シンプルで上質なライフスタイルを提案するWEBマガジン “パリマグ”
  • BREAD

    おいしい食材を知っているからこそ作れるパン。代々木公園『365日』

    パン好きはもちろん、オーガニック食材好きな食通も信頼を寄せる『365日』。店内には、焼きたてのパンがずらり。

    パンの他、野菜や牛乳、チーズ、パンに合うオイルサーディンやジャムなど、オーナーシェフ杉窪章匡さんが厳選した食材が所狭しと並んでいます。

    脇にはイートインコーナー、その奥にパン焼き窯とベーコンやハムを作る燻製場、カレーなどお惣菜を作るキッチン。「やりたいことを全部やったらこうなった」という、オーナーシェフの夢がギュッと詰まった濃密な空間が広がっています。

    「国産小麦を使う」「添加物を使用しない」「手作り」の3点を大切にしてパンを作っている同店は、2013年にオープン。福岡、名古屋、神奈川と3件もプロデュース店舗を持つ多忙なオーナーシェフに今後の「夢」を伺いました。

     

    パンで世界を平和に!

    オーナーシェフの杉窪さん

    「僕はパンで世界を平和にしたい。人々がみんなプロとして子供に誇れるような仕事をすれば、“世界平和”につながると思います。」とは杉窪さんの言葉。

    杉窪さんは元パティシエ。“世界一”になるため、美食を追求していましたが、頂点を目指して努力を重ねるほど心は虚しさを感じるようになったそう。その原因を探るべく、料理の原点である素材や原料について調べるように。その中で、オーガニックな農法で自然と向き合う生産者の考え方を知り、衝撃を受けたそうです。

    ちょうど世間では「食品偽装」が問題になっていた頃。一人ひとりがもっと誇れる仕事をすれば、世界は今よりもっと平和になると信じ、安全な食品を使ったパンの店をオープンすることを決意したのが『365日』の始まりです。

     

    職人を育てて安全な食材が流通するように

    「例えば旬に関係なく年中出回っている野菜には、余計な農薬が使われていたりします。だから、旬のものを食べたほうが体にも農作物にもいい。そのためには季節に合わせた商品づくりができる職人をもっと育てる必要もあります。」

    普段はトマトやきゅうりなど夏野菜が真冬のスーパーマーケットに並んでいても何の疑問も感じませんが、その裏には不自然な化学肥料が使われていることもあるようです。
    「この野菜はどのように作られているのだろう?」と背景を考えることが安全な食材を知る一歩なのかもしれません。

    「良い野菜や果物、畜産物をつくる生産者と、その素材を使って加工品をつくる職人。その両方を育てれば、幸福な循環が生まれ、安全な食材が流通する世の中に自然とシフトしていくはずです。」と杉窪さん。

    農薬を過度に使い、見栄えだけが良い野菜や果物が大量に流通する世の中ですが、杉窪さんが描く食材の循環が実現すれば、安全な食材がもっと手軽に手に入るようになります。「安全でおいしいものが食べたい」という人が増えつつある今、それはそう遠くない未来のことなのかもしれません。

     

    パンは入り口。目指すは「食のセレクトショップ」

    『365日』は現在、パン屋さんですが、これは入り口にすぎません。

    「安心して提供できる食材を、今より多く店に並べたいという夢があります。」と杉窪さん。将来は野菜や畜産物をもっと増やし「食のセレクトショップ」として、さらなる進化を遂げたいのだそうです。

    入り口としてパン屋さんを選んだ理由は2つ。小麦粉、水、塩など、シンプルな材料で作るパンは、素材の良さを知るにはもってこいの食材だから。そして、パンは毎日食べるものだから。いつも口にするものこそ気を使いたいという想いからなのだそうです。

    「うちのパンを1週間食べ続ければ味覚も変わるはず。」と杉窪さん。国産小麦をはじめとする、体に優しい素材を使い、職人こだわりのレシピで作ったパンを食べれば、いい食材とそうでない食材を見極める力が自然と身に付くのだそうです。

     

    一番おいしい状態を引き出す調理法

    小ぶりながら独特のフォルム。ほんのり焼き色が付いたパンはどれもおいしそう!
    人気商品は、「クロワッサン」、「バゲット」、「あんパン」、「クロッカンショコラ」、「カンパーニュ」、「カレーパン」と、ほとんど全部。1つひとつに全力を注いでいます。

    サンドイッチも、食材にこだわる『365日』ならではのアプローチで調理。例えば、タルティーヌに入っているじゃがいもは皮を残したほうがおいしいうえに栄養価も高いので、そのまま入れているのだそう。同じ野菜でも栽培方法や種類によって皮の剥き方まで違うということを把握することで、一番おいしい状態を引き出す極上の技。

     

    『365日』のこれから

    杉窪さんは「良い野菜を作る農家がある」という噂を耳にしたら居ても立ってもいられなくなり、直接交渉しに出かける情熱家。「“活動に共感してもらえないと人は動かない”と思うから、自分で行きますね。」とほほえみます。信頼関係を築くためには自分の言葉で説明し、納得してもらいたい。だから、忙しいスケジュールを割いてまで自ら地方まで足を延ばすのだそうです。
    そうして安全な食材を作り、店を支える強力なサポーターは増え続けています。

    「『こんなパンが食べたかったんだ』、『自分はこういう野菜が好きなんだ』そんな、お客さん自身がまだ気づいていない自分の好みに気付けるようなパンを提案して行きたい。」というオーナーシェフの熱い思いに動かされ、生産者、職人、お客さん…店をとりまく人の輪がゆるやかに広がり始めています。

    今の小さな店では手狭になってきたので、新メニューの試作やコーヒーの焙煎、ハムやベーコンの燻製などができる広いラボを作りたいと計画中なのだそうです。コーヒーやハムなどの加工食品は添加物も多いとされていますが、『365日』が手がける物なら安心して口にできそう!

    安全でおいしいものを食べたいという気持ちは誰でもあると思います。でも、何が安全でおいしいものなのか分かりづらい世の中。一度、「本当に安全でおいしいもの」を食べることで毎日の食生活を顧みるきっかけにもなるかもしれませんね。今後も杉窪さんの活動から目が離せません。

    • ■ お店情報
      365日
      住所:東京都渋谷区富ヶ谷1-6-12 (地図
      電話:03-6804-7357
      営業時間:7:00 ~19:00
    • ※記事の内容は取材当時のものです。 最新の情報は、お店のHP、SNSなどをご確認ください。

     

    ■関連記事

    本格派フレンチサンドをカフェで気軽に。原宿『レフェクトワール』

    小麦からつくるパン屋さん。恵比寿『空と麦と』

    おいしいパンがあったらディップにもこだわりたい!簡単ディップレシピ

    PARIS mag OFFICIAL Instagram
    キャラWalker