレッド作りの技術を学び、2018年8月、谷中の上野桜木あたりにサワードウブレッド専門店をオープンさせました。

    日本ではまだ馴染みの薄い「酸味のあるパン」の歴史は長く、欧米では古くから「家庭で作られるパン」として親しまれてきたそうです。

    「初めて食べるお客さまの中には、独特の酸味に驚かれる方もいます」と話す宮脇さん。看板商品であるサワードウブレッドの材料は小麦粉と塩と水のみ。「サワードウ」という発酵種を使用し、長時間、低温発酵させることで引き出される酸味と甘みが特徴の素朴でヘルシーなパンです。

    発酵前の生地を見せてもらうと、焼き上がりの約半分程度の大きさ。じっくり発酵させることでふっくらと膨らみ、水分量が多い生地はしっとり、もっちりとした食感に仕上がるそうです。

    焼き上がったパンの断面には、たくさんの大きな気泡。この気泡が食べ応えのある弾力を生むのでしょう。

    サワードウブレッドの酸味は尖ったものではなく、丸みのある優しい旨味。特徴のある味わいですが、主張が強くないので料理に合わせて食べてもマッチしそう。「他の具材と合わせて、サンドイッチにして食べるのもおすすめ」と話す宮脇さんの言葉にも納得です。

     

    爽やかな香りが人気のカルダモンロール

    『VANER』で販売されているパンは、サワードウブレッド、ハーフ(1/2サイズにカットしたサワードウブレッド)、バンズ(小サイズのサワードウブレッド)、カルダモンロール、シナモンロール、クロワッサン、パンオショコラの7種類。

    9時の開店と同時に、焼きたてを求めて次々とお客さんがやってきます。特にカルダモンロールは、他のお店では見かけない珍しさもあって注文する人も多い人気商品です。

    「カルダモンロールとシナモンロールは、北欧のスウェーデンなどではどの店にも置いてあるポピュラーな商品。この味を日本に持ち帰りたいと考えていました」と宮脇さん。

    帰国後、北欧で食べた味の記憶を頼りに作ったカルダモンロールとシナモンロールにも、サワードウブレッドの生地が使われています。中でもカルダモンロールは、カルダモンの実から手作業で種を取り出し、手間暇かけて作られます。

    ひと口頬張れば、カルダモンの爽やかな香りが鼻から抜け、バターのリッチな風味と表面をコーティングする砂糖の甘さが舌の上に広がります。

    そのスパイシーな味わいは、はじめて食べる人にうれしい驚き与えてくれるはず。

     

    人との出会いで繋がるパン作りの輪

    宮脇さんがサワードウブレッドに惹かれたのは、アメリカ・サンフランシスコの人気ベーカリー『Tartine Bakery』の書籍と、Youtubeにアップされていた宣伝動画がきっかけだったと言います。

    「そのお店の職人さんが、焼きたてのサワードウブレッドを頬張る様子がとても幸せそうだった」と話す宮脇さん。1つのパンが人に笑顔をもたらし豊かな時間を提供してくれることに魅力を感じ、「パン作りの仕事をしたい」と志すように。

    実際に宮脇さんがパンを作り始めたのは、ワーキングホリデーで滞在していたノルウェーの首都・オスロでのこと。当時働いていたカフェで「パンを作ってみたい」と常連客に話したところ、「じゃあ作ればいいじゃない」と背中を押されたのが始まりでした。

    「カフェで働きながら独学でサワードウブレッドを作っていたとき、Instagramでフォローしていたパン職人がオスロ内で店を開店させると知り、一番乗りで訪問。その後、縁あってその店で働くことになったんです」。

    さらに滞在ビザの有効期間をフル活用し、ポーランド、デンマーク、イギリス、ドイツ、ベルギー、アメリカなど計8カ国、15店舗のパン屋で研鑽を積んだ宮脇さん。「どのお店のサワードウブレッドも味や食感に違いがありました。でも、どれもとてもおいしかったんです」と笑顔を見せます。

    使用する小麦の品種、発酵時間、さらに作る土地の気候なども、できあがりの味や食感に影響する繊細なサワードウブレッド。帰国後は、「自分にとってのおいしいサワードウブレッド」を追求する日々が続いたそう。

    「当初、日本の湿度や海外との気候の違いが影響したのか、パンがうまく膨らまず…。試行錯誤していたとき、海外の職人仲間からさまざまなアドバイスをもらい、今の形に落ち着くことができたんです」。

    どの店の職人もオープンな気質で、研修中も技術を快く教えてくれたと、宮脇さんは話します。「私たちはみんな“パン屋ファミリー”だから」と、困ったときに助け合える仲間が海を越えた場所にいることを教えてくれたそうです。

    それぞれが持つ情報と知識を共有しながら、各々の「おいしい」を追求するパン屋コミュニティーの支えも『VANER』の強み。

    今年9月から再び北欧へと旅立つ宮脇さん。新しい出会いと経験を経て、帰国後に作るサワードウブレッドは、さらに新しい味へと進化するでしょう。

    国を超えた歴史と人が紡ぐ、シンプルで奥深いサワードウブレッド。その魅力をぜひ味わってみてください。

     

     

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