今回は東京を飛び出し、京都で見つけたパンのおいしいお店を紹介したいと思います。訪れたのは、賑やかな河原町、祇園界隈から京阪電車で1駅下った(下るとは京都では南へ向うという意味)清水五条。多くの観光客が訪れる清水寺の最寄りの駅です。
その清水寺を背に、駅の東側にある五条大橋を渡ってすぐの鴨川のほとりにある『efish』というカフェは、観光客だけでなく地元の人たちからも愛されるお店です。
趣のある古いビルディング。鴨川にむかって大きく放たれた窓。外観を見ただけで、『efish』がこの街にしっくりと溶け込んでいる、特別なお店であることがすぐにわかりました。
お店全体がアーティスティック
『efish』は1999年にオープンしたカフェで、オーナーはプロダクトデザイナーとして有名な西堀晋さんです。
スタイリッシュな店内を印象づける家具のほとんどは西堀さんがデザインされたものです。
カラフルなソファーやオブジェのようなランプシェード、そして、店内の各所に飾られた西堀さんの作品を見ていると、まるでギャラリーを訪れたような気分になります。
そして何より、目の前に広がる鴨川の絶景や、風が通る心地よい空間が、お店全体をひとつのアート作品にしているかのようです。
店内で販売している雑貨はデザイン性が高くセンスのよい物ばかり。けれども、よく見てみるとちょっと懐かしさもあり、どれも使い勝手がよさそうです。
それもそのはず、商品は「長く使ってもらえるもの」を基準にセレクトしているとのこと。それは、西堀さんが企業でデザインをしていたとき、買ってもらうためにどんどんデザインを新しくすることに疑問を感じたから、ということが理由でした。
いつ来ても食べられる定番メニューと季節感のある新しいメニュー
今回私がいただいたのは、人気メニューでもあるサンドイッチから「たまごとアルファルファのセサミブレッドサンド」を。ゆでたまごとたまごサラダの絶妙な組み合わせと、アルファルファのシャキシャキ感がセサミブレッドと相性抜群!パンは、開店当初からずっと京都の老舗『進々堂』のものを使用。
「『たまごとアルファルファのセサミブレッドサンド』では、栄養価の高いモロヘイヤ、ゴマがたっぷり入ったパンを使っています。たまごのサンドイッチを作ろうと考えたときに、卵にも負けず、ゴマの風味との相性もとても良かったのでこのパンを選びました」と店長の原さん。
また、関西では厚焼きの卵焼きのようなたまごサンドが主流ですが、こちらではゆで卵を使用しています。
「卵単体だと味に飽きてしまうと思い、他の食材(野菜)とのバランスも考えてゆでたまごのサラダにしました。いろんな野菜と組み合わせて試してみた中で、少しくせのある味とシャキシャキとした食感がとても良い相性だと思い、アルファルファに決めました」。
シンプルながら飽きのこない味で、しっかり食べ応えもありました!
ドリンクはブラッドオレンジとベリーのスムージーを。ストローを通してゴロゴロと果実が口に入ってくるので、まるでよく冷えたオレンジとベリーの果肉を口いっぱいにほおばり、噛みしめたような満足感があります。甘さは控えめで、程よい酸味が喉越しもよく食欲をそそりました。フローズンタイプでさっぱりした味わいなので、暑い夏にはうれしいドリンクです。
サンドイッチは他には、「ツナとカッテージチーズとアボガドサンド」や「BLT」などが楽しめます。
「『ツナとカッテージチーズとアボガドサンド』はお店で1番の人気メニューです。ボリュームはありますが、カッテージチーズがあさっりしているので、ヘルシーです。女性の方でもペロリと完食されますよ。
『BLT』はシンプルですが、シンプルだからこそ素材の味が際立ちますので、ベーコンの焼き方、合わせる調味料の味、野菜の量など丁度いい状態になるように作っています。
個人的には一番良く食べますし、好きなサンドイッチです。シンプルな具材が丁度いい具合にパンと一体化して、何度でも飽きることなく食べれます」。
『efish』は年末年始を除いて年中無休、朝10時から夜22時まで営業しています。そして、食事のメニューもアルコールを含むドリンクメニューも全て、営業時間内のいつでも食べることができます。
サンドイッチやスイーツなどの豊富なメニューは、定番メニューと季節感を感じられる新しいメニューから構成されており、定番のメニューは「また食べたい」と思って来てくださるお客様のためにも、入れ替えはしないそうです。お気に入りのメニューはいつ訪れても食べることができるから、ご近所のお客様が多いのも納得です。
他にも食べてみたいメニューがたくさんありました。アルコールもビールやワインをはじめ、カクテルまで種類も豊富です。次回は夜に訪ねて、鴨川の夜景を眺めながらお酒を飲むのもよさそう!
ホスピタリティあふれるスタッフ
眺めのよい絶好のロケーション、おしゃれなインテリア、1人でも落ち着いて過ごせる雰囲気、いつ来ても安心して食べられるおいしくて豊富なメニューの数々…と『efish』が人気の理由はすぐに思いつきます。
けれども、地元の人にも観光客にも、オープン当初から長く愛される1番の理由は、一度でも『efish』を訪れたことがある人ならきっとわかるはず。それは、ホスピタリティあふれるスタッフのサービスでしょう。
「おいしいことも大事だけれど、私達スタッフはお客様に気持ちよく過ごしてもらうために、良いサービスを提供することが大事だと思っています」と、店長の原こころさんは笑顔で話してくれました。
オーナーの西堀さんがこだわった「長く使ってもらう」ということ、それはデザインだけでなく、いつも変わらずに訪れる人を迎えてくれる『efish』というお店そのものにも感じました。京都散策に疲れたら、いや、京都に行くなら、ぜひ立ち寄ってみてくださいね。
- ■お店情報
- efish(エフィッシュ)
- 住所:京都府京都市下京区木屋町通り五条下西橋詰町798-1(地図)
- 営業時間:10:00〜22:00
- 定休日:無休(年末年始を除く)
※記事の内容は取材当時のものです。 最新の情報は、お店のHP、SNSなどをご確認ください。
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